スピノザの『エチカ』と趣味のブログ

スピノザの『エチカ』について僕が考えていることと,趣味である将棋・競馬・競輪などについて綴るブログです。

地位の保全&秩序の違い

2022-02-05 19:12:20 | 将棋トピック
 三浦九段の経済的な面での損害の回復は,当事者間での和解が成立しましたし,それは三浦九段も納得することができたということだと思いますので,僕の方からは何もいうことはありません。そしてもうひとつ重要だったのが,三浦の地位の保全に関することで,それも新会長としての佐藤の大きな仕事であったといえます。
 竜王戦に関しては,竜王を獲得するという機会は失われましたが,対局をすれば必ず獲得することができるというわけではありません。挑戦して失敗した場合は,次の期は1組から出場することになります。ですからこれは三浦に1組の地位を与えれば,それで地位は保全されたということになります。
 同じように対局の機会を失った王位戦に関しても,リーグに入ることや挑戦者になってタイトルを獲得するための機会は失われました。ただそれも,必ずリーグに入るまで勝ち上がることができたとは限りませんし,リーグに入っても挑戦者になれるとは限りません。また,リーグに残留することができるというものでもありません。リーグ入りして陥落した棋士と,リーグに入ることができなかった場合は,次の期は予選からの出場になります。とくに王位戦の場合,リーグ戦と予選があるだけで,予選に格式,たとえば一次予選と二次予選といったような格式がありません。実績や順位戦の地位と関係なく,A級であろうがフリークラスであろうが,タイトル保持者とリーグの残留者以外は同じ条件の予選からの出場になります。そして三浦はリーグ戦で不戦敗になってリーグを陥落したわけではなく,予選で不戦敗になり,直接的にはリーグに入る機会を失ったわけです。したがって次の期も予選から出場するということで,地位は保全されることになります。
 最大の問題は,一年間をかけて戦うリーグ戦である順位戦の地位です。三浦はA級に在籍していましたが,そのA級の地位の保全には特例が採用されることになりました。ただこの特例のために,やや公平性に欠けることになったという見解を僕は有しています。

 青野が右脳と左脳の対決ということで,どのようなことをいわんとしているのかは分かりました。ただ,僕の見解opinioとしていえば,これを対決というのは,青野がそのように表象しているだけであり,実際に対決が生じているわけではありません。もっと一般的にいえば,右脳が出す結論と左脳が出す結論が異なるからといって,直ちにそれを対決ということはできません。第三種の認識cognitio tertii generisで出した結論を,第二種の認識cognitio secundi generisによって精査したとき,当初の結論とは異なった結論が出てきてしまうということは,現実的に存在する人間の知性intellectusにおいては生じ得ると僕は考えます。こうしたことが生じてしまうことにはきちんとした理由があるのですが,このことは前に飯田が第三種の認識に依拠してプレイした内容をうまく説明することができなかったということと若干の関係を有しますので,まずそのふたつをまとめて説明します。そしてこの説明によって,青野の右脳と左脳の分節もまた,第三種の認識と第二種の認識に同一視することができるということも理解できるでしょう。
                                        
 第三種の認識によって出した結論は,第二種の認識の蓄積に依拠します。ただ,現実的に存在する人間の知性のうちにある第二種の認識による諸々の観念ideaは,ある特定の秩序ordoと連結connexioを保って存在しているので,その秩序と連結を,第三種の認識で出した結論に秩序立てたり連結させたりすれば,第三種の認識を第二種の認識によって理解することができ,理解することができれば説明することが容易になります。しかしそれができないと,なぜその第三種の認識が自分の知性のうちに生じたのかということを理解することがままならず,よって説明することはできないのです。つまり,たとえ同一の結論が出る場合であっても,第三種の認識の秩序と,第二種の認識による秩序というのは,同じ人間の知性のうちにあって異なるのです。いい換えれば,現実的に存在するある人間の知性が,ある物事を第二種の認識で認識するcognoscere適性と,その同じ物事を第三種の認識で認識する適性というのは,同一ではありません。スピノザはこのことをそのままいっているわけではありませんが,正しいということは論証できます。
コメント
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