スピノザの『エチカ』と趣味のブログ

スピノザの『エチカ』について僕が考えていることと,趣味である将棋・競馬・競輪などについて綴るブログです。

女流王位戦&第一部定理一三証明

2014-03-14 19:47:24 | 将棋
 久々にベテラン対決となった第25期女流王位戦挑戦者決定戦。対戦成績は清水市代女流六段が72勝,中井広恵女流六段が44勝。棋戦の少ない女流でこの対局数は驚きを禁じ得ません。
 振駒で中井六段の先手。相掛りで先手が銀冠,一旦は高飛車に構えた後手が雁木からの右玉という持久戦。激戦から,後手が持将棋に持ち込めるかどうかという展開になったのですが,先手が寄せようとしたために急な終局となってしまいました。
                         
 後手は押し返されてはいけませんので△5六桂はこの一手。先手は確実に入玉が可能になる手を指すべきであったのでしょうが,▲6四とと寄って金を取りにいきました。△同金▲同桂△同馬でその目的は達成したものの,かえって自玉が危険な形に。▲8三龍と王手をしましたが△6三桂と打たれました。
                         
 合駒の桂馬ですが,後手玉の上部脱出阻止の一枚になっていてむしろ幸便。金を取ったとはいえ後手玉が即座に寄るという局面ではなく,一気に後手の勝ちになりました。
 清水女流六段が挑戦者に。タイトル戦出場は第38期女流名人位戦以来。女流王位戦には第22期以来です。

 スピノザは第一部定理一三を,背理法で証明しています。
 絶対に無限な実体がふたつの部分,AとBに分割されると仮定します。このときAとBは,分割以前の絶対に無限な実体の本性を保持し続けるか,保持することをやめるかのどちらかでなければなりません。これが証明の前提になります。
 AとBが絶対に無限な実体の本性を保持し続けると主張することは,本性を同じくするAとBというふたつの実体が存在すると主張しているのと同じです。しかしこれは第一部定理五の規定に反するので不条理です。
 AとBが絶対に無限な実体の本性を保持しないとするなら,第一部定理七により,Aの本性にはAの存在が,Bの本性にはBの存在が属さないと主張しなければなりません。この場合には,AもBもその存在をやめるということになります。あるいは少なくとも,知性はAもBも存在しないと考えられることになります。
 第一部定理一一により,絶対に無限な実体は,必然の第一の意味において必然的に存在します。要するにこの主張は,永遠から永遠にわたって実在するものの部分が,存在しないと概念できるもの,いい換えれば存在することを止め得るものによって構成されているといっていることになります。これも不条理です。全体のすべての部分が存在を停止しても,全体は存在を停止しないということはあり得ないからです。
 つまりAもBも,分割前の絶対に無限な実体の本性を保持し続けることはできないし,保持しなくなるということもできないということになります。そしてこうした不条理が発生するのは,絶対に無限な実体をAとBというふたつの部分に分割することが可能であると仮定するからです。よって絶対に無限な実体は,分割することが不可能であるということになるのです。なお,このことは,AとBというふたつの部分ではなく,それ以上のいくつの部分に分割した場合にも妥当であるということに注意しておいてください。
 スピノザがこの定理をこのような方法で証明していることには,ある戦略的な観点があったかもしれません。それはすぐに明解になります。
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