近藤正高「タモリと戦後ニッポン」(講談社新書)を読む。
「笑っていいとも」が終わったあと、
タモリに関する本が「追悼本」みたいなノリでたくさん出たことがあった。
でも「いいとも」が終わっても、「タモリ倶楽部」とか「ブラタモリ」などで、
相変わらずというか、もう70歳になろうというのに、
ますますタレントとして安定し続けているタモリ。
本書は、膨大な資料をひもときながら、
戦後日本の歩みをタモリの人生とシンクロさせて
語ったところが新鮮というか慧眼というか。
時代の流れに上手に乗っていたタモリが、
いつのまにか時代の方がタモリに追随しているという分析が面白い。
小林信彦やナンシー関、高田文夫や水道橋博士といった、
喜劇人を語らせると抜群に面白くて鋭い文章を書く人はいるけれど、
客観的な分析を試みつつ、タモリへの愛にあふれた好著をものにした
近藤正高という人。この人の文章をもっと読みたい。