スピノザの『エチカ』と趣味のブログ

スピノザの『エチカ』について僕が考えていることと,趣味である将棋・競馬・競輪などについて綴るブログです。

ギミック&無による限定

2013-09-01 18:41:56 | NOAH
 流血はプロレスにおけるギミックである場合があると僕は考えています。ただ,何をギミックとみなすのかということについて,共通の見解があるとはいえません。僕がどの範囲までをギミックと判断するかを説明しておきます。
 大まかに分けると,僕はギミックには二種類あると思っています。ひとつは弱みを強調するもの。流血はこちらに分類されます。ある種のテーピングとかサポーターなどがギミックの役割を果たす場合もあると僕は思っています。
 アンドレ・ザ・ジャイアントは,試合中に両手をロープに絡ませ,身動きが取れない状態になることがありました。これはアンドレのプロレス的才能から発したものだと思いますが,やはりこの種のギミックのひとつであると僕は考えます。もちろんアンドレだけに特有のギミックであるわけではありません。
 自分から攻撃を仕掛けて,相手が避けたために,たとえば急所を打ちつけて悶絶するというようなケースもあります。これは純然たるギミックとは意味合いが明らかに異なるのですが,僕はギミックのひとつとみなします。
 もうひとつはこれとは逆に強さとか力を誇示するもの。今はあまり見られなくなりましたが,以前はキーロックをかけられた選手がそのままの状態でかけた相手を肩に担いで立ち上がるというようなことがありました。カール・ゴッチはこれを得意にしていたようですし,僕の知っている範囲ではボブ・バックランドはこうした動きを見せました。これはプロレスの勝負という点では無意味というか,場合によっては逆効果になりかねない行為ですが,ファンに対する力のアピールにはなり得ます。こうした事柄については僕はそれをギミックとみなしています。ロードウォリアーズが見せていたような,対戦相手を頭上にリフトアップするような動作もこれに該当します。
 いずれにせよ,ギミックというのは,それを行う選手が単独でなし得るような行為ではなく,相手の協力が不可欠だといえそうです。したがって,ギミックが試合中に出現するときには,選手間の信頼関係が構築されているとみてよいのではないかと思っています。

 スピノザの哲学における十全な観念と混乱した観念の関係が,単に前者が真理veritasであって後者は虚偽falsitasであるということに留まるものではないということは,これまでにも何度か指摘してきたことです。むしろ第二部定理四三備考でスピノザが明らかにしているように,これは有と無の関係を示します。一方,単に観念ideaといわれる場合,それは有であると理解されなければなりません。このことは第二部定理七系の意味と,第一部定理一五から明らかだといえます。ただここでは第二部定理一一系の具体的な意味のうち,第一の意味だけを念頭においていますから,本来は無である混乱した観念idea inadaequataが,あたかも有であるかのように仮定されているだけです。
 このように考えれば,一般的な意味において観念が混乱した観念によって限定されるというのは,有であるものが無であるものによって限定されると主張していることになります。また,命題文だけでいうなら,十全な観念idea adaequataが混乱した観念によって限定されるような命題を作ることもできます。端的に,十全な観念は混乱した観念ではないという単純命題は,文法に着目するだけならば,明らかに混乱した観念が十全な観念を限定していると解釈できるからです。
 もちろんこの単純命題というのは,XはYではないという命題そのものですから,否定的であり,積極的であるということはできません。そしてその根拠は,混乱した観念が十全な観念を限定しているということのうちにあるのではなく,すでにみたように,この命題が十全な観念の十全な観念たる所以を示すことに成功していないという点にあります。なので現在の観点からは問題は起こらないのですが,少なくとも命題文として,混乱した観念すなわち無が,有である十全な観念を限定しているということは間違いないのだといえます。
 しかし,僕の考えでは,こうしたことを主張するのは不条理なのです。なぜならば,無というのは有の否定negatioであると考えるべきだからです。このことは有というのが,実在性realitasを伴った存在existentiaと理解されるということから明瞭です。つまり有というのは力potentiaであり,無というのは無力impotentiaのことです。無力というのは単に力の否定であって,それ以外の何ものでもあり得ないからです。
コメント
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