スピノザの『エチカ』と趣味のブログ

スピノザの『エチカ』について僕が考えていることと,趣味である将棋・競馬・競輪などについて綴るブログです。

農林水産省賞典安田記念&同一の訳

2013-06-02 19:00:02 | 中央競馬
 香港から2頭が遠征してきた第63回安田記念
 出走すればほぼ逃げるシルポートが今日もハナへ。後ろを離す大逃げとなり,前半の800mは45秒3。これでもミドルペースでしょうから,追走グループはスローペースであったと考えられます。単独の2番手がヴィルシーナ。カレンブラックヒルとエーシントップが併走。ガルボ,ヘレンスピリット,ダークシャドウの3頭が好位。中団にサクラゴスペル,掛かっていたように見えるグランプリボス,ロードカナロア。
 シルポートは直線で一杯に。先行勢が内で叩き合うのを馬場の中央からダークシャドウ。そしてそれをさらに外からロードカナロアが捕えて抜け出すと,後方に控えていたショウナンマイティが最後は大外から急襲。しかしロードカナロアがクビ差だけ残して優勝。ショウナンマイティは直線で進路をうまく確保できていればといった感じの2着。勝ち馬をマークするようなレースとなったダノンシャークは,最後まで追い付けず,4分の3馬身差で3着。
 優勝したロードカナロア高松宮記念以来の実戦。大レースはこれが4勝目。世界で通用する能力があることは証明していましたが,ここは距離延長。さらに東京競馬場では初出走ということで,未知数の部分もありました。そうした課題を克服して,スプリントとマイルの2階級でトップに立ったわけで,歴史的な名馬になったといえるでしょう。父はキングカメハメハ。Kanaloaはハワイの伝説に出てくる神の名前。
 騎乗した岩田康誠[やすなり]騎手は高松宮記念以来の大レース制覇。第58回以来5年ぶりとなる安田記念2勝目。管理している安田隆行調教師は高松宮記念以来の大レース制覇。安田記念は初勝利。

 では第一部定理二五系でなぜres singularisの方ではなくres particularisの方をスピノザが用いたのかということについて僕がどう考えているのかといえば,それこそ第一部定理二六第一部定理二七で個物といわれず単に物といわれているものを,そのうちに含めるためであったと思うのです。そしてそうであるならば,第一部定理二六と第一部定理二七を,第一部定理二五系を通して読解したとしても,問題は生じないということになります。つまり僕のこれらふたつの定理に対する読解の疑問に対する解答は,『エチカ』には個物といっても実はふたつの個物があるという点に存することになります。
                         
 ところで,岩波文庫版の訳者である畠中尚志が,res singularisを個物と訳したのはその直訳が個別的事物なのですから,それほど不思議なことではありません。一方,直訳するなら本来は特殊的事物となる筈のres particularisもまた個物と訳したのはなぜかという疑問がここでは生じてくるでしょう。しかしこの疑問に答えることは容易であるように僕には思えます。ふたつの別のことばに同じ訳語を与えたということは,res singularisとres particularisの間に,意味上の相違はないと畠中が考えていたことの証明であるように思われるからです。僕はスピノザがessentiaと表記する本質と,naturaと表記する本性との間に,意味上の大差はないという考えから,このブログでは本質ということばは用いずに,本性ということばで統一しています。畠中は本質と本性に関しては訳し分けたのですが,要するにこれと同様のことが,岩波文庫版の『エチカ』ではres singularisとres particularisの間に生じているのだと考えてよいだろうと僕は思います。
 ただし,これはあくまでも畠中の考え方なのであって,スピノザがそう考えていたかどうかというのは当然ながら別の話です。ただ,僕自身についていえば,畠中がこれらふたつの異なったことばを同じ個物という単一のことばで訳したことは,妥当であると思っています。
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