ということで昨夜はZAIKOのPPV配信を楽しく見ておりました。
小國以載、栗原慶太のトップボクサー対決は、4回負傷ドロー、無念の結末。
しかしその過程において、見たいと思っていたものは見られたという気持ちでもあり、満足感も残った、そんな試合でした。
3年ぶりの試合で、立ち上がり、小國以載のボクシングには乱れというか、硬さや重さが感じられました。
それは栗原慶太の右フックに対する反応であったり、リターンで打つ右の距離感が合わないところだったり、さらに打ったあとの身体の戻しが遅いことであったり。
若い頃から、派手な一発強打はない(とはいえ、強敵相手にダウンを取る試合もけっこうありますが)かわりに、筋の良いボクシングが身についていて、緩急つけるのが巧く、なおかつペースを乱さない確かさがある。
体力面で落ちるとことは多少あっても、技術はそうそう落ちるものではない、とはどのスポーツでも言われることですが、小國はまさにそういうタイプだと言えるボクサーです。
しかし、いくらなんでも3年のブランク、しかも間に手術を挟んで、となれば、やはり技術を支える体力面の不安は大きい。
初回の小國を見ていて、さすがに今回ばかりは...と思ったのですが、それこそ2分か2分半過ぎたくらいから、様子が変わってきたように見えました。
ジャブが単発ながら出て当たり、身体の軸が決まり出す。
打った後のガード戻しが速くなり、上体が無駄に前に出ない。
そうこうするうちに3分が終わり、2回からは、ほとんど以前のままの小國以載でした。
20秒過ぎくらいに栗原の左が小國の右足、付け根か太ももあたりに入って、レフェリーが分けて注意する。
再開、直後に小國が、それまで使っていなかった左フックリードからの右クロス、というワンツーをクリーンヒット。
この辺、普通に巧いというか、目端が利くというか。栗原膝が折れる。続いて小國のワンツー。
栗原右クロスで迫るが、間が詰まると、バネ仕掛けのように左のボディフックが出る。
3回、栗原の右フックが飛ぶ。小國、顔を背ける防御。外し切れはしないが、威力は半減させていたか。
小國、再三左ボディフック好打。栗原は右アッパー出し始める。左ダブルも良いが、小國が抑えている。
4回、両者互いに右アッパーを振り、栗原がヒット。これはクリーンヒットして、小國ロープからロープへ下がる。
しかしまた左ボディフックを決めて立て直し。栗原、追撃を一旦止められる。
栗原右フック決めて出るが、力強い打ち方である反面、打つ前と打った後、共に身体が大きく動く。
対する小國は、身体があまりぶれないフォームが際立つ。
小さい振りでありながら、栗原と同等の効果を上げる右クロス、左フックが打てる。
この辺は、やはり身体に染みついた小國の技術面、その優秀が健在である、と見えるところ。
この、両者のフォームの差が、この先、両者の差を広げるだろう、と思ったときに、バッティングが起こって小國がカット。
かなり酷い傷だったようで、一発でドクターストップ、負傷ドローとなりました。
しかし小國以載、考えたら凄いなあ、と改めて。
3年ぶりの試合で、もちろん本人、最初違和感あったのではと傍目には見えましたが、あっという間に「慣らし」てしまい、ほとんど以前と変わらぬ感じに戻してしまう。
もちろん栗原の果敢な攻めに遭って、中盤以降、どの程度の消耗を抱えねばならなかったかは知らず、どういう展開になったかはわからないですが、印象としては、あのまま進めば概ね優勢に闘えただろう、と思います。
拳の負傷が問題なければ、今後、栗原がバンタムに戻すとなれば再戦は無理でも、他にも闘って欲しい上位陣はいますし、まだまだ頑張ってほしい、と言える対象ですね。
試合としては白熱しかけたところで打ち切られた、というものでしたから、残念でしたが、それでも小國以載の「健在」なところと、栗原慶太の強さと果敢さも出ていて、やはり良いカードは組むものだなあ、という納得感がありました。
今回、ZAIKOの配信は、普段A-SignのYouTubeチャンネルに上げられている動画の画質を安定させて、ライブ配信のため実況をつけ、それをZAIKOというプラットフォームに流した、という成り立ちだったようです。
有料配信として、ハードルを上げて言えば、カメラアングルの切り換えなど、見ていて多少不満もありましたが、とりあえずライブで見られたのは幸いでしたね。