柴田典子の終活ブログ「エンディングノート知恵袋」

エンディングデザインコンサルタント柴田典子のブログ。
葬儀に関わらず「賢い老い支度」として終活全般のお話もしています。

葬儀社の手袋に注目!

2010年04月02日 | 葬祭スタッフ
葬儀社の仕事に就いたのは平成5年です。
もう、17年がたってしまいました。
ときどき、指折り数えてみるのですが
その時間に、自分でも驚きます。

葬儀社の立ち上げを任されたのは平成10年。
そこから、葬儀にこだわりを持ちました。
その一つに手袋の着用があります。

私のところでは、早くからご遺体を扱う時には手袋の着用を
義務付けていました。
今思い起こしても、その実行力には頭が下がります。

その当時、病院にお迎えに行くときから手袋をはめている葬儀社は
無いに等しかったので・・・

ご家族の目に触れないところでご遺体を修正する時はゴムの手袋をはめていますが
ご家族の前で手袋をしたら不快を与えると、ほとんどの人が思い込んでいました。
だから、遺体からの感染症の危険を知っていても手袋をはめることはしなかったのです。

私が葬儀関係者の前で講演をし始めたのは平成13年からです。
「ご遺体を扱う時、手袋をしていますか?」の問いかけに手を挙げたのは100人に1人です。
最近では約半数になりました。
それでも、地域によっては未だに皆無です。

ご遺体からの感染で影響を受けるのは誰でしょうか?
直接遺体を触る葬儀社スタッフ。
そして遺体と一緒に過ごすご遺族やご親族です。

葬儀社は遺体の
目を閉じたり
入れ歯を入れたり
口を閉じたり
傷口を覆ったり
脱糞を処理したり
腹水の漏えいを処理したり
出血の処置をします。
感染症が潜む粘膜と体液などと無縁ではいられません。

ご遺体に触れた手でドアノブを触り受話器を持ちハンドルを握ります。
そこは葬儀社に出入りする人全てがそれらに接触する可能性があります。
その手で家に戻れば家族がいます。

だから、葬儀スタッフは万全の対策をとる必要があるのです。
それには手袋着用とて手洗いとうがいで予防ができます。


遺族は安置された遺体を間近に見ます。
安置した後から出血が起こることも珍しくありません。
おなかにガスがたまるのは防げません。
腹水が漏れる危険はいつもあります。

葬儀社がきちんとした処置をして
遺族へ感染の情報を伝えておけば
遺族の危険は防げます。

遺体からの感染のリスクを下げることは
葬儀社としての務めです。
遺体を扱う以上、葬儀社にしかできないことです。

会館を持ち
礼儀正しい札遇をし
司会、故人らしさの演出より
もっと前の段階の務めではないでしょうか?

「まだ、この地域では無理です」という答えはずっと以前から言われ続けています。

この辺は自宅葬が主流です。近隣の関わりを無くせません
でも、会館があっという間に増えました。

見積書はいりません。お任せください、で済みます。
でも、この数年で見積書は半数以上が作成しています

この辺は事前相談なんて無いですよ。
でも、少ないながらも事前の相談が入るようになりました。

葬儀社の予測は当たりません。

10年に以上前に手袋をはめて搬送業務にあたってくれた葬儀スタッフは
感染の知識を学んだスタッフです。
それだけでなくその知識に自信を持ち、ご遺族の為になりたいと
行動してくれていたのでしょう。

皆さんも葬儀社が手袋をして故人を迎えに来るか?
気にしてください。
もし手袋をしていたら、それなりに勉強している葬儀社です。