スピノザの『エチカ』と趣味のブログ

スピノザの『エチカ』について僕が考えていることと,趣味である将棋・競馬・競輪などについて綴るブログです。

順位戦展望&ふたつの個物

2013-06-01 19:08:49 | 将棋トピック
 第71期名人戦は森内俊之名人が羽生善治三冠の挑戦を4勝1敗で一蹴。この結果,第72期順位戦A級1位は前年と同様に羽生三冠となり,全参加メンバーが決定。恒例の展望です。
 A級。名人戦での森内名人と同様,順位戦での羽生三冠は異常な強さを発揮していますので,やはり最有力ではあるのでしょう。ただ,そろそろ渡辺明竜王にこのクラスでも真価を発揮してほしいというのが個人的な希望です。
 B級1組。最注目は昇級してきた豊島将之七段。このクラスをすぐに抜けることができれば,A級でも上位の争いが期待できるのではないかと思います。前期に期待していた広瀬章人七段と阿久津主税七段は,厳しくいえば不甲斐ない成績に終りましたが,頑張ってほしいという気持ちは今期も同様です。
 B級2組。一筋縄ではいかないクラス。佐藤天彦七段,戸辺誠六段,稲葉陽六段,村山慈明六段が有望株ですが,ベテランの力も侮れないように思います。
 C級1組。このクラスも若手精鋭が何人かいますが,個人的に最も期待しているのは阿部健治郎五段です。そしてぜひとも注目しなければならないのは斎藤慎太郎五段。このクラスもすぐに突破するようであれば,将来性はかなり高いといえるのではないでしょうか。
 C級2組。一時期に比べますと若手強豪と目される棋士が上に抜けていったように思います。昇級させてあげたいと思うのは横山泰明六段。順位が上位ですから昇級争いには絡んでくるでしょう。ほかに順位上位者の中では佐々木勇気四段や永瀬拓矢五段でしょうか。

 第一部定理二六第一部定理二七とを,このような仕方で読解することに対しては,次のような反論が生じるかもしれません。
 第一部定理二五系は,個物について言及されています。これに対して,第一部定理二六および第一部定理二七では,個物とはいわれずに単に物といわれています。このゆえに,第一部定理二五系を通して第一部定理二六と第一部定理二七を読解するということは,いかにそれらがその直後に言及されているのだとしても,問題があるのではないかという反論です。
 スピノザの哲学において個物というのは,ある特別なことばであるといえると思います。ですから,スピノザが個物という場合と,単に物という場合を同一視することはできないという考え方には僕自身も同意します。したがって予想されるこの反論に対しては,弁明しておく必要があるでしょう。
 個物というのは,もっと後,第二部定義七においてようやく定義されることになります。そこでスピノザが定義しているのは,res singularisです。これは直訳すれば個別的事物とでもいうべきものです。僕は日本語としての個物ということばがいつだれによって発明されたのかは知りません。ただ,個物というのが,この個別的事物を簡略化したことばであるのは間違いないだろうと思います。
 これに対して,第一部定理二五系で言及されている個物というのは,res particularisであり,ラテン語では異なっているのです。こちらはもしも直訳するのであれば,特殊的事物ということになると思います。
 スピノザがこのような使い分けを行った理由のひとつとして,res singularisについては後に定義する予定があったので,この段階ではまだそのことばを用いることを躊躇し,res particularisといったということは考えられないわけではありません。ただし,この主張には正当性を欠くような要素もあります。第一部定理二八は個物の無限連鎖について言及していますが,そのときにはスピノザは,複数形への変化というのを無視すればres singularisの方を使っているからです。これも第二部定義七以前であるのは同様なのです。
コメント
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