柴田典子の終活ブログ「エンディングノート知恵袋」

エンディングデザインコンサルタント柴田典子のブログ。
葬儀に関わらず「賢い老い支度」として終活全般のお話もしています。

娘たちは満足して母親を送りました

2011年10月01日 | お葬式
通夜の前に娘たちは叔母の身支度を始めます
ドライシャンプーで髪を洗い
ドライヤーで整髪し
お化粧をします
叔母はいつも綺麗にお化粧をしていた人です

「痴呆が進んだ母が、化粧品をつけたまま
部屋のあちこちを触り、べたべたにしてしまうので
化粧品を取り上げてしまって・・・・ゴメンネ」
同居の次女は泣きながら化粧をしていました

家族で納棺をしている途中に叔母の友人が駆けつけてくれました
「あー、間に合って良かった」
「会いたかったの」
「呼んでくれてありがとう」
80歳に近い人達です

「ずっと仲良くしてもらったのよ」
式までの合間に、2時間以上かけてきてくれた友人から
叔母の若いころの生活ぶりや
どんなに親しくしていたかを聞くことができました

通夜の終わるころ、思わぬ方々が見えました
4年間の同居生活を支えてくれた次女の友人が
数人会葬に来てくれました

「母と親しいわけじゃないの
でもわたしの話を聞いてくれたり、励ましてくれたりした友人が
私を気遣ってきてくれました」

職場の方も仕事を終えて駆けつけてくれました
遅刻したり、早退したりの勤務状況を
応援してくれたそうです

「今まで気が付かなかったけど
お葬式に来てくれることが、こんなにも有難いなんて
思ってもみなかった
悲しいより、有難くて泣けてしまった」
通夜後にホテルに送ってくれる車の中で次女がつぶやきました

翌日の出棺の挨拶は、喪主を勤めた長女がします
叔母の思い出を淡々と語り
どんなふうに育ててもらったか
それを自分の子供にも伝えたい、と話しました


葬儀の流れは、ごくごく普通です
会葬に来てよかったと、感じる大きな要因は
親族の挨拶にもあります

故人の人柄や生活、故人への想い、自分たちの考え
感謝の気持ちなどが伝えられたとき
会葬者は、縁のあった人たちの心を肌で感じ
自然に感じ入るものが生まれます

娘二人は、母親を自分たちで送りたい、という意志がはっきりしていました
ただ、それをどうやって表したらいいのか?
何をしてはいけないのか?
まるで解らなかったのです

多分、この二人だけでなく多くの遺族が同じように思う事でしょう

ちょっとしたアドバイスを与えると
二人は、自分達でどんどん動きだしました

会葬礼状の間に自分達の
感謝の言葉を印刷してはさみました
写真を飾って、叔母の手作りオルゴールも
そばに置きました
それを親戚も、会葬者も小さな輪になって魅入ります

二人の娘を応援するように
それぞれの家族も力添えをしていました

遺族が、満足して送ることができ
いいお葬式ができました