ジム・ジャームッシュ監督
「オンリー・ラヴァーズ・レフト・アライヴ」を見る。
吸血鬼のカップルの、これはラブストーリーか。
倦怠期の夫婦が、お互いへの愛を再確認する映画とも読み取れるような。
吸血鬼とはいっても、
夜な夜な人の生き血を求めて彷徨うような時代ではないらしく、
病院でこっそり血清を買ったり、同じ吸血鬼の長老から
レアものの血を譲ってもらったりする主人公たち。
さすがに太陽の光は苦手らしく、明け方寝て、夕方、陽が沈んで起きるという生活。
どうやって生活の糧を得ているんだろうと思いながらも、
スマホは持ってるし、ヴィンテージものの楽器をコレクションしたりしている姿は、
いつまで経っても大人になれない、ひきこもりのカップルを描いているようだ、
というか実際そんな映画なのである。
その現実感の無さ(吸血鬼だし)をベースにしつつ、
ダラダラとした日常を味わう不思議な映画体験は、
いかにもジャームッシュらしいというか。
この監督、もう還暦を過ぎているんだけど、ずっとこんな
サブカルな映画を撮り続けているところに感服する。
ふつう、人として成熟して、人生を感じさせるような映画を撮るだろうに。
って、これは褒め言葉です。
現実から引き離してくれる映画は、それだけで優れた映画だと思うし。
いつまでもこんな映画を見せてくれることを希望します。