ゴールデン・ウィークでしたね。
毎年、この時期が一番いいね。暑くもないし寒くもない。だいたい毎年、僕はこの時期から短パン解禁です。
で、「ゴールデンウィーク」という言葉は映画業界が宣伝のために作った和製英語だそうです。という訳で今年のゴールデンウィークは映画を観まくっておりました。
前半は27日にアベンジャーズ・インフィニティウォー、28日にジュマンジ(吹替)、29日レディプレイヤー1、後半は3日にジュマンジ(字幕)、4日に港町、5日にシェーン、6日にアイ、トーニャ。どれも面白かった。
で、僕が書いておきたいのは「港町」について。他の映画はまぁ世界的大ヒット作だから僕が書かなくても誰かが書くだろう。
映画『港町』予告編
でもこの映画は素晴らしい映画であるにも関わらず上映館数はとっても少ない。東京だと渋谷のシアターイメージフォーラムという映画館だけじゃないかな。
だけど、これは繰り返し言っておきたいのだけど興味深い映画だった。大げさだけど「映画というメディアのかなりギリギリのライン」なんじゃないかとすら思う。その話を少し。
そもそもどういう映画かと言うと想田和弘監督の観察映画第7弾ということになる「観察映画」というのは想田監督による一連の作品群のことで、ドキュメンタリー映画だけど筋書きも(あらかじめ決められた)テーマも無くただ対象を観察している映画ということ。
非常に説明が難しいんだけどぜひいくつか観ていただけれ一発で解ると思います。
お薦めは「選挙」、ぜひどうぞ。日本の選挙制度がバッチリ分かって笑えてその上、考えさせられる。
観察映画については前も書いた。→「壮大な湖を観ているような映画」
この時、僕が書いたことは「観察映画」についての僕がずっと感じていることを非常に僭越だけど、我ながら的確に書けたと思っているので引用しておきます。
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観てて思ったのは「なんか雄大な湖を観ているみたいだなぁ」ということ。ずっと見ていても静かな湖面にはほとんど何も変化は起きない。でも時々、かすかな波紋が起きる。「あ、今のなんだ?魚が飛び跳ねたのかな?鳥が飛びこんだのかな?」と思う。でも今となっては分からない。観察映画もそういう瞬間があるから、しかもそれがいつ起こるか分からないので逆に目が離せなくなる。そう感じる。
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で、今回の「港町」。
これはまた今までの観察映画と比べても非常に説明のしづらい映画になっていると思う。もちろん何か難解な話だという訳ではもちろんない。映画としては想田監督が岡山県の牛窓という町(現在は合併し正確には瀬戸内市の一部)でただいろいろな人々を映している。
今までの観察映画と比べて異質、というのは、例えば観察映画は「事前にテーマを決めない」とはいえ、それでも何かしらの意図は感じた。例えば「選挙」「選挙2」であれば「日本の選挙」について監督なりの興味があったのではないか、ということが観ている我々も気づく。平田オリザを観察した「演劇」もそう。観察映画だから筋書きの無い映画であることは予測していたけど、それでも「そこで何か興味深いことが起きるのではないか?」という予感があった。
この「港町」の次の作品「ザ・ビッグハウス」なんて正にそう。
「ザ・ビッグハウス」予告編
アメリカで10万人収容のアメフトスタジアムを観察した映画、ってだけで「とんでもないこと起こりそうだなぁ」とワクワクしてくる。
だけど「港町」はそうではない。想田監督がラジオ出演されたとき(アフター6ジャンクション)、この映画の成り立ちに関して話されていたのだけど、ほとんど偶然のようなかたちでスタートした映画だそう。ただ、想田監督が、言っちゃ悪いけど特に特徴も無い港町を観察するという映画が面白くなるんだろうか?と観る前には少し思っていた。
でもね、おもしろい!
保証します!面白いです。細かいあらすじはネタバレになるので書かないけど、ぷぷっと吹き出してしまうところも多々ある。
例えば笑えるところというと、この町は高齢化が進んでいて大体の人は耳が遠くなっている。だから人々はおんなじことを何度も、大声で言わないといけない。これがもう、最後には面白くて仕方がない。いや、笑っちゃいけないのかも知れないけどさ。狙ってこんなギャグをしたら逆に白けちゃうけど、これが事実だから、事実という大げさなものでなくて単なる普通の生活だからそこにおかしみがある。
そして、この映画には「こ、これは、いったい何なんだろう??」と背筋がゾッとするとところもある。観察映画だからすべて「事実」なんだけど事実の中に溢れてくる「虚構」がある。それが興味深く、恐ろしい。恐ろしいというとすごく失礼なんだろうけど、僕はそう感じてしまった。
僕はゴールデンウィークにいろいろ映画を観た。それぞれ、大変おもしろかった上に、僕はそれらの映画は「語ることが出来る」と思う。例えば「ジュマンジ」であればバーチャルなゲーム世界の物語にオールドスクールな「ブレックファストクラブ」という映画の要素を合わせたもの、、とかね。その言葉が巧いかどうかは別としてとりあえず語る言葉を持っている。
だけど、この「港町」だけはなんと言っていいか分からない。面白いんですよ、面白いんですけど、どう面白いかと言われるとこれはもう「人それぞれ」と言うしかない。
もし、機会があればぜひ観てみてください。
毎年、この時期が一番いいね。暑くもないし寒くもない。だいたい毎年、僕はこの時期から短パン解禁です。
で、「ゴールデンウィーク」という言葉は映画業界が宣伝のために作った和製英語だそうです。という訳で今年のゴールデンウィークは映画を観まくっておりました。
前半は27日にアベンジャーズ・インフィニティウォー、28日にジュマンジ(吹替)、29日レディプレイヤー1、後半は3日にジュマンジ(字幕)、4日に港町、5日にシェーン、6日にアイ、トーニャ。どれも面白かった。
で、僕が書いておきたいのは「港町」について。他の映画はまぁ世界的大ヒット作だから僕が書かなくても誰かが書くだろう。
映画『港町』予告編
でもこの映画は素晴らしい映画であるにも関わらず上映館数はとっても少ない。東京だと渋谷のシアターイメージフォーラムという映画館だけじゃないかな。
だけど、これは繰り返し言っておきたいのだけど興味深い映画だった。大げさだけど「映画というメディアのかなりギリギリのライン」なんじゃないかとすら思う。その話を少し。
そもそもどういう映画かと言うと想田和弘監督の観察映画第7弾ということになる「観察映画」というのは想田監督による一連の作品群のことで、ドキュメンタリー映画だけど筋書きも(あらかじめ決められた)テーマも無くただ対象を観察している映画ということ。
非常に説明が難しいんだけどぜひいくつか観ていただけれ一発で解ると思います。
お薦めは「選挙」、ぜひどうぞ。日本の選挙制度がバッチリ分かって笑えてその上、考えさせられる。
観察映画については前も書いた。→「壮大な湖を観ているような映画」
この時、僕が書いたことは「観察映画」についての僕がずっと感じていることを非常に僭越だけど、我ながら的確に書けたと思っているので引用しておきます。
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観てて思ったのは「なんか雄大な湖を観ているみたいだなぁ」ということ。ずっと見ていても静かな湖面にはほとんど何も変化は起きない。でも時々、かすかな波紋が起きる。「あ、今のなんだ?魚が飛び跳ねたのかな?鳥が飛びこんだのかな?」と思う。でも今となっては分からない。観察映画もそういう瞬間があるから、しかもそれがいつ起こるか分からないので逆に目が離せなくなる。そう感じる。
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で、今回の「港町」。
これはまた今までの観察映画と比べても非常に説明のしづらい映画になっていると思う。もちろん何か難解な話だという訳ではもちろんない。映画としては想田監督が岡山県の牛窓という町(現在は合併し正確には瀬戸内市の一部)でただいろいろな人々を映している。
今までの観察映画と比べて異質、というのは、例えば観察映画は「事前にテーマを決めない」とはいえ、それでも何かしらの意図は感じた。例えば「選挙」「選挙2」であれば「日本の選挙」について監督なりの興味があったのではないか、ということが観ている我々も気づく。平田オリザを観察した「演劇」もそう。観察映画だから筋書きの無い映画であることは予測していたけど、それでも「そこで何か興味深いことが起きるのではないか?」という予感があった。
この「港町」の次の作品「ザ・ビッグハウス」なんて正にそう。
「ザ・ビッグハウス」予告編
アメリカで10万人収容のアメフトスタジアムを観察した映画、ってだけで「とんでもないこと起こりそうだなぁ」とワクワクしてくる。
だけど「港町」はそうではない。想田監督がラジオ出演されたとき(アフター6ジャンクション)、この映画の成り立ちに関して話されていたのだけど、ほとんど偶然のようなかたちでスタートした映画だそう。ただ、想田監督が、言っちゃ悪いけど特に特徴も無い港町を観察するという映画が面白くなるんだろうか?と観る前には少し思っていた。
でもね、おもしろい!
保証します!面白いです。細かいあらすじはネタバレになるので書かないけど、ぷぷっと吹き出してしまうところも多々ある。
例えば笑えるところというと、この町は高齢化が進んでいて大体の人は耳が遠くなっている。だから人々はおんなじことを何度も、大声で言わないといけない。これがもう、最後には面白くて仕方がない。いや、笑っちゃいけないのかも知れないけどさ。狙ってこんなギャグをしたら逆に白けちゃうけど、これが事実だから、事実という大げさなものでなくて単なる普通の生活だからそこにおかしみがある。
そして、この映画には「こ、これは、いったい何なんだろう??」と背筋がゾッとするとところもある。観察映画だからすべて「事実」なんだけど事実の中に溢れてくる「虚構」がある。それが興味深く、恐ろしい。恐ろしいというとすごく失礼なんだろうけど、僕はそう感じてしまった。
僕はゴールデンウィークにいろいろ映画を観た。それぞれ、大変おもしろかった上に、僕はそれらの映画は「語ることが出来る」と思う。例えば「ジュマンジ」であればバーチャルなゲーム世界の物語にオールドスクールな「ブレックファストクラブ」という映画の要素を合わせたもの、、とかね。その言葉が巧いかどうかは別としてとりあえず語る言葉を持っている。
だけど、この「港町」だけはなんと言っていいか分からない。面白いんですよ、面白いんですけど、どう面白いかと言われるとこれはもう「人それぞれ」と言うしかない。
もし、機会があればぜひ観てみてください。