試合後のインタビューで、真っ先に出た言葉が、端的に試合を総括していた、そんな試合でした。
「自分が未熟で、宇佐美選手も強かった」
勝利に満足はしていたでしょうが、同時に不満もあったのでしょう。
勝利はまったく問題ないものだったけれど、もうひとつ先に進んだ何かが欲しかったというか。
それは試合を見ているこちらもまったく同感でした。
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試合のテレビ放送に関しては、ちょっと話が聞こえてきませんので、展開を簡単に。
1回、中谷正義、宇佐美太志、双方見ている。中谷が右から左、逆ワンツー。宇佐美は右から。中谷。
2回、中谷が手を出す。左ボディ、スリーパンチ。宇佐美2発リターン、すると中谷3、4発。
ここから中谷、足を使うだけでなく、時にじりじり圧し、突き放して距離を作る。中谷。
3回、中谷時にガードを下ろして誘う。右アッパ-。左アッパーがローブローになり、一分休憩。
宇佐美左フックがヒットか、中谷少し失速、下がる。きわどいが宇佐美?
4回、宇佐美ワンツー、少し攻勢。もっと打ちたい。中谷長いワンツー、反撃。打ち合いで中谷。
宇佐美もペースアップ?ラウンド自体は中谷。
オープンスコアは39-37×2、40-37、いずれも中谷。
5回、中谷右ボディ。宇佐美手数少ない。見過ぎ。右カウンター合わせるもミス。
中谷はストレートパンチ中心、上下に散らす。宇佐美右カウンター試みるも決まらず。中谷。
6回、中谷左フック、右アッパー。動いてジャブ4発。右ヒット。中谷。
7回、少し距離が近くなり打ち合いも、宇佐美相変わらず手数が出せない。
後手のリズムが固まってしまった。中谷右ストレート、左フック、連打。中谷。
8回、宇佐美ジャブから右、中谷少し手数減る。打たれたとき、目に見えて動きが変わるのは少し問題。
しかし中谷持ち直しジャブ、ワンツー、ロープ際に宇佐美を捉える。宇佐美疲労とダメージありあり。中谷。
二度目のオープンスコアは78-74×2、79-74、全て中谷。
9回、中谷にはフィニッシュを期待。左ジャブ、足使って回る。時に手を下げ頭を振り、左アッパー。
ダイレクトで右、足使う。完全にペース掌握。宇佐美はキレのある右を振るが単発、そして遠い。中谷。
10回、中谷ジャブを上下に散らす。ガードを下げたところに宇佐美が右アッパーを合わせるもミス。
宇佐美惜しい、中谷はこういうところが少し危うい。中谷のジャブに宇佐美が右合わせる。
宇佐美ジャブ、右カウンター。この回は宇佐美か。
11回、宇佐美ジャブが出るも、中谷が長い右で抑える。中谷ジャブ2発ヒット、右、ジャブ3発、また右。
終盤突き放し、捌いている。しかしもう一押しがない。中谷。
12回、左フック相打ち、宇佐美少し浅い。中谷がジャブでコントロール。最後中谷手数出す。中谷。
判定は118-111、118-110、119-111。私はふたつめと同じでした。
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中谷は少ない試合数ながら、中身の濃いキャリアを積んできた選手らしい巧さが出た試合でした。
攻め口が非常に多彩で、ジャブひとつとっても、上下に散らし、突き放し、誘い、と狙いが見え、
足の使い方も下がり、回るだけでなく、時に踏ん張って突き放しにかかったり。
攻撃もストレートパンチ、ボディブロー、アッパーと巧く使い分けていました。
何より、相手より大柄でリーチのある側の中谷が、常に先手で動いて、こまめに闘い方を変え、
あれこれと考えて試合を作っていく姿勢そのものが良く、見ていて感心させられました。
いっちゃなんですがこの手の「恵まれた」選手って、自分の天分にかまけて、それを前提にした闘い方、
悪く言えば、ずぼらなボクシングに走ってしまうことが多いものですから、余計に。
ちょっと偉そうですが、中谷にはこの心がけを忘れず、今後とも精進してもらいたいと願います。
しかし、中盤以降やや疲れもあってか、攻防共に少しずつ威力が落ち、精度が悪くなってもいました。
パンチ力は無いわけではないでしょうが、あれだけペースを握って、確実にヒットを取り続けていれば、
見ている側としてはもうひとつ欲張って、倒してほしいと思うのが人情です。
そのあたりは、結局のところ、彼自身がさらに鍛練を重ね、さらに強くなるしかない、ということなのでしょう。
確か今回で9戦目でしたか、まだまだ今後が楽しみですね。
対する岐阜のホープ、宇佐美太志は、試合数では中谷より多いものの、経験で劣ったという感じでしょうか。
以前見た試合では、相手の急所を、常に遠回りしない軌道で打てる、筋の良い強打者というイメージでしたが、
昨夜の試合でも、時折その良さはキラリと光っていました。
ただ、中谷と比較すれば小柄で、体格で劣り、距離の差を克服していかねばならない立場の宇佐美が、
常に後手を踏んでしまい、自ら仕掛ける意志や用意を見せられず、悪い展開のまま試合を終えたことは
見ていてとても残念に思いました。彼がやらねばならないこと、心がけねばいけないことを、
全部先に中谷にやられてしまっていた。勝ち負け以前に、ここを省みてもらいたいと思います。
関西と中部の若手対決は、中谷に軍配が上がりましたが、決して見目鮮やかなスペクタクルとはいえずとも、
双方未熟なところも抱えながら、それぞれの良さ、特徴も見られた、まずまずの試合だったと思います。
両者の今後に、変わらず期待し、かなうならば将来、再戦も見てみたいものですね。
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そんなことで、明日はいよいよ東海のゲリラ豪雨ではなくて稲妻、田中恒成の試合です。
この記事読むと、大橋会長が敢えて今受けた狙い...原隆二の奮起、復調に期待するという狙いは
どうやら当たりだったようですね。田中にとっては容易ならざる闘いになるかもしれません。
しかし、今回宇佐美太志が敗れ、中部の期待はいよいよ田中にかかることになります。
中部贔屓の関西人として知られる(誰が知っとるのや)私としては、やっぱり勝って欲しいし、
奮起、復調した原隆二を破っての、見事な戴冠を見たい、という気持ちです。
そういうことで明日は馬鹿をやって、平日ホール観戦弾丸ツアーであります(^^)
会場からの速報を、こちらで試みるつもりでおりますので、お時間ある方はご覧くださいませ。
もし接続が上手くいかなかったらごめんなさいですが...(^^;)