浅草文庫亭

"大哉心乎"
-大いなる哉、心や

ピッチ・パーフェクト

2015-06-08 09:58:56 | DVD、映画
見てきました。



大学のアカペラ部に問題児たちが集まるの。

で、これだけでラストはもうミエミエでしょ?いろいろあって団結して最後は大舞台ドーン。

もうね、ミエミエって素晴らしい! 泣けて笑えて最高ですよ。

このミエミエの展開をどう見せるか、ってのが監督、脚本、演者の腕の見せどころだと思うんです。

今回のピッチ・パーフェクトのポイントはおそらく3つある。まずひとつは「ギャグ」。

この映画、ほんとギャグ・ギャグ・ギャグなんですよ。はっきり言って「いやいやそりゃちょっとw」ってこちらが引いちゃうくらい下品なギャグもある。汚い話になりますが、いきなり冒頭でゲロ吐いてますからね。隣の席の女性が「キャッ!」って言ってましたよ。そりゃ言うわなぁ(笑)
「小学生かっ」って思うギャグ、ちょっとニヤっとしてしまうギャグ、「そりゃないだろw」ってギャグ、とにかくギャグなんです。
これはミエミエ展開の映画にとって非常に重要。こういうギャグが入ってお客が笑うことで観ているほうは「楽しい」という感情が生まれる。こういう感情が積み重なることでいわば「客があったまってくる」、そうするとラストどんなに重くなっても(この映画は重くならないけどね)、見ていられるんです。

例えばこの間、「犬神家の一族」を見たんだけど、これ改めて観たらほんとギャグばっかりよ、前半。でもそのおかげでラストが重たい話なのにも関わらず、観ていられる。

ピッチ・パーフェクトのポイント、2つ目はなんと言っても「音楽」、これ大事ですねぇ。

大学のアカペラ部なので歌いまくるわけだけど、はっきり力のある女優さんたちが昔のヒット曲歌う、そんなの観てて楽しくないわけないじゃん!もうねぇ、最後の方は泣けて泣けて。。音楽シーンはとにかく全部イイ、とにかくイイ!もともと僕は「突然歌い出す」映画が大好物なんです。群唱・群舞シーンがあると最高。ブルース・ブラザースとかね。突然、歌い出して、町の人たちみんな踊り出して、、最高じゃん。リアリティ?そんなの牛にでも食わしとけ。

楽しい時、幸せな時、悲しい時、寂しい時、僕だって歌い出したくなる時あるよ。でもこの世の中って三十代の男性が町中で突然歌い出したらいろいろ問題あるでしょ?少なくとも誰もコーラスしてくれないしさ。だから、映画の中だけでもそういうの見たいじゃない。
一番イイと思ったのは(もちろん音楽シーンはぜんぶいいんだけど)、決勝大会に向かうバスのシーン。一人がイヤホン聞きながらつい口ずさんでしまい、それに他のメンバーも合わせて歌い出し、バスの中はパーリーパーリー♪ってシーン。これから見る人のために詳しくは書きませんが。バスに乗ってるってのが巧いよね。同じバスに乗った、つまり運命共同体、「ああ、こいつら、やっと仲間になったんだ」とねぇ、もう号泣ですよ。

ギャグと音楽で観客をあっためて、そこでラストにドーンと突入、そりゃ泣くわ(笑)

そしてここで、最後の大事なポイントは「映画」です。

主人公の女の子は「映画なんてラストがすぐ分かるからつまらない」と言って映画をあまり見ない子。(ちなみにこのシーンのスターウォーズギャグ最高)それに対して男友達が「それじゃダメだ」といろんな映画を貸してあげる。その中に「ブレックファスト・クラブ」があるわけだけど。

これについては町山智浩氏が詳細に解説しているので、そちらの音声をどうぞ。



もし可能だったら「ブレックファスト・クラブ」観てから、あるいはせめて「ブレックファスト・クラブ」がどんな映画かってだけでも知ってからピッチ・パーフェクト観るともうね、最後、ガツン!と来ますよ。

巧いなぁと思うのは、映画の中で昔の映画を使う(今回はその映画のテーマソングも使ってるわけだけど)ことで、その映画の感動も取り込めちゃうんだよね。素晴らしいですね。

こういうことがあるんで、ラストはミエミエでも「分かっちゃいるけど感動」しちゃうわけ。


加えて、やっぱりもうひとつ言っておかなくてはいけないのはなんと言っても演じる俳優さんたちがイイじゃな~い! 特になんと言っても主役のアナ・ケンドリックね。「マイレージ・マイライフ」の頃から綺麗だなぁと思っていたけど、もう完全に現代の「アメリカン・スィートハート」、アメリカの恋人ですね。可愛いし歌うまいし最高じゃん。

この映画の中で歌った歌でプロモーションビデオが作られているんだけど、これがまたいいの。

Anna Kendrick - Cups (Pitch Perfect's "When I'm Gone")


ちょっと歌詞訳しときます。
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I got my ticket for the long way round
Two bottles of whiskey for the way
And I sure would like some sweet company
And I'm leaving tomorrow
what do you say

遠くへ行くチケット買ったの
ウイスキー二本持ってくわ
連れがいたらもっと楽しいと思うけどね
出発明日なのって言ったら
貴方はなんて言うのかな?

When I'm gone...
When I'm gone..
You're gonna miss me when I'm gone
You're gonna miss me by my hair
You're gonna miss me everywhere
Oh, you're gonna miss me when I'm gone

私がいなくなったら
もし私がいなくなっちゃったらとしたらね
貴方は寂しいでしょ?
私の髪を思い出したり
いろんなところを探しちゃったり
たぶん、貴方は寂しいよね?

I got my ticket for the long way round
The one with the prettiest of views
It's got mountains, it's got rivers
Its got sights to give you shivers
But it sure would be prettier with you

もうチケットは買っちゃったの
すっごい景色がステキなやつ
山も見えるし谷もあるの
見たらもう震えちゃうくらい
貴方と見たらもっとステキだとは思うけど

When I'm gone
When I'm gone
You're gonna miss me when I'm gone
You're gonna miss me by my walk...Ohh
You're gonna miss me by my talk
Oh, you're gonna miss me when I'm gone

私がいなくなったら
もし私がいなくなっちゃったらだけど
貴方は寂しいと思うの
私のウォークを思い出したり
私のトークを思い出したり
たぶん、貴方は寂しいと思うの

(拙訳、かなり意訳)
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この、全然ひとりで行きたくないんだけど強がっちゃってる感じがアナ・ケンドリックにマッチしていていいねぇ。歌詞はrivers,shivers、walk,talkで韻を踏んでていいですね。

今回、イイしか言ってませんが。

イイ映画なんだもんしょうがないじゃないですか。こんな映画こそ映画館でドカーンと見るべきですよ。