Days of taco

やさぐれ&ヘタレtacoの日常と非日常

忸怩と逡巡

2020年07月10日 | 映画など

あらためてウディ・アレンの最新作

「レイニーデイ・イン・ニューヨーク」は傑作だと思う。

後味は決して良いとは言えないのに、

場面をいくつか思い出すだけで、とても幸福な気分になる。

 

で、困ったのが、

昨年、ハリウッドを中心とした映画業界で、

セクハラを告発する#Me Too運動が盛り上がり、

アレンの養女に対する虐待容疑が再燃したこと。

そのあおりを受け、上記の作品は米国での上映が見送られ、

ティモシー君やエルファニなどの出演者が、

ギャラの受け取りを拒否するなどの事件が報道された。

 

ハラスメントというのは、明らかに上の立場の者が

抵抗できない下の者に肉体的、精神的な虐待をするわけで、

裁判では証拠不十分で棄却だったらしいけど、

アレンの映画人としてのキャリアはこれで終わりという報道さえあった。

 

当のアレンは自伝を出し、

あらためて無実であることを主張しているようだ。

実の息子からの暴露本も出て、ドロドロの様相。

事件は藪の中という状況だけど、

そんな疑惑の渦中にある人物が撮った映画が

いくらいい出来だからって、素直に喜べるものだろうか。

実は「レイニーデイ・イン・ニューヨーク」を見るとき、

つまんないといいな、と思ったぐらいで、

出来が良くなければ、ああやっぱりね。疑惑の人だしね、

という言い訳ができたのだけど、

まごうことなき傑作で、困った次第。

 

人と、その人が作り出した作品はまったく別個のもの、

という意見には、自分も同意はする。

アップリンクの社長がパワハラで訴えられても、

見たい映画があれば、きっと渋谷か吉祥寺まで見に行くし、

広河隆一氏のパワハラ・セクハラ報道に怒り心頭のかたわら、

氏の優れたノンフィクションに感動する自分がいる。

 

アレン最低! もう二度と奴の映画は見ない!

と言い放つことは、これまで何十年も彼の映画を好んで見てきた

自分を否定することにもなるわけで。

 

かといって、

あの人はとんでもないことをしでかしたけれど、

つくっている作品はとても素晴らしいんだよ。

と声高に言うのも、作品が良ければ何をしてもいいということになるし、

それはやっぱり良くない。

 

それにしても、

「レイニーデイ・イン・ニューヨーク」は良かった。

エルファニ可愛かったなあ。アンニュイなゴメス嬢も捨てがたいなあ。

とニヤける自分は、思考停止状態なのかな。

 

 

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2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Me Too (池田)
2020-07-12 00:41:30
今日、見てきました。
傑作だけどちょっと複雑な気持ちにMe Tooです。
でも一連のスキャンダルは、どうもミア・ファロー陣営もあやしい気がするんですよねぇ。
返信する
あやしい家族 (taco)
2020-07-12 12:10:32
確かに真相がまるでわからないですね。
あまり深く考えず、映画を楽しめばいいんですけど。
返信する

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