たかはしけいのにっき

理系研究者の日記。

読む必要のない原著論文

2015-11-24 23:28:40 | 自然科学の研究
 今日も、もう一歩、自分を追いつめるために、前から書いてみようと思ってたことを書きます。

 世に溢れまくる自然科学系の原著論文。まぁ、本当は全部読まなくても良いんじゃないか、と思いますが、そのなかでも、この要素があったら、もう絶対に読まなくていい、という指標を示してみようと思います。
 ちなみに、俺をよく知ってるみなさん。「え?お前が書いた論文だって?」ってこともあるかと思いますが、、そういうことです、読まなくていいです(笑)。

 「読まなくていい」が含む意味は何かと言うと、「価値(新しいところ)がない」「ウソである確率が非常に高い」「何も学びがない」ということです。

 下に書くことを簡単にまとめてしまえば、「原理的にわからないように書いてあって、あえて複雑にわかりにくくすることで、難しさをアピールし、とにかく論文として体裁を整えました」という原著論文を、コスパよく発見する方法だと思ってください。
 もちろん、例外はあると思いますが、いま世に溢れる自然科学の原著論文のおそらくすべてが読む必要がないと本心で思っている俺としては、あまり例外とか言っても意味がないので、例外はない!と言い切ってしまってもいいかもしれません。

 1.著者が7人以上の原著論文

 本当は4人以上で読む必要がないと言いたいくらいだが、まぁ、著者が増えまくってしまってる現状があるから、その流れにのって仕方なく、っという部分もあることを考慮して7人以上。

 著者が増えれば増えるほど責任の所在が微妙になるし、著者が多いからすごい研究かというと、そういうことも少ない。それが良いかどうかは別として、今の研究のシステムはどの分野でもかなりの個人主義で、その人の仕事か否か、という部分がものすごく多く寄与する。
 にも拘わらず、共同研究をすすめましょう!、とかいうのは、よほどの変わり者か、誤魔化しか、どちらか。本当にそういうことを奨めたいなら、まずは、原著論文によって個人を評価する、という研究のシステムそのものを変えない限りは、達成されない。
 というわけで、著者があまりに多い論文は政治力学の産物だから読んでも仕方ありません。それに本当に必要な著者が揃ってるのか?曖昧ですから。

 っま、これはマジで分野(というか、その分野の習慣)によるので一概に言えないところは多いですが、、少なくとも、著者が増えれば増えるほど、読んで損したなぁという率は高い気がします。
 
 2.三行以上にわたって一つの数式が書いてある

 これだけ俺が最初に言ったことじゃありませんが(あるえらーい先生が仰っていた)、理由は自然現象はそんなに複雑なわけがないから。
 というよりも、複雑な自然現象を上手く単純化して理解していく作業が自然科学なので、長い式を書いてりゃいいわけじゃありません。シンプルにすることを心がけて、研究をしたり、論文を書かなきゃいけないのに、とにかく書きました、みたいな論文は読む必要なし。学びは少ないでしょう。

 3.棒グラフが5つ以上載っている原著論文

 棒グラフって、視覚的に数値をとらえることができる、以上のメリットはありません。数字できちんと書いたほうが適切です。
 にも拘らず、棒グラフがたくさんあるってことは、その論文で、これが言いたい!、ということが定まっていないということ。そんな曖昧な論文は読む必要ありません。

 確かに、メインの帰結をわかりやすく把握するためであれば棒グラフは必要ではありますが、何個も何個も棒グラフばかり載ってる論文は、まずその実験が本当にきちんと行われていたのか、それを見るだけではわからないのに、それを読者にそのまま信用しろよ、ってことなわけです。
 棒グラフって、持ってる情報量のわりに紙面をとるので、、まぁ、そういうことですよね。テーブルで数値を示したり、文章中に書いたりすりゃいいのに、体裁を作ってる感が半端ないわけです。

 4.略語が何なのかちゃんと書いてない

 これは説明不要だと思うんですけど、説明します?
 略語なんて最初に書くのが当たり前だし、それを怠ってるって、原著論文として成り立ってないから読む必要なし!

 本当に念のため、一応、言っておきますけど、だからって普段、略語使うのは、別にありですよ?原著論文という作品を作るうえで略語が何なのかを最初にちゃんと書いていないのがありえないだけです。これは意外といろんなことに繋がっていて、例えば、参考文献なんかを示すよりも、こういう前提知識が必要です、ってのを書くことが大事だってことも含んでいるんだよなぁ。

 5.参考文献が50以上ある

 えーっReviewも?っと思った方、俺はReviewはそもそも読む必要がないと思っているので(まとめたいなら、Reviewじゃなくて本を書いてください。それほどの量じゃないってんなら、そんなことでいちいち出版して業績にせずにHPにでも書けよ)、これはLetterだろうがFull PaperだろうがCommunicationだろうが、です。
 ちなみに何故かというと、著者が絶対、全部は読んでないから、把握してないから。著者全員がすべての参考文献を把握していなくちゃいけませんし、きちんと読んでいなくてはいけません、、よね?当然。

 参考文献が50以上ある原著論文は、ほぼ不可能に近いと思います。アクセプトを得るディフェンスのために不要な文献をあげるのはやめましょう。アクセプトを得るためにと戦略的に参考文献をたくさん挙げる人は、政治家であって研究者ではありません。それなら別のジャーナルに出せばよいだけだし、そういうところから理不尽さを感じて、論文以外の新たな表現方法を探るべきです。

 6.Beall's Listに載ってるジャーナルの原著論文

 これも説明不要ですよね。理系の博士課程以上で、Beall's Listを知らない人は世間知らず過ぎです。自分の専門分野に集中しているのは結構ですが、もっと制度について勉強してください。


 っま、とりあえず、これくらいでしょうか。
 俺の意見、完全にPRL信者だな(笑)。俺のことを物理系だと決めつけているみなさん、今日はあなたたちは正しいです。

 あ、略語の定義するの忘れたけど、ブログだからいいよね(笑)
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