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たけちゃん活動・生活日誌

県議としての活動に追われてきましたが、引退後の生活の様子や、感じていることを発信しています・・・。

県の一般会計当初予算の概要

2018年04月10日 | 長野県政
 遅れましたが、2月定例県議会で可決された平成30年度一般会計の当初予算の主な概要を報告します。
 予算総額は、8463億95863万3千円で、国補正対応分の2月議会補正210億7820万1千円と合わせ8674億7383万4千円となり、前年度当初予算と比較し49億円増となっています。
 当初予算の歳入では、県税が前年度より58億円増の2333億円、地方交付税が前年度より22億円減の1959億円、臨時財政対策債が前年度より21億円減の380億円となっています。
 県債残高については、30年度見込みで前年度より93億円減の1兆5574億円を見込んでおり、依然として厳しい財政状況となっています。
 そして、新年度予算編成に当たっては、新年度スタートする「しあわせ信州創造プラン2.0」(中期総合計画)のプランに掲げる6つの政策推進の基本方針に基づき編成したとしています。

 主な予算内容で、社会資本整備事業では、リニア関連道路や三遠南信自動車道・糸魚川連絡道路などの幹線道路の整備に131億円余、土砂災害防止対策、土石流発生時の流木流出による被害拡大を砂防施設の整備に123億円余、農業用ため池の耐震化や用排水路等防災対策、荒廃山地の復旧・予防対策の実施に103億円余、河川の改修・修繕、洪水浸水想定区域図の作成、森林づくり県民税を活用した河畔林の徐間伐の実施に77億円余、農業の生産性向上を図るための畑地かんがい施設更新、中山間地総合整備事業に61億円余、通行者の安全性・快適性向上や良好な景観の形成、無電柱化・歩道整備に61億円余、県産材の効率的・安定的供給のための林道等の整備、計画的な森林整備に42億円余等々を計上しています。
 また、施設整備等では、県民文化会館の改修費に28億円余、県有施設の耐震化の計画的推進に22億円余、信濃美術館の改修と東山魁夷館の改修に14億円余、県立武道館の建設に11億円余、県立高校等の老朽校舎の修繕を集中的に実施に9億円余等を計上しています。

 この他、社会資本整備事業以外の私から見て注目すべき予算として、子どもの医療費の給付制度の拡充に43億8974万円、医療・介護提供体制の整備に21億7100万円余、長野県立大学の運営費12億5924万円余、福祉人材確保対策の推進に3億1460万円余、全国都市緑化信州フェア開催準備に3億6811万円余、消防防災航空体制の再構築に2億5840万円余、全国高等学校総合文化祭の開催に2億712万円余、生活困窮世帯への包括的・継続的な支援に1億5333万円余、スクールサポートスタッフや中学校での部活指導員の配置等、学校における働き方改革の推進に9622万円余、「信濃の国」県歌制定50周年記念事業の実施に369万円余が計上されています。
 
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長野県の消防団員平均年齢は全国1位若い

2018年04月04日 | 長野県政
 2月県議会の危機管理部消防課から示された資料によれば、県内の消防団員は平成29年4月1日現在34,830人で、この10年間で2,261人(6.1%)減少しています。
 しかし、全国比較では団員数は3位、女性団員数は10年間で458人(71.7%)増え全国4位、平均年齢は34.1歳で全国1位等と、長野県の消防団は頑張っています。
 県では、県内の消防団をさらに育成するため新年度も「消防団充実強化支援対策」として、消防団協力事業所応援減税制度の継続や信州消防団員応援ショップの拡充、女性・学生・県職員の入団促進、団員報酬・出動手当の改善に取組んで行くとしています。
    議員会館前の桜(4月3日午後)
 
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しなの鉄道・車両の更新時にトイレ整備へ

2018年04月02日 | 長野県政
 しなの鉄道は3月28日、取締役会を開き、今年から5年間の新中期経営計画を決め、老朽化が進む車両について、2019年度から8年かけて保有するほぼ全ての52両を新造車両に更新すること等を決めました。
 車両の更新は、現在の全車両が一般的な鉄道車両の寿命とされる約40年を経過しており、安全・安定輸送を確保するめため更新が必要とし、購入車両は、ランニングコストを考慮し新造車両(新車)とするとしました。
 また、更新車両台数は最大52両で、現在は無いトイレを1編成2両ごとに1基整備するとしています。
 更新費用は、毎年6〜8両を購入し、22年度までの投資額は59億7600万円で、総額は106億円。財源は、国などの支援を見込み、現時点での概算額は国が36億円(年4.2億円)、しなの鉄道が39億円(年4.9億運)、県と各沿線市町村が各18億円(年2.2億円)としています。
 私は、しなの鉄道のトイレ整備については、過去に「ろくもん」など観光客誘客により収益を高めるための取組も必要だが、日常的に利用している利用客への利便性を高めるためトイレの整備は喫緊の課題として、所管であった総務企画委員会や担当課との交渉で何度も求めて来ましたが、その答えは「車両の更新時期に検討したい。」というものでしたが、今回、遅ればせながら、その思いが具体化しつつあることを評価するものです。
 なお、新中期経営計画には、沿線利用者対策として、これまでも運行したことがある「有料ライナー」を20年度をめどに更新車両で走らせるほか、人口減少による沿線地域の「コンパクトシティー」化を見据え、駅にサービスや交流機能を持たせるなど地域との連携強化策も計画に位置付けられました。
 
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「みんなで支える森林づくり県民会議」に出席

2018年03月23日 | 長野県政
   3月20日の午後は、県の今年度最後となる第7回「みんなで支える森林づくり県民会議」が開催され出席しました。
 今回の議題は、平成29年度の取組、平成30年度税活用事業、委員の改選及び会議開催予定についてでした。
 この内、私からは「森林づくり県民税」の新年度の活用事業について、「県民協働による里山の整備・利用事業」で位置付けた「里山整備利用地域」の認定制度は、2期目の税事業で里山の森林整備が目標に届かなかったことの反省から考えられた制度であり、「防災・減災のための里山等の整備事業」と並び第3期目の税事業の根幹である。
 その意味で、「里山整備利用地域」を1年目で50地域、5年間で150地域としている目標を確実に達成して欲しい。
 また、林業の担い手育成で、再造林や除伐など労働環境が厳しい状況を軽減するため、夏でも涼しい作業服の普及や足腰の負担を軽減する技術の推進など、この分野でもスマート林業を推進して欲しい等を申し上げました。
 この日の会議に出席したのは、13名中、座長を除き女性が5人、男性2人でしたが、この県民会議に選出されている女性委員の皆さんは活発に、しっかりした意見を発言されることに、改めて感心しました。
 なお、委員の任期は今年度最後となる今回の会議で終了するため、新年度新たな委員が知事から委嘱されることになりますが、私は2月県議会で議会選出の委員として来年度も継続することが決まっています。
 そして、新年度一年間、しっかり「森林づくり県民税」の事業内容や活用状況の検証をして行く決意です。
 
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県の消防防災航空体制整備に本格的着手

2018年01月15日 | 長野県政
 防災ヘリ事故を受け設置された「消防防災航空体制のあり方検討会」の検討結果が出されたことを踏まえ、この春に段階的な運航再開を行うための「消防防災航空体制再構築事業」が11月議会に提案されました。
 その主な内容は、平成30年春季の林野火災消火活動再開に向け、体制の再構築を行うため、当面は民間ヘリを借り上げ、安全運航管理幹1名を配置するとともに、操縦士2名、整備士2名の民間からの派遣で運航を再開するとしています。
 そして、そのための費用として平成29年度分4414万円余の補正予算と平成30年度分2億5984万円余の債務負担行為が計上され可決されました。
 なお、中長期的な対応として、新規ヘリコプターの購入や継続的な操縦士の確保をして行くとしています。
 
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長野市保健所と県長野保健所の共同設置を断念

2017年11月09日 | 長野県政
 県は平成26年度から長野市保健所と県長野保健所の共同設置を、長野市とともに検討会議等を設置し検討して来ましたが、今年8月に行われた「長野圏域保健所共同設置等検討会議」において、共同設置は断念し、今後、保健所間の連携について、可能な分野から順次取り組んで行くことを所管の健康福祉委員会で説明しました。
 この課題の発端は、平成23年の地方自治法の一部改正により、保健所などの行政機関等についても「機関等の共同設置」が可能となったことから、県職員等による提案を受け検討が行われてきたものですが、県・市保健所職員の皆さんや県保健所管内市町村からサービスの低下等に関する懐疑的な姿勢があり、私は、委員会等で断念するすることを求めて来ました。
 9月議会で健康福祉委員会に提出された資料によれば、「施設・設備の有効活用に関する検討」では、一定程度のスペース削減が期待されるが、増改築には相当程度のコストが必要。
 「組織と事務執行方法に関する検討」では、業務・サービス水準の調整・統一を行うことは、県と長野市双方の主体性・独自性の維持に課題があること。また、県と長野市の独自業務の運営では、県の管内市町村への技術支援的支援等や市の保健センター等について、指揮命令系統の明確化や業務量の過多などに課題がある。
 「その他、共同設置保健所の運営方法の仕組みに関する検討」では、職員の身分取り扱い、給与の支給方法、人員体制、予算・決算・手数料、監査等について検討し、同一業務を行う職員間での給与体系の相違、県出身の職員が市業務に関して事故を起こした場合の対応等、業務遂行が煩雑とならず、効率性を高める方策等の整理が難しい等としています。
 その上で今後の方向性として、短期(既存事業等での連携)、中期(専門職職員の共同確保・育成など新たな連携体制の構築)、長期(広域連携の仕組みの活用等)を、長野市等と協議の上、段階を踏んで保健所間の連携を強めていくとしています。
 私は、今回の共同設置の検討は、県と長野市にとってマイナスではなく、プラスになったと思います。今後、今回の結論に出された県と市の保健所の連携を打ち出した「今後の方向性」について、しっかりと見守って行きたいと思います。
 
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ホクト文化ホール改修のため休館へ

2017年11月08日 | 長野県政
 長野市若里にある県民文化会館(ホクト文化ホール)は、耐震工事と併せ、開館から34年が経過し老朽化が進行していることから、緊急性の高い箇所を修繕することになり、平年1月1日から6月30日まで休館することになりました。(ホールについては7月31日まで貸館停止)
 具体的には、館内吊り天井の改修、大・中ホール客席椅子の更新、バリアフリー対応でのトイレの洋式化、大・中ホール舞台防火設備改修を行うとしており、そのために必要な経費として14億6千8百万円余の補正予算が9月議会に提案され可決されています。
 なお、この事業は、県の「第二期県有施設耐震化整備プログラム」(平成28~32年度)に基づき実施されるものですが、松本市のキッセイ文化ホールは平成31年度から32年度、伊那文化会館は平成32年度に改修が行われる予定です。

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大北森林組合問題 県職員への賠償請求について

2017年09月08日 | 長野県政
 私は8月27日のこのブログ記事で、8月23日に大北森林組合の補助金不正受給問題をめぐり、県の職員などに対する損害賠償請求の是非を検討してきた「法的課題検討委員会」が報告書をまとめ太田副知事に提出した報告書の内容について、「私は、この一連の事件の対応で、関係職員に損害賠償を求める幕引きで本当に、それで良いのか。今後の県政運営が委縮してしまい暗い影を落としてしまうのではないか、など、真剣に悩んでいます。」と現況を報告しました。
 その後、この疑問を晴らすため様々調査を行った結果、私は、安易に関係されたとされる職員に損害賠償を求めるべきではないという結論に達しました。

 その理由は、まず、第一に、大北森林組合問題をめぐり国から県は補助金返還を求められ、その中に県の管理責任とし「加算金」約3億5千万円等も含まれ、その金額については関係職員に対し損害賠償すべき等の住民監査請求が行われたのに対し、監査委員会は、「弁護士等の外部の専門家による検討委員会等を設置して検討を加速させ、加算金の納付から1年となる平成29年9月12日までに損害賠償請求の方針を策定し、関係法令に基づいて適切に対応していく予定」とする県の方針を受け入れ、「賠償責任が認められる職員に対しては厳正に対処するとともに、検討の結果について県民に説明すること」等の結果を報告しました。

 しかし、私の調べでは、平成22年1月に、当時、会計検査院の指摘により全国的に問題となった、不適正な事務費の経理処理等に対する「加算金」も含む国に返還した約9千2百万円余円については、関係職員等に損害倍書を求めるべきとの住民監査請求に対し、当時の監査委員会は「会計検査院の指摘に係る事務費の支出については、職員の私的流用や着服等の不正行為が発生しているとする事実は認められなかった」「賠償請求する法的根拠がない」として、棄却しているのです。
 7年前の監査結果ではありますが、この時の訴えは今回とほとんど同じ内容であり、なぜ、今回は違った矛盾する結論を出したのかの説明責任が果たされていません。
 この点につては、指摘すればするほど、相手側は、言い訳を考えると思いますが、私の取材では、このことを監査委員会も県の執行部も認識しておらず、県政運営が継続性が問われます。

 次に、「加算金」を含む国からの返済を求められ、支払うための議会の同意時に、県は、利息がかさむので、早期に返還したい。県の管理責任により求められた「加算金」については、今後、職員の新規採用の抑制や残業の縮減等により補填すると説明してきましたが、今回の検討委員会報告を受け入れれば、さらなる追加負担を求めることになり、これまで示してきた県方針と矛盾します。
                
 3点目は、法的課題検討委員会が示した損害賠償請求を検討すべき損害賠償額の基準が「財務会計職員4人」「非財務会計職員7人」としている点についてです。
 大北森林組合の元専務理事への訴訟で既に結審している判決文では、当時の地方事務所課長から「既存の森林作業道を新しく開設したものと偽って補助金を申請し、その補助金を高規格作業道の開設に係る自己負担に充てるように助言され、これを契機として」「既存の森林作業道について新しく森林作業道を開設したものと偽って補助金を申請するようになり」と指摘されているが、これは明らかに「架空申請」を誘導したものであり他の「期づれ」や「不適格」とされた事例とは違い、明らかに罪は重いと思います。
 従って、もし関わった職員に損害賠償をもとめるのであれば、この事例に関係した職員に限定して行うべきであり、「財務会計職員」「非財務会計職員」という区分では公平さに欠け、禍根を残す対応であると思います。

  また、もし、今回の検討会の報告書を、そのまま受け入れ対応すれば、今後、県職員は上司の責任が曖昧である以上、部下は責任ある仕事が出来なくなるばかりか不信感が漂い、士気の低下や組織の低迷となり県政運営が閉塞してしまうことになってしまいます。

 検討会の報告を受け、阿部知事は8月25日に行われた記者会見で「(検討委の)考え方を踏まえて対応するのが原則」とし、「厳正な対応を行っていきたい」と述べたと報道されましたが、私は以上観点から、例え、県民世論が賠償責任に傾いていても、将来の健全な県政運営のため冷静に判断することが求められると思います。

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県の税制研究会を傍聴

2017年09月04日 | 長野県政
  8月30日の午後1時半からは、今年度第5の県の税制研究会・専門部会合同会議が開催され傍聴しました。
 冒頭、青木宗明座長(神奈川大教授)は、「森林づくり県民税(森林税)」の在り方について、本日の会議で最終報告を確認したいとし、税を継続する場合の前提条件等を自身がまとめた報告書案を説明しました。
 税の継続の是非は「判断ができる状況にはない」と前置きした上で示された前提条件は、市町村に自由度の高い形で予算配分する「森林づくり推進支援金」の廃止・縮小など6項目。3期目の具体的な事業内容や必要な財源規模が示されていないとした。
 具体的には、市町村に毎年度、約1億3千万円を配分している同支援金について「市町村で必要な里山整備の財源は基本的に市町村が超過課税で対応するべきだ」と指摘。継続する場合は規模を縮小し、使途を限定する補助事業と。また、「切り捨て間伐」から木材の間伐と搬出を一体的に行う「搬出間伐」への重点シフトが2期目継続の前提条件でありながら「十分に実現されなかった」と指摘し確実な実施を求めた。
 昨年度末で4億9千万円の基金残高の合理的な解消を求め、県民税に1人当たり年500円を上乗せしている税額の引き下げも一つの方向性であるとし、森林税の議論は継続ありきではなく、超過課税する必要性をゼロベースで詳細に検討して県民に説明するよう求め、税の透明性を確保し、情報公開度を高めることが前提条件等と指摘しています。
 私は、出来るだけこの税制研究会を傍聴して来ましたが、何時も青木座長の一方的な運営に違和感と怒りさえ感じており、はじめから聞く耳を持とうとしない「判断ができる状況にはない」という結論先にありきの姿勢ではなかったかと思います。
 また、「3期目の具体的な事業内容や必要な財源規模が示されていない」という表現については、客に座長の独断的な運営のために、充分な審議が妨げられた結果であると思っています。
 にも拘わらず座長が示した報告書案は感情的な表現が目立つ内容であるとともに、「おわりに」では、「完璧な審議を行った。とりまとめた成果も、他の県庁関係者はもとより、学術界の人々のチェックに曝しても恥ずべきところは一点もないものに仕上げることができた。」とする自信過剰な決めつけが、なぜできるのか私には理解できません。
 重大な今後の県政運営を左右する審議を行う研究会で、民主的な運営がなされず出された報告書(一定の共鳴する部分はありますが)に県政運営が左右されることは大変危険だと思います。

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「森林づくり県民税」更新への意見

2017年08月29日 | 長野県政
 「森林づくり県民税」の更新の在り方等を審議している「みんなで支える森林づくり県民会議」は、9月1日開催する会議において、知事への報告書をまとめるとしていることから、委員の一人として意見をまとめ、8月25日に提出しました。
 以下、その内容を報告します。

「森林づくり県民税」更新への意見
                                                        竹内 久幸

 全国的には、ほぼ同趣旨の税は既に37県で導入されていて、国も平成30年度から「森林環境税」(仮称)の導入を、既に税を導入している府県との併存を前提に検討していることや、長野県では大北森林組合の補助金不適正受給問題で森林税の一部が不正受給されていたこともあり、県民中には更新に否定的な意見もあります。
 こうした県民意見を受け止めながら、全国的には、これまで同趣旨の税を廃止した県はなく、しかも、国が「森林環境税」(仮称)を検討している中、税の併存・運用で全国知事会が足並みが揃っている状況で、本県が「不祥事」を理由に税を止めることは、あってはならないと思います。
 無論、不祥事に対する対応や二度と同じことを起こさない毅然とした取り組みは当然ですし、その取り組みは、しっかりと行うことを求めます。
 しかし、本県は全国でも3番目に森林面接が多く、民有林は小規模面積所有者が多く、想定した整備が計画通りに進んでいない現状にあることや、樹齢が伐採時期を迎え「森林県から林業県」を目指すことを表明している本県にとって、林業の育成や再造林事業をしっかり位置付け、なおかつ、県民参加や森林税が身近に見える税の仕組みが必要であると考えます。
 但し、税の更新にあたっては、特に二期目に国の制度改正の影響や集約化が進まなかったこと、税による搬出間伐も進まなかったことを踏まえ、確実に整備が進む制度設計とすることが問われています。
 また、国が導入しようとしている「森林環境税」との役割分担の明確化や、森林法改正による市町村との「林地台帳整備」との連携が今後必要となりますが、本県の「森林づくり県民税」の更新時と重なることから、更新にあたっては、既存の税の見直すべき事業を見直し、国の税の全容等が明きからになった時点で、必要により再び見直すことを提案したい。
 以上の前提に立って、以下に主な意見を掲載致します。

〇 この間示された「森林税を継続した場合の間伐目標面積」7.200~7.950haの精度より高めるとともに 集約化、団地化が確実に進み目標が達成できるよう、二期目に、集約化、団地化が予定通り進まなかった原因を究明し、確実に推進できる仕組み作りを行うこと。
 例えば林地台帳の作成の推進策や組織の構築、「集約化専門員」の配置(県職員か一般財源での嘱託職員の雇用)、交付金の見直し、一般財源での組等事業者への森林GIS等整備への補助制度の創設等。

〇 「里山整備のための推進策」で示された、里山整備事業は、現状の1箇所当たりの間伐面積1ha以上を0.1ha以上に。また、里山集約化事業は、「境界明確化等条件整備事業」として、1事業地当たりの集約化面積10ha以上を面積要件なしに緩和することは賛成です。
 ただ、里山整備事業の要件を0.1ha以上とした場合に、請け負う事業者 があるのか心配なことから、補助制度の検討が必要ではないかと思います。
 新たな「境界明確化等条件整備事業」では、面積要件の撤廃とともに、 交付金の見直し(増額)【再掲】も検討して欲しいと思います。
 
〇 搬出間伐への支援では、間伐作業と木材の搬出作業を一体的に行う「搬出間伐(作業路整備を含む)」への支援を追加するとともに、自立的な里山活動を行う意欲的な地域には、遊歩道整備や機材導入に必要な経費を支援する等々の提案が行われましたが、基本的に賛成です。
 ただ、「意欲的な地域」とは県条例による「里山整備利用地域」を指していると思われますが、現状では指定地域が限られているため、示された「多目的利用のための森林整備面積の目安」を小学校単位と想定し150地区としていることから、目標達成のためには、「遊歩道整備や機材導入」への支援だけでなく、さらに支援策を加えるべきであると思います。
 この事業は、本県の森林整備の将来にとっても大変重要であり、そのための地域組織整備と県民参加のため、重点的に取組むべきだと思います。
 
〇 また、森林税は基本的に森林所有者に一割負担を求めていますが、現実には市町村への支援金により「上乗せ負担」が行われていることから、ほとんどの場合、間伐では森林所有者の負担はありません。
 しかし、間伐作業と木材の搬出作業を一体的に行う「搬出間伐」支援を行った場合、税を使って森林所有者が搬出材の売却による利益を得るのではとの疑問に対しては、この事業を活用する場合は、森林事業者に販路を努力義務とし、一割負担を森林所有者に求める制度とすべきと思います。
 
〇 里山整備のほか、多様な取組が確実に実施されるよう、「森林づくり支援金」制度が位置づけられ運用されてきましたが、二期目に入り多様な取組が行われて来ており、更新にあたっては、里山に限定せず、さらに多様な取組を推進する仕組みが必要だと思います。
 但し、現状で多くの部分を占める松くい虫対策や緩衝帯整備については、県民要望が多いことから、支援金とは別の項目に分け当面重点的に取組むべき。この場合一般財源での松くい虫対策予算との違いの整理や、一般財源の予算の増額も必要だと思います。
 
〇 「森林県から林業県」を確実に推進するため、主伐の推進と再造林をセットにした補助制度の創設が必要ではないか。また、再造林の効率化を図り推進するために、コンテナ苗木を活用する場合の補助制度も必要であると思います。
 さらに、海外も含めた木材の販路開拓を推進するため一般財源での予算の増額が必要であると思います。
 
〇 県民の関心を高めるため、公募型の「信州の木活用モデル地域支援事業」の予算を増額し、採用件数を増やすとともに、「税の見える化」事業として、多くの県民が触れる場所に、税を使った事業であることを示す、ベンチ等の木質製品を、県が直接整備する枠を設けるべきだと思います。
 
〇 建設部が行っている「木造建築担い手育成啓発事業」は、キヤリア教育の一環として、中学校へ大工技能者を派遣しイス等の制作を行う木育授業は人気が高いが、キット費用等に対する国の補助金が打ち切られることから、存続が危ぶまれています。  
 この事業は、木育という観点で「木育推進事業」に相応しい内容であり、継続するためにも、「木育推進事業」の中に位置づけるべきだと思います。
 
 
参考資料 (他県の例)

岡山県
・森林整備を推進するための担い手の確保と木材の利用促進、
・作業道の開設や補修、間伐材の搬出、松食い虫被害林の整備や伐倒・薬剤による駆除、人家裏等の危険木の除去にも使用。
・地域林業の中核を担う林業事業体の経営改善を支援するため中小企業診断士を派遣する事業。
・木材関係団体の県産材製品販路拡大のため、中国・韓国への販路拡大のための出展を支援する事業。
・税を使って県が直接駅等にベンチを整備
 
宮崎県
・台風等により堆積した流木の除去や巨樹古木の診断、治療。
・害虫防除等の実施。
・スギ花粉の発生抑制のため花粉の少ないスギ品種への転換等
 
熊本県
・森林の広域的機能の発揮に向けた取組として、針広混交林化促進事業、未来の森林植林加速化緊急事業、シカ等森林被害防止対策事業、特定鳥獣適+ 正管理事業等に税の8割を使用。
・3期目の取り組みでは、新たに、森林の境界の明確化や森林情報の提供など森林所有者に対する森林整備の働きかけ、耕作放棄地の森林化の推進、森林を守り育てる地域リーダーの育成、森林や木材を活用した農山村の地域づくり等の事業を加えた。
・平成27年度にモデル事業として知事から認定された8つの重点地区に、市町村や地域の林業事業体等関係者で構成する「地域協議会」を組織し、所有者等を調査し働きかける「集約化専門員」を配置し、費用について支援を行っている。
 ・熊本県では、県内の森林資源が主伐可能な段階に入っていることから、再造林を推進するため、低コスト林業の実現に向け、「主伐・植栽一貫作業システムによる確実な再造林の推進」に取り組んでいる。
 
富山県
・里山整備や竹林整備、野生動物との棲み分け、風雪被害木の復旧整備。
・混交林での危険木の流出防止対策、保全林での実のなる木の育成。
・海岸林で激増している松食い虫被害対策。
 
石川県
・放置竹林の除去等
・緩衝帯の整備
 
愛媛県
・特徴的な事業は、「優良種苗確保事業」「主伐推進緊急再造林対策事業」「木製ダム設置実証事業」「自然公園等施設整備事業」「えひめ材住宅普及啓発事業」「原木乾しいたけ、乾たけのこ等生産促進事業」「県産材製品市場開拓促進事業」「都市近郊林保全事業」がある。
 この内、「主伐推進緊急再造林対策事業」で、主伐が進まないことから、1リッポー当たり、主伐跡地を再造林することを条件に900円助成(福岡県は850円)していること。
 
高知県
・国庫補助事業の対象とならない森林の保育間伐を行う事業に1haあたり8万円の補助(個人の場合は10アールから)が受けられるという制度を平成25年から行っていることでした。

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