もうとつの亀ですが、「交趾大亀香合(こうちおおがめこうごう)」です。
交趾は今のベトナム北部トンキン・ハノイ地方の古名です。
この香合は横の長さは9センチ弱で、高さは6センチ強、程度の大きさです。
中国明時代に福建省の漳州で焼かれ、ベトナム通いの貿易船でわが国にもたらされたものの由。
色の美しさ、模様の面白さをかわれて江戸時代の茶席の香合に取り立てられたとか。
「型物香合相撲番付」では東の最高位の大関の位置にあったそうです。
藤田伝三郎氏はこれがほしくてほしくて、長い間あこがれてきましたが、そのうち病気に。
亡くなる直前に念願かなって手に入れましたが、9万円・今の9億円だったそうです。
でも、「手に入れました」という報告に、病床でにっこりと「そうか」と言いましたが、
結局自分の手にとらないまま、亡くなったそうです。
そんなことを知った上で、もういちどこの香合を、
眺めてください。
写真の作品はいずれも400年以上?も前に作られたものですが、実物は写真よりも美しいです。