浅草文庫亭

"大哉心乎"
-大いなる哉、心や

めさ

2011-11-05 19:39:56 | 
もし僕に子供が産まれて男の子だったらやってほしいスポーツはラグビーかアイスホッケーだと思ってます。

北海道東北に住むならアイスホッケーがいいし、関西圏に住むならラグビーがいいかな。(東京に永住するイメージがわかない)

ということでラグビーの話。

もちろんスポーツとして好きなのはサッカーで試合もサッカーのほうが良く見ている。でもラグビーはもう「思想」が好きなんだよね。

とにかく好きなのは明治大学の名物監督だった北島監督(既に故人)。

この人の名言は「前へ」

うわーシンプルー。

「前へ」は明大ラグビー部の代名詞になっているし、それ以上に明大体育会の代名詞になっている。

例えば現インテルの長友だって「明大出身らしい『前へ』というプレー」なんて表されることがたまにある、サッカー選手なのにね。

ラグビーって不思議なスポーツでトライするためにはボールを前へ進めなければいけないんだけど、ルール上、前へパスすることは「スロウ・フォワード」と言って反則になる。だからパスは横か後ろに投げなければいけないし、前へはキックしか許されていない。キックしてしまうとラグビーボールは楕円だからどこに転がるか分からない。

ほんと不思議なスポーツだと思う。

北島監督の逸話は素晴らしくて、「前へ」というプレーの結果であればどんなにミスをしても許した反面、「前へ」のプレーでなければすごく怒ったそう。

そして亡くなる時、病院のベッドの上での最後の言葉は「明大、前へ」だったらしい。うーん、すごいなぁ。

あとラグビーの思想で好きなのは「ノーサイド」だね。どんなゲームもすべては「ゲームセット」、つまり「ゲームが終わった」で終わる。でもラグビーだけは「ノーサイド」、つまり「敵味方、というサイドが無くなった」で終わる。

そしてもちろんラグビーの基本精神である「One for All, All for One(1人はみんなのために、みんなは1人のために)」もすごいと思う。

ほんと紳士のスポーツ。

そうそう紳士といえばラグビーを表す名言でこういうのもあるね。「ラグビーとは少年を紳士にし、紳士を少年にするスポーツ」


そもそも僕がなぜラグビーを好きになったのか、というと父親の影響が大きい。

父親は岩手県釜石市の出身。釜石というのは炭鉱と鉄工所の町。そして全世界的に炭鉱、鉄工所の町はラグビーが強い。

なぜなんだろうな?男が多いからかな。

特に釜石にあったチーム、新日鉄釜石は1978年から1984年までの7シーズン、全日本選手権で連続優勝した。(7連覇は当時前人未到) この強さは圧倒的で当時は「北の鉄人」と呼ばれ有名だった。

東北の片田舎の町のスポーツチームがこれだけスポットライトを浴びることはなかなか無くて、当然うちの父は熱狂した。当時、釜石に関係している人で熱狂していなかった人なんていなかったわけだけど。

そういうこともあり、父親も会社のラグビーチームに入っていたので子供の頃、よく練習に連れてかれた。夏になるとそのラグビー部の人なんかがうちの庭でバーベキューとかしていた。子供心にそういう人たちってほんとうに「気は優しくて力持ち」って感じで、僕にとっては気のいいあんちゃん、あるいはおっちゃんって感じだったんだよね。

残念ながら新日鉄釜石はいまは無くなり、社会人クラブチーム「釜石シーウェイブス」になっている。往年の強さも無くなり、今は東日本リーグにいる。


そんなこんなでこの本を読みました。

今回の震災で甚大な被害を受けた釜石をラグビーという視点から見たドキュメント。

本当に釜石にラグビーがあってよかったなと思う。いろいろあったけど釜石ラグビー応援のシンボルである大漁旗(釜石は漁師町でもあるのでスタンドでこの旗が振られる)を思い起こすだけで胸が熱くなってくる。


この本もそうだけどラグビー関係の本を読んでいるとたびたび北島監督の名とその名言「前へ」を目にする。

現釜石シーウェイブスにも明大出身はいてその人たちはやっぱり「前へ」という言葉を口にする。


この本は最後、今の釜石の復興への合言葉で〆られる。

その合言葉は「めさ」。

これは「前へ」の釜石弁。つまり「前へ」⇒「前さ」⇒「めえさ」⇒「めさ」。

「めさ、進むべ」

そうだよね、前へ。

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