桜井昌司『獄外記』

布川事件というえん罪を背負って44年。その異常な体験をしたからこそ、感じられるもの、判るものがあるようです。

みんな

2014-11-07 | Weblog
俺は子供のとき、ほとんど親に要求をしなかった。我が家は貧乏だし、何かが欲しいと言えば、きっと親は悲しむと思ったからね。欲しいモノがあっても言えなかったよ。
俺たちの世代は、まだ戦後の貧しい時期だから、大したモノはなかった。遊びと言えば野山で走り回り、みんなで楽しんだなぁ。考えれば、いい時代だった。
確かに、少しずつ豊かになり、漫画本や流行品などもあって欲しいとも思ったけど、「みんなが持ってる!」とは言わなかったなぁ。俺は、五体満足さんを責めていない。ただ、俺は冤罪を体験してるから、無実になった人を「犯人だ」と言うことは許されないだろうと理解して欲しかっただけ。
それは「中勝美は舞鶴事の犯人」と思う人もいる。ネットで無責任に「やはりアイツだった!」などと言う人も多いんだろうね。しかし、それが五体満足さんの言葉を正しいとする保証にはならない。
判るよね。
他人は他人、自分は自分。いくら多くの人が語っても間違いは間違いだもの。
あの第二次大戦だって、圧倒的な日本国民は「鬼畜英米!!」と唱えて、万歳したのではなかったろうか。
あの戦争に反対した人も日本には存在した。
どうせなるならば、そんな存在になりたいよね、「みんなに同調」ではなくて、真理を見抜いて「されど吾は反対」なんて。
俺なんて、結構、適当だし、なかなか、そうはなれないけどね。
みんなが賛成、みんなが一緒なんて気持ち悪くない?意見は大歓迎。でも、犯罪者なんて弱いのさ。何時、誰が、そうなるかも判らない。温かい目で見て欲しいと、俺は願うばかりだ。
もちろん、犯罪に対しては、許さない厳しさを持ってね。
五体満足さんにも、そう願ってる。

読売新聞で2つ

2014-11-07 | Weblog
「出生率を1、8に引き上げ」と1面トップの大見出し。「政府目標地方創生の骨子案」と、並んで小見出しがあった。
こんな記事、何の意味があるのだろうか。政府が出生率を決めたからと言って子供が増えるものではあるまい。
日本の人口減問題は、確かに国の存亡に繋がる重要事項だが、産科医院の減少など、女性が子供を産み育てる環境が悪化している。自民党が地方創生法を作ったからと言って、今までと同じに空念仏では、何も産み出せるものではない。
全く中身の無い記事をトップに掲げるところが安倍応援団新聞たる所以だよなぁ。
慰安婦特集もあった。
これには誤導がある。
「いつから外交問題化」とした解説で、『92年1月11日の朝日新聞が韓国世論に火を付けた。
と指摘するが、そうだろうか。
『陸軍省通達文書が発見されて「慰安婦を募集している民間業者が問を起こす例が少なくないので、軍が統制、監督するように」という内容はあったが、強制連行を裏付けるものではなかった』
と解説しているのだが、この解説者は文章の読解力が足りないのではないか。
「慰安婦募集で民間業者が問題を起こす例が少なくない」とは、では、どのような問題だと言うのだ。書くまでもあるまい。暴力や拉致的なことだろう。判るだろうが「少なくない」とは、官僚言葉で「多い」と言うことでもある。暴力的に拉致的に慰安婦にするような例が、沢山あったと言うことだ。
確かに、日本軍が直接に指揮、命令はしなかったとしても、現に「募集の統制、監督」をし、日本軍規の中で「慰安所」を運営したのではないか。これに日本政府の責任はないと主張することは、俺には、全く理解出来ない。
また、「朝日の記事を始めとして、挺身隊を慰安婦と混同する誤解もあって混乱を助長した」
と書くが、その誤解は読売新聞にもあったはずだ。朝日だけの社名しか書かないのは誤導になろう。
そもそも「朝日が火を付けた」というが、発端は、書かれるように「91年に韓国人元慰安婦が日本政府に賠償を求めて提訴した」ことにある。ここが始まりなのだ。
そこに「吉田虚言」が加わり、「確かに火を付けた」1面はあるだろうが、日本軍に従事する慰安婦を、日本軍に変わって募集していた民間業者なのだ。それを慰安婦にされた人たちや、その支援者が「日本軍が行った」と思うことは、ある意味、自然な考えだろう。「日本軍とは無関係」と否定することは、とても無理な話だろう。いかに朝日攻撃でシェアを広げたい思いはあろうとも、このような記事は、いつかは読売自身に問題として降りかかる記事になりはしないだろうか。
我が布川事件や冤罪事件に頼りとなる記事を書いてくれる読売新聞なのに哀しい話だよなぁ。
この問題に詳しい柳田さんの見解を聞きたい気持ちだ。