今日は名古屋遠征、刈谷にて観戦しまして、府立には行きませんでした。
心の片隅には、ハシゴかけたろか、という気持ちもなくはなかったのですが、
前日にマーロン・タパレス計量失格、王座剥奪の報を知り、その気持ちは萎えてしまいました。
ということで帰宅後、録画を見終えましたが、当然、色んな意味で苦い感想です。
計量失格した王者の試合は、世界でも、日本でも、色々と過去にありました。
アランブレット、ワンディー、ノーウッド、パーラなどなど、思いつくだけでもこれだけ。
古くは名王者チャチャイ・チオノイも。
この中で、計量失格後、試合当日に何ポンドまで、という縛りをかけて
行われたのは、知る限りではパーラと坂田健史の三戦目だけではないでしょうか。
海外ではリカルド・ロペスとロセンド・アルバレスの再戦で、アルバレスが失格し、
当日115ポンドまで、という縛りの元、試合が挙行されたと覚えています。
計量で体重が合わない選手同士を、グローブハンデもなく闘わせる。
しかも、失格した方が、試合当日まで好きなように食事をし、体力を削らずにいる状態で。
どう見ても、釣り合いが取れない話です。正しく暴挙だと思います。
いい加減、世界的なルール整備が必要だ、と、もう10年以上前に書いた記憶が
おぼろげにあったりしますが、ホントに何も変わっていないことには、溜息しか出ません。
そして、大森将平は雪辱を期す一戦を、その条件で闘わざるを得ませんでした。
試合全般を通じて、大森のパンチがまともに入っても、タパレスの耐久力がまさり、
ダメージあったと見えても、回復が早いのに対し、大森は打たれるごとに弱り、
確実に削られていきました。
単純に「アンフェア」と言いたくもなろうというものです。
ただでさえパンチの威力に秀でた相手、しかも一度敗れた相手です。
しかし、同時に、試合開始早々から、あまりにも良いときの大森将平とは違う、
動きが硬く、縮こまっていて、パンチも伸びない。これはどうしたことか、と見えもしました。
序盤は丁寧に外すこと優先、だったのだと思います。
それは良いのですが、リーチを生かして突き放すストレートが伸びず、
タパレスのリターンパンチが届く位置取りで、ガード自体は心がけていたものの、
やはり打たれる頻度が高く、5回の好機も反撃されて逃し、7回は効果自体が乏しく。
10回のダウンで、陣営がタオルを入れない、異常な判断に驚かされたのち、次で試合は終わりました。
もちろん、条件が違う試合だったことは前提です。
しかし、大森将平の闘いぶり自体にも、早々から不調の影が色濃く見えたのも確かでした。
大森将平の今後はどういうものになるのでしょう。
不運、悲運であったことだけではなく、彼自身の現状にも、厳しいものが見えた、
二重の意味で苦く、重い試合となってしまいました。残念です。
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井岡一翔vsノックノイについては、実力的には確実に差がありましたが、
いつも選んでいるような相手とは、ちょっと「寸法」が違ったかな、という印象でした。
いつもは、井岡が相手の距離の僅か外に立ち、そこから相手を前で捌く、という流れが作れる、
そういう距離の選手を厳選しているな、という印象で、その寸法に収まるならば、
ファン・カルロス・レベコ級の相手まではOK、という基準なのでしょう。
しかし、今回の相手、腕の長さ自体はともかく、肩幅が想定より広かったかな、と。
丁寧に城攻めをする井岡に対し、勝ちには届かない程度の反撃が出来たのは、
その辺に、若干読み違いのようなものがあったからかな、と見えました。
もちろん攻撃力には不足あれど、細かい巧さや粘りがあった、ノックノイの健闘でもありましたが。
しかし、両者の攻防自体もそうですが、単に「絵」として、世界どうこうという
試合には見えませんでした。困ったことではありますが。
ノックノイは、普段よく見る「噛ませさん」的な、風呂上がりのおじさん風ルックスが
なかなか味わい深かったですね。
あれで61連勝、12年間無敗、無冠の帝王...以前も少し書きましたが、
往年のマービン・ハグラーも下駄履いて逃げ出すような触れ込みと相まって、
なんとなく愛着がわいてくる選手でありました(笑)