スピノザの『エチカ』と趣味のブログ

スピノザの『エチカ』について僕が考えていることと,趣味である将棋・競馬・競輪などについて綴るブログです。

オールスター競輪&三角形の定義

2016-08-15 19:37:12 | 競輪
 被災地支援競輪として松戸競輪場で開催された第59回オールスター競輪の決勝。並びは新田‐菅田の北日本,平原‐武田‐木暮の関東,村上‐稲垣‐岩津の西日本で中村は単騎。
 前受けは新田。3番手に村上,6番手に中村,7番手に平原という周回。残り3周で平原が上昇しようとすると村上が併せていき,結果的に平原を出させずに新田を叩いて前に。平原は後ろまでは下げず,新田の後ろに割り込み,残り2周のホームで村上‐稲垣‐岩津‐中村‐新田‐平原‐武田‐木暮‐菅田で一列棒状。このまま村上が速度を緩めず先行。残り1周のホームに入ってから新田が発進しようとしましたが,直後から平原が発進。うまくコーナーで新田を外に振り,浮いた新田は圏外。平原が来る前にバックで稲垣が番手発進。平原の捲りは岩津に牽制されて失速。直線は粘る稲垣を交わして岩津の優勝。稲垣が4分の1車輪差で2着。このラインに続いた中村が流れ込んで半車身差の3着。
 優勝した岡山の岩津裕介選手は昨年1月にいわき平記念を優勝して以来のグレードレース優勝。ビッグは初優勝。このレースは稲垣が前を回るケースが圧倒的に多い京都勢が,村上が前という並び。村上も稲垣にはたくさん勝たせてもらっているので,今回は早めに駆けていくということも考えられましたが,その通りの展開に。どちらが前を回るにしても京都勢を追走というレースを選択する予定であったようですが,その選択がうまくいったということでしょう。捲ってきたのが新田ではなく平原になったのも,速度的に牽制しやすくなった面があると思われ,その点もこのラインにとってはよかったかもしれません。

 ここで再びスピノザが第二部定理四九を論証するときに示していた実例に目を向けてみます。
                                     
 内角の和が二直角である図形を,スピノザが平面上の三角形の本性に属すると解していることは疑い得ません。ですが内角の和が二直角であるということは,三角形の発生を含んでいるとはいえません。ですから条件①により,これは三角形の完全な定義ではあり得ないことになります。
 では内角の和が二直角であるという性質は,平面上の三角形にとって何なのでしょうか。それは条件②で示されている特質proprietasであるとしか考えられないと僕は解します。すなわち円の定義,一端が固定されもう一端が運動する任意の直線に描かれる図形であるということから,中心から円周上に引かれるすべての直線の長さが同一であるという円の特性が帰結するように,内角の和が二直角であるということは,三角形の定義から帰結する特質であると僕は考えるのです。第三部諸感情の定義六説明からみてとれるように,スピノザは本性と特質を対立的に考えています。これを踏まえるなら,スピノザはそれを三角形の本性に属すると解しているものの,実際には三角形の特質であって,本性ではない筈なのです。同様にこのことは,それが三角形のよい定義ではあり得ないということに着目すれば,第一部定理八備考二でスピノザが示している定義の条件からしても,やはり三角形の本性であるとはみなせないことになるでしょう。
 ある平面上に任意の直線ABがあって,この直線上さらにその延長線上でもない任意の点Cがあるとき,直線ACおよびBCによって描かれる図形というのは,やや微妙ですが,三角形の発生を含んでいるといえなくもないでしょう。内角の和が二直角であるということは,こうしたことから帰結しなければならないのだと僕は考えます。いい換えればこうした記述こそが,三角形のよい定義には相応しいものだと僕は考えるのです。
 僕は第二部定義二が,スピノザの定義論をむしろ難解にさせているという意味のことをいいました。その理由はこれでお分かりいただけたと思います。スピノザ自身が,特質を本性に属するものとみなしているからです。
コメント
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