Days of taco

やさぐれ&ヘタレtacoの日常と非日常

遠いけど、近い感覚

2006年11月04日 | 読んでいろいろ思うところが
400ページ以上で、上下巻。あわせて900ページ。
そんな大長編の小説を一気に読んだ。
タイトルは、『バンギャル ア ゴーゴー』
著者は雨宮処凛さん。

雨宮さんはこれまで何度か取材をさせていただいたことがあり、
その動向や活動にいつも目を見張るものがあったけれど、
文章が抜群で、作家としても相当な実力の持ち主だと思う。



上下巻を並べると、このようにひと続きのイラストとなるのだが、
デザインも素晴らしい。特に「上」「下」の文字の使い方と、
赤と紫の配色が見事というか、編集者として激しく嫉妬してしまうほどの出来。

雨宮さんは『新しい神様』という
ドキュメンタリー映画(青春映画の佳作だと思う)の主役を張ったのが6年前。
当時、「ミニスカ右翼」としてサブカル界にセンセーションを巻き起こした。
イラクや北朝鮮に赴き、世界や日本の矛盾を訴えたりして名を馳せた。

「ミニスカ右翼」と名乗ったことからもわかるように、
その活動は真面目一辺倒ではなく、
どこか脱力した笑いや自虐的なギャグを
醸し出しているところが新しいと思う。

そんな人の新作小説は、バンギャル。
ヴィジュアル系のバンドが死ぬほど好きで、
追っかけに命を賭ける女の子たちが主人公だ。

3人の女の子たちが、バンドに狂い、追っかけ、
そこで育む友情や、裏切り。涙と笑いや高揚感。
セックスとドラッグがくしゃくしゃに入り混じった小説だ。
さまざまな経験を積み、しかし、それは良識あるオトナからは
何の支持も得られず、蔑まれる女の子たち。
信じるものは、ただひとつ。彼女たちの大好きなバンドのシャウトだ。
そのシャウトの美しさをどこまでも信じ、飛び上がる。

すごく正統派で泣ける青春小説を読んだ、という気がする。
僕はヴィジュアル系のバンドなど、大して知らないし、
まともに聞いたこともない。
追っかけの女の子ともまったく接点のない人生を送ってきた。
しかし、どこか通じるのだ。こんなヘタレで小市民な僕でも。

誰か映画にしてくれないかな。きっと名作になるよ、これ。
コメント (2)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« しみじみと人生について | トップ | あとは水、と爺さんは言った »
最新の画像もっと見る

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (denkihanabi)
2006-11-10 00:51:20
面白そうだな。
読んでみるよ。
返信する
Unknown (taco)
2006-11-10 10:13:30
長いけど、一気に読めます。
大槻ケンヂの『リンダリンダラバーソウル』と表裏一体を
成す小説だと思います。
オーケンはバンドマンの視点から。
この『バンギャル』は追っかけファンの視点から。
返信する

コメントを投稿

読んでいろいろ思うところが」カテゴリの最新記事