さうぽんの拳闘見物日記

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拳闘見聞の日々。

周到さとは無縁の「永遠の挑戦者」 ノニト・ドネア、五階級目の壁に砕かれる 

2014-10-21 19:39:08 | 海外ボクシング


日曜のWOWOW生中継、今頃感想文です。


先のシンピウェ・ベチェカ戦ですでに見えていた、ノニト・ドネアの、フェザー級における限界。
フライ、バンタムでは間違いなく世界最強、スーパーバンタムでも、最強(かつ不人気)リゴンドーに肉薄する実力を示し、
近年の軽量級が生んだ最高のスーパースターであるドネアにして、やはり五階級目の壁は高く、厚かった。
それを改めて確認したという試合でした。


ニコライ・ウォータースがフライやバンタムの選手だったら、一打の決定力は脅威であったとしても、
2回のピンチをきっかけに、次の回あたりに倒されていたでしょう。
しかしドネアはその好機を生かせず、逆に3回、打たれる可能性も承知で攻めかかり、アッパーで倒されました。
このあたりに、本来の体格の限界を超えた階級で闘う苦しさ、もっというなら理不尽さが見えたように思います。


さらにいうなら、五階級目の闘いにおいて、従来通りに速さや強さを拠り所に、真っ向勝負を挑んでいく、
ドネア自身の志向そのものが、ついに決定的な破局をもたらしたのだ、ということなのでしょう。

それは、彼自身がこれまで積み上げてきた、あまりに素晴らしい数々の勝利があったからこその陥穽でした。
例えばハグラーに挑んだ際のレナードや、最近ならウェルターにライト級のスピードを持ち込んで「延命」を計り、
見事に成功したメイウェザーなどが持つ用意周到さ、計算高さの欠片も、ドネアに見出すことは出来ませんでした。
フライ、バンタムという軽量級の伝統クラスにおいて、最強の強さを証明してきたボクサーではあっても、
それはやはり、無理、無謀の感が拭えないものでした。
しかしそれこそがノニト・ドネアの闘い方であり、その姿には敗れてなお、蠱惑的な魅力に満ちていたのも事実です。

6回、頭部に入った右で倒され、立ち上がったものの続行かなわず敗れたドネアの姿を見終えたあと
過去に、これほど驚異的な強さを持つ軽量級のボクサーを、他に見たことがあっただろうか、と思いました。
軽量級の歴史を振り返っても、フライ、バンタム、そしてフェザーに渡って世界上位の力を発揮したボクサーといえば、
それこそファイティング原田くらいしか思い当たらないのが実際のところです。
昔日の三階級制覇に匹敵する偉業に挑み、果敢に闘い、そして打ち砕かれたドネアの姿は、敗れてなお、
これまでの彼の偉大さを改めて想起させ、過去の名選手たちの記憶をも呼び起こさせるものでした。

今後については、再起の話もあるようですが、どうあれ彼のここまでの堂々たる闘いぶりに、感謝と拍手を送りたいです。
やるなら階級を下げるという話みたいですが「そういう問題」かどうかは、また別の話だとは思いますが。


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この日のメイン、ゴロフキンは毎度のとおり、でした。
何を言えばいいのかわからん、という感じです。強い。どないせえちゅうねん、の一語です、ハイ。

しかし、斜め上から頭に左フック打たれるのって、他人事ながら、誠に気の毒ですねぇ。
あれは絶対嫌やなぁ。まあ、脇腹に拳を返した左フックを打たれるのも嫌ですが...。


石田、淵上といった面々は、この相手と闘ったというだけで、本当に立派だったと思っちゃいますね。
よく無事で帰ってきた、の世界です。
「メキシカン・スタイル」と銘打たれた興行だったそうですが、こんな試合しちゃうと、
カネロもジュニアさんも、すんなり受けてくれるのかどうか...コットも同様でしょうし。
我らが村田は、まだそういう段階にないこと自体が幸運、なのかもしれません。えらい王者もいたものです、ホントに。


コメント (5)
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