さうぽんの拳闘見物日記

ボクシング生観戦、テレビ観戦、ビデオ鑑賞
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拳闘見聞の日々。

40歳にて驚異の「第一線」復帰 パッキャオ、サーマンとの熱戦制す

2019-07-21 19:31:28 | マニー・パッキャオ



マニー・パッキャオvsキース・サーマンは、期待以上の大熱戦、目の離せない濃密な12ラウンズとなりました。
簡単に感想から。


試合前は、大柄な強打者ながら、最近は技巧派という印象が増し、ブランク明け2戦目のサーマンが、当然、小柄で小回りが利き、機動力に優れたパッキャオを突き放して、距離を開けて闘おうとするだろう、と思っていました。

実際、初回はその流れかと見えました。しかし右リードで先制、と括れるはずだったのに、バックステップしたところを「追尾」するかのような踏み込み(走り込み)で打つパッキャオならではの攻撃を受け、右フックでダウン。
初回早々、ということも含めて、パッキャオと闘う選手は、絶対これやっちゃいかん、という後退の仕方。
終わってみれば、これは痛い失点でした。

2回も、さらにパッキャオが連打、サーマンを「追尾」するかのような足運びで、なおも打つ。足が良く動く。40歳とは思えない。
ラウンド後、あまり上手くは無いシャッフルを踏み、それを誇示?する場面も。

しかし3、4回はサーマンが構えを変え、上体を動かして、外すことを優先。構えて圧して突き放す、という立ち上がりの「方針」を一旦、棚上げした感。
これで一旦流れを止め、5回あたりから、軽い連打で入った後、強めに打つ、というコンビネーションの攻撃が決まり出す。

5回はパッキャオがラストで巻き返しの連打を見せるが及ばず。6回はそれも封じられる。
7回は互角の打ち合いもあるが、それ以外のヒットの分、サーマンか。
内容と採点、共に競ってきたという感じの中盤を経て、終盤はさらに一進一退。

しかし、サーマンが流れを掴んでいたかと見えた10回、パッキャオのレバーパンチが決まり、サーマン効いて、動きが止まる。
試合も終盤に来て、30歳が40歳に決めるならともかく、逆。感心するやら呆れるやら、という次元でした。

ところが11回、サーマンが右決めて逆に抑える。最終回はまた逆で、パッキャオが取ったか。


採点は割れて2-1でしたが、ダウンの分だけパッキャオか、と見ました。
さうぽん採点は、PPSP SSSP SPSP、初回ダウンのぶん、114-113、パッキャオ。
3回、4回、ちょっと迷いましたが...サーマンには残念ですが、逆はないかな、と見ました。


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これで再起後、3連勝となったパッキャオ、40歳にして、この充実した試合ぶりには、驚かされました。

初回のダウンは、サーマンの方にもミスがあった、と言えば言えるかもしれませんが、10回のレバーパンチによる「形勢奪取」は、かつて劣勢の中でファン・マヌエル・マルケスをぐらつかせた左の一撃を思い出しました。
また、相手のバックステップを「追尾」し、同時のタイミングで踏み込んで、打ちながら次のステップを探して、さらに踏み込む「走り込み」も、ダウンシーン以外に数回見られました。
小太刀のような右ショートフックによるリード、身体を右に逃しつつ打つ左、回り込んで内外からアッパー、フックの連打攻撃、その他にも、往時のパッキャオが見せていた技と力が、ふんだんに盛り込まれた闘いぶりは、まるでパッキャオの歴戦を振り返るような内容で、見ていて感慨深いものがありました。

もちろん、往時と同じレベルの体力、爆発力が完全に戻ったわけではなく、またそれが戻るわけでもないでしょうが、それを補う試合運びの巧さと共に、これらの技と力を存分に発揮して見せてくれた12ラウンズに、ファンとしては改めて感嘆し、拍手するしかありません。
それも、かつてはこのクラスの第一人者であり、今も第一線といっていい、キース・サーマン相手に、ですから。

昨年、マレーシアでマティセに勝った試合について、本当の本当に「頂点」を目指して闘う意志あっての再起なのだろうか、という疑問を感じたものですが、この相手にこの試合を見せられた今、それは雲散霧消してしまいました。
エロール・スペンスとショーン・ポーター戦の勝者との対戦という話が具体化しているそうですが、そうなって当然、という気さえします。


そして、対するサーマンの方も、最初の作戦が上手く行かなかったら、即座に修正を施し、そこに逆襲されたらまた構えを作り直し、という具合で、多分ですが、やれることは全部やり、打てる手は全部打った、という試合だったと思います。
しかし、それでも10回、そうした人知を超えた何か、勝負強さとか「持っている」とか、そういう表現をするしかないものに形勢逆転され、屈したわけですが、こちらも終始、充実した闘いぶりを見せてくれました。

両者ともに、世界ウェルター級の超一流に相応しい闘いぶりでした。期待以上の試合を、大いに楽しめました。改めて両者に拍手です。



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ということで、知らんかったんですが、今朝は、というか深夜、未明、どれが正しいのかわかりませんが、午前2時から英国の試合をDAZNがライブ配信していて、朝方にメインのディリアン・ホワイトの試合が見られました。
そして、午前10時からWOWOWオンデマンドで、ネリーvsパヤノ戦が流れ、11時からWOWOW本放送開始、という流れ。

昨日の今日で、朝からこれですから、本当にえらい週末になりました。
まあ、昨日のについては、自分の勝手で、オンデマンドPPVを契約して見たんですから、えらいも何もないんですが...。


ディリアン・ホワイトは、コロンビア人オスカル・リバスの、連打の中の右アッパーを、目視出来ないタイミングで食ってダウンしましたが、それ以外はタフなリバスを正確なダブルジャブで圧倒し、大差の勝利。
ただ、WBCベルトが出てきて、それが暫定王座だという話で、へ?と。知らん間に、イリミネーションではなく、暫定王座決定戦になっていた模様。
もう好きにしなはれ、としか言いようがありませんが。

ルイス・ネリーは、受け身の姿勢から徐々に攻めて行き、9回に左のレバーパンチでファン・カルロス・パヤノをKO。
連打は雑に見えますが、打ち出したら止まらず、威力も充分。
ただ、本当に、異様なほどに身体に力があり、重みも感じる姿には、先入観を抜きにしても違和感あり。
今時、こんな闘い方があり得るのかなあ、と。
また、打たれてもさっぱり堪えませんし、パヤノがダウンや、きついKO負けを経ていることを考慮しても、異様なものを感じてしまいました。

セルゲイ・リピネッツは、大阪で矢田良太をKOしたフィリピン人サウスポー、ジェイアール・インソンを2回、左フックでKO。
インソン、立って笑顔を見せていたものの、ファイティングポーズを取るのが遅い。カウントアウトされて悔しがってましたが...。

セミのウガス、フィゲロア戦は、ウガスが初回に右でダウンを奪い判定勝ち。クリンチばかりで酷い内容。
フィゲロア、荒川仁人戦の勇姿はどこへやら、という感じでした。むー。



コメント (4)
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