桜井昌司『獄外記』

布川事件というえん罪を背負って44年。その異常な体験をしたからこそ、感じられるもの、判るものがあるようです。

犯罪として

2019-01-23 | Weblog
今、最高裁に係属する仲間の再審事件には、大崎事件、湖東記念病院事件、北陵クリニック事件がある。
その中で、昨年3月に宮崎高裁支部で再審開始決定が維持されて検察の抵抗を受けている大崎事件は、そろそろ最高裁の判断が出るものと思っていたらば、今まで何も反論をしなかった検察が、つい先日、反論書面を提出したらしい。
しかし、その書面に添付された御用学者の鑑定は、もう5カ月も前に作成された鑑定書だったとか。
これ、おかしくない?
なぜ5カ月前に出さないのだ!
あれは何時だったか、再審無罪が確定した足利事件のとき、最高裁は弁護団が書面を 提出した直後、棄却決定を出した。弁護団の提出した書面を見ないで判断したと感じる事件は、ときどきあるが、検察の書面となると最高裁はぐずぐずする。
大崎事件の原口アヤ子さんは、もう90歳を超えて自分の意思を示す言葉を失っている。弁護団は、原口さんの命あるうちに再審無罪の結果を届けたいと懸命に努力しているが、検察には人の命に想いを致す義務はないとでも言うのだろうか。
いかに有罪と信じていようが、訴訟を速やかに進行させる義務は法曹が一様に背負うはずだ。そして、検察には真実義務もあるはずだ。
既に高裁段階で否定された内容を蒸し返して、ただ審理時間を引き延ばすだけの意味しかない書面を、今にもなって提出するのは、原口さんの命の火が消えるのを待つ手段としか思えない!本人が亡くなれば検察の過ちを責める社会の批判が薄まるとでも思っているに違いない。
こんな腐れ人間たちを信じて存在する法律は変えるしかない。検察が誤った行いをしたならば、殺人事件と同じように時効なしで責任を負わせる法律を作るベきなのだ。真実をねじ曲げる検察の行為を犯罪として裁かなければならない!