さうぽんの拳闘見物日記

ボクシング生観戦、テレビ観戦、ビデオ鑑賞
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拳闘見聞の日々。

転級初戦としては上々の標的、だがその先が問題か 井上尚弥、マクドネルと対戦

2018-03-07 11:48:27 | 井上尚弥




海外報道が先に出る、最近多いパターンでしたが、正式発表。
井上尚弥バンタム級転向初戦は、WBA「正規」王座への挑戦となりました。
5月25日、大田区総合体育館でジェイミー・マクドネルと対戦です。

マクドネルの試合は、何試合かちらほら見ています。
亀田三男との試合は、フルではないですが、YouTubeで見た覚えあり。

正直言って、印象は薄かったです。
昔ながらの「世界というには、大したことのない欧州の軽量級選手」のイメージでした。
ただ、対戦相手はそれなりの名前が並び、長身を生かしたアウトボクシングで勝ってきている。

今、世界バンタム級最強をゾラニ・テテと仮定し、次がライアン・バーネットとして、
ルイス・ネリーを「抹消」し、山中慎介が引退した現状でいえば、マクドネルは
WBAやIBFの元王者たちに混じって、上位につける存在ではあると思います。
そういう意味では、無名の選手と闘うよりは、当然ながら上々の「転級初戦」だとも思います。
また、テテやバーネットが英国で活動する選手なので、マクドネル攻略という事実をもって、
この先の展望が拓かれるのでは、という期待も出来るかもしれません。


予想としては、バンタム級への適応がすんなり行くかどうか、ですね。
井上の体格はバンタムでも減量が楽というほどではなく、パワー自体は通じるでしょうが、
自身の耐久力などは、まだ未知数でしょう。
マクドネルはバンタム級世界上位の中で、強打者とはとても言えない選手ですが、
それでも体格やパンチ力で、一定のところまでは、井上を脅かす可能性もあるでしょう。


...と、普通なら思うところですが、井上尚弥がスーパーフライ級初戦で、
一気に二階級上げた「あの試合」のことを思い出せば、そういう心配は無用なのかもしれません。
こういう「普通の心配」は、将来スーパーバンタムに上げることがあれば、
そこで初めて出てくる話だろう、と思いもします。
今回は、さらに良い体調で、そのスピードとパワーを十全に発揮する井上尚弥の、
「黄金のバンタム」進出初戦を、大いに楽しみたいものです。




ただ、この試合の話を聞いて最初に思ったのは、日本のボクシング界はホンマに
WBA第二王座、俗に言う「五つ目」が好きなんやなー、ということでした。
弱い選手ならまだしも、井上尚弥ほど強くても、まだこういう話になってしまうのか、という。

大橋秀行のマッチメイクを、強敵相手と闘えない現状を打破するために動いた、
みたいな書き方をしているところがありましたが、馬鹿もほどほどにしとけと言いたいです。
その現状に甘んじている責任の一端は、間違いなく大橋自身にあるのだろうに、と。

この試合を、バンタムにおける世界挑戦と喧伝するより(形式上、嘘ではないですが)、
元WBA王者のラウシー・ウォーレン、ザナト・ザキヤノフ、ファンカルロス・パヤノらと
ノンタイトルでもいいから対戦するほうが、バンタム級転向初戦として、
より世界的な注目を集めるだろう、とも思います。

しかし「世界」の看板をもって興行せねばならない、その一点で、
WBA第二王者との対戦が優先される。正直いって、げんなりする部分もあります。


今回は、WBCがあのようなことになり、他の王者も試合予定があり、
井上の試合間隔を考えれば、これしか選択肢がなかったのは事実なんでしょう。
それを考えると、今回はこれで仕方なし...となるかどうかは、今後にかかってきます。
はっきりと、これまでのレベルを超えた、一段上のマッチメイクを実現してもらいたいですね。

ただ、そこがどうも怪しいというか、これまで同様の「ご都合優先」で、
易きに流れた過去が繰り返されるのでは、という疑念が消えないのですが。




あと、ルイス・ネリーへの言及について、ですが。
井上自身は仮定の話として、冷静に答えただけ、という感じですが、
一部の記事には、この名前が記事の見出しに含まれているようなのも見ました。
しかし現状、あれは数の内に入らないわけですから、どんなものかと思います。

今回見に行った「チョロい」客の一人として、言えた義理ではないにせよ、
将来的に対戦があれば...なんて、勘弁してほしいです。
実際問題、もし将来、招聘するとしたら、ありとあらゆる事態を想定して、
契約でがんじがらめにしないと、危なくてしょうがないでしょう。
そんな試合、実現しようがありますかね。

まあ、そんな話よりも、数年経てば、おそらく何らかの形で身を持ち崩しているのでは、という気もしますが。
破滅型、という言い方もありますが、ある意味、すでに破滅しているようにも見えます、あの男は。




コメント (9)
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