さうぽんの拳闘見物日記

ボクシング生観戦、テレビ観戦、ビデオ鑑賞
その他つれづれなる(そんなたいそうなもんかえ)
拳闘見聞の日々。

時を失うことだけが怖い 井上尚弥、2位に完勝、ではなく「楽勝」

2017-05-22 21:07:01 | 井上尚弥




ということで2日連続で、有明コロシアムで観戦し、帰ってまいりました。
試合以外にも言いたいことは一杯あるのですが、とりあえずは順番に、ということで(^^)


そういうことで2日目のメインは、井上尚弥がリカルド・ロドリゲスに3回KO勝ち。
余裕で見切って、スイッチもして、右で効かせて、左で倒す。
拳の負傷に対する怖さがあるのか、以前よりも丁寧に、慎重に打っている風ですが、
それでも序盤で倒してしまう。相変わらず、桁外れの強さでした。

相手が「世界2位」とはいえ、それに相応の内実がある選手かというと、
そうではなさそうだということは、事前に動画などで見て、想像してはいました。
井上がスーパーフライに上げてから当たった選手の中では、ペッチバンボーンと並び、
おそらく最弱のレベルだろうと。

とはいえ、勝ち負け以前の問題で、これほど大きな差を、誰の目にも明らかな形で見せ、
その上で勝つ井上は、試合自体から緊張感を奪い、闘う意義すら疑わせてしまっていました。
スイッチし、好打し、相手の反撃を外す一連の動作からは、はっきりと余裕が見えました。


デビュー戦から着実に成長し、手を付けられないほどの強さを見せてきた井上は、
拳の負傷や減量苦などにより、一時停滞も見えましたが、それを乗り越え、或いはやり過ごし、
またしてもその圧倒的な強さを発揮しています。

強い相手、一定以上の力量がある選手にクリアに勝つことを「完勝」といい、
弱い相手に勝つことを「楽勝」とするなら、井上尚弥がロドリゲスから納めたものは、
本来「完勝」とするべきものです。

しかし、ロドリゲスは井上の前では、本来持っているはずの、何らかの形での力、強さを
まったく表現出来ぬまま敗れ、まるで井上が「楽勝」したかのように見えてしまいました。


現状、スーパーフライ級の誰と闘うにせよ、有利の予想が立つ状態、と言って良いでしょう。
彼を打ち破るものは、強敵の力量ではなく、時の流れ以外には無いのでは、という気がします。

そして、何よりも強く思うのは、その強さが、輝きが失われぬうちに、さらなる高みにて、
余裕など見せる余地のない、緊迫の闘いに臨んでもらいたい、ということです。

2回途中、けっして油断ではなく、緩みが見えるでもない、しかし余裕綽々に見える、
見えてしまう井上尚弥の姿を、見つめる、というより、眺めながら、そんなことを思っていました。
普通、試合の途中で、こんなことを思ったりはしないものですが...。


とりあえずは、9月予定というアメリカでの試合が、本当に実現することを祈ります。
世界ミドル級タイトルマッチのアンダーに入るか、WBCタイトルと同一興行に出られるか、
そういう形なら最高ですが、はてさて。


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八重樫東はミラン・メリンドに初回、衝撃のノックアウト負けを喫しました。

初回、まずはお互い探り合いかな、八重樫は少しずつ、大きく動いていくだろうけど、
その前に色々見たいものがあるのだろう...という感じで見ていました。
そのうち、少しボディを打たれたか?と思ったあと、左喰って、えらくあっさり倒れてしまいました。
正直言って、会場で見ていると、あまりに唐突で、何が起こったのか理解出来ませんでした。

あとでスローを見ると、メリンドの左フックの「芯」、おそらく拳の中指あたりが
八重樫のこめかみに、まともに入っているように見えました。
そこに右がフォローされていて、これは効いたはずだ、と納得しました。
追撃に関しては、メリンドの力量からすれば、単なるお料理の時間、というところだったのでしょう。


それにしても、メリンドが強いことはわかっていたにせよ、彼の力が出る間合いで、
いとも簡単に打たれてしまった八重樫には、何か深刻な不調でもあったのかな、と思いもします。
これが勝負というものだ、という納得をすべきなのかもしれませんが、
あんなに安易に打たれてしまうような、甘いキャリアの選手じゃないはずだろう、とも...。


それにしてもミラン・メリンド、見事な勝利でした。これは称えざるを得ません。
世界上位に長いし、強豪相手に伍して闘う力量の持ち主と知ってはいましたが、
三度目の挑戦で、ついに悲願成りました。

田中恒成が希望する統一戦の相手は、誰よりもこのメリンドであるべきではないか、とも思います。
また来日してほしいものですね。


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この日の前座は、平岡アンディが10勝2敗の山口祥吾を6回TKOに下した試合と、
予備カード4回戦二試合が判定だったのを除くと、早いKOが続出しました。

細野悟は野口将志を初回で一蹴。
野口のガードの開き方を一目見て、これで細野に対したら保たない、保つはずがない、と
思いましたが、早々にその通りになりました。
細野はスーパフェザーに上げるのか、フェザーに戻すのか不明ですが、
フェザーに落とすなら、坂晃典との新旧強打対決は是非、見たいものですね。


清水聡は山本拓哉に初回TKO勝ち。
左で倒し、追撃の連打。確かにクリーンヒットが続いていたが、マーチンさんが早々のストップ。
妥当だと見るべきでしょうが、手を止めていたわけでもない山本にすれば、不満ではありましょう。

この前日、韓国人ボクサーが立て続けに倒れても続行を許したマーチン主審、
この日は全く違う基準でレフェリングをしているように見えました。
選手が違えば基準も変わるのか、いったい何なんだ、と思わざるを得ません。

試合後さる筋から聞いた話だと、前日のレフェリングについて、コミッションから叱られたんだそうですが。
何だか、子供みたいな話です。頼んまっせ、という感じですね。


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そういうことで、早いKOばかりが続いたのだから、仕方が無い...
という部分もあるにせよ、怖れていた休憩地獄の凄まじさは、過去の観戦経験でも、
なかなか無い、有数のものでした。

一度、名古屋で石原英康の世界戦の時、メインまで1時間以上休憩という
壮絶な経験をしたことがありますが、今回は20分、40分、40分、という具合。
とはいえ、セミとメインの間は、実質1時間くらい空いていたので、
総合的に言えば、それ以上か。

まあ、皆さん売店に行ったり、トイレに行ったり、スマホで時間つぶしとか、しておられました。
私は、タブレットに入れておいたボクシングの動画などを見ておりました。
カルロス・モンソンとベニー・ブリスコの試合は、画質は悪いがなかなかの熱戦でありました。


と、それはさておき。
TV局は生中継を原則とし、メインの試合を早々に終えてしまうと視聴率が落ちる、
それを嫌ってのことかも知れませんが、セミ終了後、前日のVTRなどが流れていたというその間、
身銭切って暇割いて、有明まで足を運んだ数千人の観客は、何も無しでほったらかしでした。

単に、客商売としてどうなのよ、と言いたくもなろうというものです。
大橋ジム陣営にとり、二人いる世界王者の一人がKO負けした後、すぐ次の試合の用意を、
というわけにもいかないでしょうが、それにしても1時間空ける必要はないでしょう。

結局、TV局の(勝手な)都合に、観客は無条件で合わせなければならない。
そりゃ、ミドル級の世界戦(という体裁でした)でもなければ、普通の興行から
お客さんの足が遠のくのもむべなるかな、としか言えません。

まして、TV局から近いからという理由で?、不便な会場での興行ばかりです。
将来、ボクシングの世界戦は、会場ではなくTV局のスタジオで「収録」する時代が来るかもしれませんね。
ていうか、いっそ今すぐそうしてしまえばええのにな、とさえ思ったりもします。
そうすれば、こちらもかえって得心がいくというものですよ。


本当に、ボクシング業界の皆様方には、もう少し、ファンや観客のことを考えるアタマを持ってほしいです。
まあ、常日頃から、モノを考えるよりは、目先の金の匂いを追う鼻だけは効く、
という風にしか見えませんから、期待するだけ時間の無駄ではありましょうが。




コメント (13)
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