スピノザの『エチカ』と趣味のブログ

スピノザの『エチカ』について僕が考えていることと,趣味である将棋・競馬・競輪などについて綴るブログです。

ヴィクトリアマイル&第二部定理九まとめ②

2012-05-13 18:51:05 | 中央競馬
 春の牝馬王者決定戦,第7回ヴィクトリアマイル
 クィーンズバーンの逃げは大方の予想通り。位置を取りにいったドナウブルーが外の2番手で,内の3番手に収まったのがホエールキャプチャ。前半の800mが46秒4という,スローといってもいいくらいのミドルペースとなり,結果的にこの位置取りが明暗を分けました。そういう意味では位置を取りに出た両騎手のファインプレーであったといっていいでしょう。
 直線に入りクィーンズバーンとドナウブルーの間に進路を選んだのがホエールキャプチャ。かなり手応えに余裕があるように見えましたが,ぎりぎりまで追うのを我慢。追われるとやや内に切れ込んだのではないかと思えますが,後続への影響は皆無で優勝。ドナウブルーの方は逆に外に寄っていったように見えますが,こちらも2着を確保。2頭の間隔が大きく開いた所に突っ込んだ馬たちの3着争いとなり,マルセリーナがキョウワジャンヌの追撃を凌ぎました。
 優勝したホエールキャプチャは昨年9月のローズステークス以来の5勝目で,大レースは初制覇。これが6度目の大レース挑戦でしたが,過去は2着2回,3着2回,4着1回と堅実に走っていた馬で,ようやくチャンスをものにしたといったところ。この距離が最適なのでしょうし,休養明けの前走を叩いて状態も良化していたのだろうと思います。牝馬同士であれば今後も安定して走り続けていくでしょう。父はクロフネ。後に紹介しますが日本を代表する名門牝系の出で,曾祖母が1987年にエリザベス女王杯を勝ったタレンティドガール。黒船来航は捕鯨船の寄港地確保という目的があったそうで,そこからの命名とのことです。
 騎乗した横山典弘騎手は昨年のジャパンダートダービー以来の大レース制覇で,第5回以来2年ぶりのヴィクトリアマイル2勝目。管理している田中清隆調教師は2001年のオークス以来の大レース制覇。まだヴィクトリアマイル創設以前のことです。

 あくまでも第二部定理九系とは無関係な,それ単独としてある定理として,第二部定理九の考察に入り,さしあたってこの定理を証明しました。この定理を考察に採用するにあたっての課題は,ひとつは,帰納法的に記されているこの定理を,演繹法的に解釈することが可能であるかどうかであり,もうひとつは,人間の精神が現実的に存在するという場合に,この定理をそのまま適用することが,実際に意味のあるものであるのかどうかということでした。前者は,スピノザは方法論としては演繹法のみを正当な方法として採用しますから,スピノザの哲学について考えるという場合には絶対に必要なことです。後者は,今回の考察は人間の精神による事物の認識のあり方をその対象としていますから,今回のテーマの中において満たさなければならない絶対条件であったわけです。
 先に考察を開始したのは後者です。この条件を満たすために必要な事柄がまたふたつありました。ひとつは,現実的に存在する人間の精神のうちに,個物の観念があるのかどうかということ,いい換えれば,現実的に存在する人間の精神の一部が個物の観念によって組織されているということを証明することで,もうひとつは,仮にそうであったとして,その観念を原因として,別の個物の観念が結果として必然的に生じるということを明らかにすることでした。
 このうちの前者から考えていくことになりましたが,スピノザは第二部定義三説明において,概念と知覚とを明確に分けています。よってここでは,人間の精神が現実的に存在するなら,その精神は必然的に個物を概念するし,また知覚もするということを明らかにしようと試みました。このうち,知覚の必然性に関してはわりと容易にそれを明らかにすることができます。しかし,人間の精神が個物を概念するということについては,スピノザは第三種の認識に訴えますので,それを明らかにするということが,少なくとも現時点での僕の力では不可能でした。そこで,今回の考察の意図に照らして,それに代用できるような概念が人間の精神のうちに必然的にあるということを証明するという手段を採用するということになったのです。
コメント
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