桜井昌司『獄外記』

布川事件というえん罪を背負って44年。その異常な体験をしたからこそ、感じられるもの、判るものがあるようです。

再犯率

2014-11-15 | Weblog
今朝の新聞に、刑務所から出た人が罪を犯して刑務所に戻る割合が増えていることが報じられた。47・8%にもなり、17年連続で増えているとか。
塀の中から解放されても2人に1人が刑務所に逆戻りするわけだが、そうだろうなぁ、と俺には良く判る。俺が年金に付いて書いたところに、森利行さんがキャピックのことなど、矯正の在り方を批判的に書いて下さったが、その通りで刑務所は矯正施設と言われるが、実情は違う。刑務官の生活の場であり、受刑者は、その生活のタネでしかない。
キャピックは、刑務官の天下り先で警察官の天下り先ではないが、受刑者を安い金(賃金とは呼ばず、当時は作業賞与金と呼んだが、今は名称が違うかも知れない)で使い、その利益で運営されている。
つまり、受刑者は、刑務官の天下り先を支える労働力とされ、物のように管理されてロボットのように操られる。
そのような時間を重ねることが矯正になどなるはずがない。自分の意志で考え、動き、犯した罪を反省するのでなく、私語脇見厳禁など、人間的な日常を奪う懲罰的な時間を送らせることだけで矯正しようと言うのが日本の刑務所だ。
俺が作業で得ていた賞与金は、最高で8千円程度だった。仮釈放になるまでの18年間に貯まった金は百万円程度だった。それも自己労作業と呼ばれる内職を、休日以外は、毎日2時間、部屋に戻ってやって得た金も含めてだ。
刑務所作業が社会で役立つ仕事でないことを含めて、塀の中で長い時間を過ごして社会に帰った人は、たちまち生きて行くことが困難になってしまう。
かくして再犯だ。
もし、この再犯率を半分に出来たならば、社会の安全や公費の削減(受刑者にかかる費用だけではなくて警察官、刑務官などの削減にも繋がる)など、大いに国家の利益となるだろうに、誰も真剣に考えているように思えない。
受刑者数の増加に較べて刑務官が少ないなど、刑務所の実情を知る身としては、やはり根本的に矯正の中身を変える必要があると思うよなぁ。