山田太一さんが亡くなった。
享年89。驚くばかりで、そして悲しい。
じつは山田太一ドラマについて
とある連載記事のお手伝いをしていて、
この春から「岸辺のアルバム」や
「早春スケッチブック」「男たちの旅路」などの
名作ドラマに向き合っている。そのさなかの訃報。
個人的にはなんといっても
「ふぞろいの林檎たち」ではあるけれど、
単発ドラマに優れたものが多かったと思う。
笠智衆が主演した「冬構え」などの
老境の男を描いたNHKの連作は素晴らしかった。
堺正章と井上順が主演と聞いて、
てっきりコメディだと思いきや
北海道の孤島を舞台に、過疎をテーマにした
厳しくも美しいドラマに魅入った「礼文島」。
いちばんの名作だと思うのは、
ハイミスの樹木希林が結婚相談所で
紹介された川谷拓三と結婚するまでの
騒動を描いたコメディ「ちょっと愛して…」だ。
カサヴェテスの「ミニー&モスコウィッツ」みたいな
男女のエゴのぶつかり合いを優しく包み込むドラマだった。
ありきたりなことを言うな。
お前らは、骨の髄までありきたりだ。
「早春スケッチブック」の山崎努が
言い放つこの台詞は、復唱すればするほど
自分に返ってくるなあと思ったり。
「ふぞろいの林檎たち」で子供が産めなくて
家を追い出された妻の根岸季衣のことを
オレはこいつがいいんだから、仕様がねぇ。
可笑しきゃ笑ってくれ。甘っちょろくても
こいつと暮らしたいんだ。
と独白する小林薫に圧倒され、いつか自分もこんな台詞を
吐いてみたいなあと思ったり(いまだに吐けてません)。
ありがとうございました。合掌。
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