さうぽんの拳闘見物日記

ボクシング生観戦、テレビ観戦、ビデオ鑑賞
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拳闘見聞の日々。

白面の鬼神、統一戦に挑む 田口良一、メリンド戦決定

2017-11-20 05:13:24 | 関東ボクシング



ということで先週、ばたばたっと年末興行のカードが発表されました。
時期的にもそろそろ発表しないと限界が、という感じでしたが、
業界内では思わぬ動きがあったようです。

30日、横浜文体は大橋ジム主催、フジテレビ放送の試合で、
井上尚弥がフランス人挑戦者を迎え撃つ一戦

井上は来年2月、ロスでのSuperfly第二弾興行出場にも意欲を見せているとのことで、
言ってみれば壮行試合の趣あり。
つまるところ、この試合は、様々な業界事情を乗り越えての、井上尚弥の世界進出、
統一戦への紛れもない意欲と自信を見るための一戦、なのでしょう。

井上拓真vs益田健太朗は好カードなれど、拳四朗の選択防衛戦、
清水聡のOPBF戦も下位相手と、タイトルマッチの数はあれど、
内容的には会場規模相応の興行かな、という感じもあります。

しかし、なんといっても井上尚弥の闘う姿を見ること、それ自体が
カード以前の、別の価値を持っているというべきでしょうね。
将来的に、マニー・パッキャオのように、母国での試合と米国での試合の数が
逆転してしまうような状況になる...可能性もないではない井上です。
その姿を直に見ることが、貴重な機会になる、ということになれば、
嬉しいような、寂しいような、複雑な気持ちではありますが...。

何にせよ、年末を快勝で飾り、来年以降への景気づけ、というのも悪くはないでしょう。


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しかし、年末の主役というか、メインカードとなったのは、田口良一の試合でした。
ワタナベジムがTBSと契約し、田口や京口紘人の試合を中継、という、
業界内では大きな出来事が起こったが故に、実現したマッチメイクなのでしょう。

今まで、各局の中で、一番ボクシングに大きな予算と枠を与える局と言われていたTBSですが、
井岡ー八重樫統一戦、リゴンドー招聘(天笠尚の奮戦に救われたものでもある)、
小國以載の戴冠といったヒットはあるものの、亀田兄弟や井岡一翔の詐欺的「世界戦」などには、
馬鹿馬鹿しい、予算の無駄遣いや、と思うことが多かったのも事実です。

しかし今回の田口良一vsミラン・メリンド戦は、大晦日枠に特別予算を組むなら、
普段と違う、普通では組めないカードを、というファンの期待に、真っ正面から応えるものです。
これはもう、ファンとして素直に感謝し、拍手したいと思います。

しかも、直近の試合で1位挑戦者ロナルド・バレラを、鬼気迫る攻撃で攻め落とし、
その力を示した田口と、あの八重樫を初回で倒し、強豪バドラーにも勝ったメリンドが
WBA、IBFのタイトル統一を賭けて闘うんですから、闘う時期としても最高でしょう。


予想となると...田口にとって容易ならざる強敵でしょう。
体格、リーチでは田口がまさりますが、それを生かして突き放す、という
ロングの距離での精度がない田口にとっては、あまりアドバンテージでもない。

さすれば、中間距離での攻防、接近しての打ち合いで、より小回りが効き、
精度も高いメリンドが抜け出す、というのが、普通の予想だと思います。

しかし、その展開の中でも、ボディブローなどでダメージを与え、
メリンドが少し離れたがるところをジャブやストレートで追って休ませず、
さらに打ち合いで上下に連打を散らして攻め上げる、我慢比べに持ち込めれば。
そしてメリンドを疲弊させた上で、後退させる展開が作れれば。
相当苦しい過程を経ることになるでしょうが、田口の勝機はそこにあることでしょう。


これまでの試合でも、理屈を越えた気迫、というより「鬼気」を撒き散らしつつ、
数々の激戦を勝ち抜いてきた田口良一にとり、田中恒成戦に匹敵する、
待望の大試合となる一戦です。
結果どうあれ、その姿から目を離すことは出来ない、そう思わせる彼の姿が、
より多くの目に触れる機会でもあります。
願わくば、その結果が、勝利であることを...と思わずにはいられません。

そして、TBSさんには、例の「ツヨかわいい」は、パスしていただきたい、と
それも切に願いたいところではあります。もう勘弁してほしいです、あれは...。
あれこれ注文するわけではないです、普通にやっていただければ、それでもう。


京口紘人は、カルロス・ブイトラゴとの試合、これは指名試合だそうですね。
世界上位に長い選手ですから、経験ではだいぶ差がありますが、
パワーとスピードでは京口が上回ると思います。
初防衛としては、楽な相手ではないですが、このくらいを厳しいと言いたくもないですし、
戴冠戦で見せた、魅力ある攻撃ボクシングで、押し切ってもらいたいものです。


ひょっとしたら、WBO王者、山中竜也との統一戦があるのかも、と勝手に想像していたんですが、
さすがに指名試合を後回しにしてまで、というのは無理なんでしょうね。
山中の方は、1位挑戦者としてタイトルを獲っているから、選択試合が出来る立場ではありますが、
さりとて下位を選んで、興行になるかというと苦しいのが現実でしょうし。
そうなると、いかにもありそうな話としては、原隆二戦か...?よくわかりませんが。



これだけタイトルホルダーが増えると、いよいよ肩書きだけでなく、
誰と闘って、どのような内容で勝ったか、で選別、格付けが行われる、という時代が、
少なくともボクシングファンの間では定着してきた感があります。

その中で今回、田口良一は間違いなく、一段上に立つチャンスを手に入れました。
年末の世界戦スケジュールや、叩き込みの強引なマッチメイクについて、
色々批判もしてきましたが、改めて、こういう特別な試合ならば、大歓迎です。


今年の年末は「よほどのこと」がない限り、TVで済ますかな、などと
ガラにもないこと(笑)を考えていたりもしたんですが、こうなってくると...。
さて、こちらも色々準備せねばなりませんな。むむむ。





コメント (11)
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