浅草文庫亭

"大哉心乎"
-大いなる哉、心や

92%の諦観、8%の情熱

2006-11-24 23:25:59 | 村上春樹
ということで村上春樹訳グレート・ギャツビーを読み終えた。
スコット・フィッツジェラルド, 村上 春樹, 村上春樹 / 中央公論新社
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率直に言ってしまうと「うーん、そこまでいい小説なのかなぁ」という感じなんだよね。いや確かに大学時代に読んだときよりは「うん、なるほどそういうことなのか」と思った。村上春樹はあとがきで「この本の翻訳に関しては極力自分を出さないようにした」と言っていたけどとはいえ村上春樹臭というのはじわじわと滲み出している感じがするし。そういう村上春樹臭に慣れ親しんだ身としては読みやすい。それでもなぁ。。。またしばらく経って読み返したら印象が違うのかも知れないけどね。
次はレイモンド・チャンドラーの「ロング・グッドバイ」が出るそうです。こういうある種「古典」を訳しなおす、というのは僕はいいと思う。落語だって落語家によって違うからね。僕は古今亭志ん朝の「付け馬」が大好きなんだけど他の人の「付け馬」ってなんか違うもの。


こちらは思いもかけず面白かった。だらだらと読んでたら面白くて面白くて。猫マーロウさんがいいよね。

中に「いや、ほんとに俺もそう思ってた!」という話があった。「昔好きだった人が忘れられません」という相談に対して村上春樹が「必ず二度目のチャンスがあるのでそれを待ちましょう。二度目のチャンスを逃すと三度目はありません」と答えていた。わかる!! 僕の(少ない)経験から鑑みてもそうですもの。

いろいろあって別れてもふとしたときにまだ道が重なるんだよね。ふと思い出して電話してみたらちょうど彼氏と別れてた、とか。それでまた「食事でも」という話になって結構いい感じになったり。これはねー、ほんとそうです。で、さらに「三度目は絶対ない」というのも本当。これがまたきれいさっぱりない。三度目にあったとしたってそれはもう完全に友達。向こうがそう、というだけでなくこちらも「まぁもういいか」と思うしね。二度目を決めれるかどうかなんだよねー。村上春樹が言うには「二度目まで【92%の諦観、8%の情熱】で待ちましょう」ってことだそうです。うーむ、含蓄のあるいい言葉だね。これはね、28歳くらいからなんか理解できるようになった。28歳くらいまでは【99%の情熱、1%のあせり】だったもんな。理想としては「これは相手もまんざらではないかな」というセリフや行動があっても9回くらいはにっこり笑って受け流す。10回目もGentlyにやりすごす。11回目に少しだけ情熱を表す。こういうのがきっちり出来るようにならないとね。しかしねー30そこそこくらいではまだまだ理解は出来るけど体がついてかない、って感じなんだよな。今までの僕の(少ない)経験上、二度目は大体3年以内に来ますね。お互いの年齢にもよるのかも知れないけどね。だから忘れられない人がいる方、【92%の諦観、8%の情熱】で3年間の辛抱です。ほんとかね?

村上春樹ってこういう標語うまいよなぁ。

「一に足腰、二に文体」
「腹が立ったら自分に当たれ、悔しかったら自分を磨け」

いいねぇ。

一番面白かったのは「早寝早起き朝ごはん」という言葉を入れて標語を作ってください、という質問への
「早寝早起き朝ごはん、だめよ朝からそんなこと」
って答え。くだらないよね。

関係ないけどこのシリーズ読んでると「カラマーゾフの兄弟」読みたくなるね。上巻は持ってるんだけどなぁ。
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9 コメント

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そう言われてみれば (むめも)
2006-11-25 03:15:05
私も2度目のチャンスで結婚したクチですね。一度遠距離になって別れて、8年間は友達として年に1、2度のメール。改めて連絡を取り合って、そのまま結婚しました。私もこの文章リアルタイムで読んでたけど、自分が当てはまってるって、今まで気づかなかったな。
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ふむふむ。 (あやめ)
2006-11-25 11:38:12
村上さん、いいこと言うなあ。(笑)
二度目、ね。(笑)
うん。
わかる。(笑)・・・。

読んでみようかな。
これから年末年始は、読みたい本がたくさんあります。
村上さんは、どうも、敬遠しがちだったので、いいかも。
・・・
なんか、恋愛リアルねえ~。・・?(笑)
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Unknown (show)
2006-11-25 11:53:23
>むめもさん

お宅もですか。なるほどねー。8年間、年一、二回のメールねぇ。うーんあまりうまく想像が出来ないけど。まぁお幸せそうで何よりで。

>あやめさん

いいこといいますよね、村上春樹。伊達にカフカ賞取ってない。関係ないかも知れないけど。

年末年始は本好きにはたまらない季節ですね。今年は正月休みも長いし。
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Unknown (ドッピオ)
2006-11-25 21:06:13
三度目はないか…何をもって一度二度かってのはあんまり考えないのでピンと来ない。
「ギムレットには早過ぎる」
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Unknown ()
2006-11-25 21:52:12
%とかあたしにはムリ。

愛の才能\ナイノ。
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Unknown (show)
2006-11-25 23:01:56
>ドッピオ

あれ、もしかして「長いお別れ」読んだ?結構きみ翻訳物も好きだよね。あ、「ストリートキッズ」も面白かったよ。さよならをいうのはわずかのあいだ死ぬことだ」

>勇さん

そうですかー、愛の才能ないですかー。そういうのはある人にはあるしない人にはないもんですからねー。Some can sing,others not.ってやつです。ま、愛の才能がない人は他の才能があるものです、往々にして。
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Unknown (ドッピオ)
2006-11-25 23:17:21
ストリートキッズ面白かったですか。俺が死んだら棺桶に入れてほしい本の二冊目だからね、あれは。
「長いお別れ」読んだよ。渋すぎてよく理解できなかった。あのセリフだけは有名みたいだね。
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こんばんは (りなっこ)
2006-12-04 20:05:38
私もやっと読みましたよ、「グレート・ギャツビー」。 意外にも、なかなか良かったです。

>「うん、なるほどそういうことなのか」

・・・って、私も結局はそんな感じでしたけれどもねぇ。
村上さんの思い入れたっぷりなあとがきは、かなり長いので途中読みですが、私には残念ながら原文の良さがわからないので、こんなものかな~、という感じです。

>村上春樹臭

そうそう、そんな感じでした。 
またいつか、挑戦したいです。 作品の渋さは、ちゃんと伝わってきたので。
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Unknown (show)
2006-12-05 14:42:34
そうなんですよね、「以外にも、なかなか良かった」という感じなんですよね。「うーん、そんなに良いかなぁ」と思うんですよ。渋いことは渋いんですよね。

原文で読まないとやっぱりだめなんですかね。
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