ちいさな幸せ

幸せの基準ってある?
それは自分の心の中にあると思う。
私は何時も陽だまりのような幸せの中に居た。

ナニカアル

2011年06月24日 | 読みました

     「西洋オダマキ」  植えた覚えもないのに毎年勢力を伸ばす     (11-5-29)


まだ6月と言うのに、40度一歩手前と言う町があるそうですね。関西も暑いので
すが、30度前後だと思いますよ。こんな天気が続いたら、午後の一番暑い時間帯
に「節電せよ」との申し出は蹴飛ばしたい!

          ナニカアル     桐野夏生


桐野さんの本は何冊も読んでいます。題名「ナニカアル」と見たとき、「何?これ
?」と言う感じでした。林さんの生涯が書かれていて、「こんな人だったのよ…」
とグいっと突きつけられた感じでした。

プロローグとエピローグは往復書簡形式になっていて、林芙美子の実発表の原稿と
言う体を踏んでいます。沢山の参考資料ですから、実話なのでしょう。

林さんは『ルンペン作家と馬鹿にされて、底の底の生活から這い上がってきた自分
が、真の戦いの有様を書かなければ、人の心には届かない』と感じて従軍記者とな
ったそうです。

そして従軍地のことは『当時良く言われたのは「ジャワの極楽、ビルマの地獄、生
きて帰れぬニューギニア』だそうで、林さんは幸いなことに「ジャワの極楽」だっ
たそうです。  

宇野千代さんは従軍記者をご辞退なさったそうです。さもありナンという感想です。

林さんの「浮雲」「放浪記」読んだのですが、そして「浮雲」に書かれている屋久
島、「放浪記」の尾道も行ってみたのですが、だからと言って、「林芙美子の文学」
が取分け好きということもなかったと思います。


林さんは「不倫の子」を産むのですが、その時生まれた赤ん坊を見て、こう思った
そうです。

『小さな猿にしか見えない赤子は、人間としての始まりを、母親に抱きとめられて
満足そうだ。では、子のこの終わりは、誰に抱かれて、誰に見取られるのだろう。
一人の人間が赤子として生まれ、老人へと変化していくさまを想像し、私は不思議
な感懐に打たれた』

私も2度お産を経験しているわけですが、高齢出産の初産ですから、自分の老い先
と子どもの行く末に思いを馳せたのでしょうか。自分の短命を知っていたのでしょ
うか? 子どももまた若死にするのですよ。

林芙美子さんといえば

「花の命は短くて 苦しきことのみ多かりき』 と言う言葉ですよね。

この言葉は林芙美子さんの小説を読まなくとも、知っている人が多いフレイズでは
ないでしょうか? 




コメント
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