ちいさな幸せ

幸せの基準ってある?
それは自分の心の中にあると思う。
私は何時も陽だまりのような幸せの中に居た。

遍路  (67回)

2009年11月15日 | 思い出話
              平成15年5月10日
             第64番札所  神前寺



  距離:22K  伊予小松駅 ~ 吉祥寺 ~ 前神寺 ~ B.H 美空   (3)



                  石鎚神社の高~い鳥居


前神寺まで、もう少しと言う所に「石鎚神社」はありました。今から思えば折角
だからお参りすればよかったのに、当時は先を先をと心急いでいましたから、
鳥居の前でお参りしただけでした。年齢的には尚更何事も「一期一会」なの
に…、近頃は身に沁みて感じていますが、たった7年前には「まだまだ」と言
う気持ちでした。

見あげるように大きな鳥居が目を引きました。その手前には石鎚神社は「日
本七霊山」の一つであると書かれた看板が立っていました。それは「石鎚山 
富士山 御嶽山 大峰山 立山(白山) 大山 釈迦岳」です。釈迦岳だけを
知りません見当をつけて九州・福岡の八女(やめ)であろうと推測しました。
それは普賢岳(ふげんだけ)の頂上にあるようです。

普賢岳は1990年かの大噴火を起こし「火砕流」と言う言葉を私に教えて
くれた山でした。このように思い出を綴る事によって、知らない事を調べた
り、思いもかけない関連に行き当たる事があります。パソコンを使っていて
よかったと思う瞬間です。富士山 御嶽山 立山 大山に登っているのです
よ。加えて主人は神戸のすし屋の主人に誘われて大峰山にも登っているの
ですよ。大峰山は今でも(主人が登った当時)女性は登れないんです。山の
麓の宿で連れの帰りを待っているわけです。







第64番札所 前神寺 の山門は石鎚神社の大鳥居を見たばかりの目には
「あれ~!」「これ?」と思うほど簡素なものでした。雰囲気としては落ち着いた
お寺で、ウグイスの声があちこちから聞こえていました。ウグイスの団地があ
るの?と思ったくらいです

境内は広く暫く歩かなければ「大師堂」につきませんでした。「本堂」はまだ
まだその先にありました。


                前神寺の入母屋造りの本堂



写真の写す角度が悪く真正面から写せば、入母屋造りの美しさ、荘厳さがも
っと良く解ったと思うのですが、この前に立った時、なんだか何時ものお寺と
どこか違うという感じを受けたのを覚えております。

提灯の三つ葉葵は江戸時代の西条藩主である松平氏がこの寺に東照宮を
祀ったからです。この寺は石鎚神社と共に石鎚信仰の二本柱となっていま
す。7月1日のお山開きには白装束に信者が集まって、此処より黒崎を越
えて石鎚山にお参りそうです。


        納経所の前辺りで見つけた なんだかとても心引かれた
   それから後 これと同じ像を時々見かけるようになり この寺を思い出す



少し行ったところで、ゆっくり歩むこんな2人連れと夫婦の歩き遍路さんを追
い越した。気が付けば私達は今朝からイチゴ1粒食べただけでした。道路沿
いにお店が1軒ももなく、今治駅は早朝だったので店が開いて居なかったの
です。道端にへたり込んでクッキーとカロリーメートの朝食を摂りました。

可愛い橋に出会いました。何が可愛い? その橋の欄干にメロディーを刻む
セメントのキーが打ちつけてあって、それを打つ事によって「ふるさと(反対
側はさくら)が聴けるようになっているのです。「撥は大切に扱ってください」
と書いてありましたが、撥はありませんでした。でも私は聞きたかったのです。
良い考えを思いつきました。金剛杖です。わるいかな?と思わないでもなか
ったのですが、奏でたい気持ちの方が勝っていました。私は「兎追いし…」
と歌いながら静かに打っていきました。  始は遠慮がちでしたが、自然の真
っ只中、誰も居ない開放感…。私はだんだん大胆になって大声で歌い始めま
した。それに連れて手にも力が入り、お大師さんの頭といわれている部分で
思いっきり叩いていました。通りかかった小学生が笑っていました。私はお大
師さんの頭の事に気が付き「わ! お大師さんすみません!」と謝り金剛杖の
頭をなぜました。

橋を渡り終えた土手は左側に大きな公園(武丈公園)がありました。桜の名所
らしく大木の桜の木が多数ありました。土手も桜並木になっていました。1ヶ月
前こばやしさんご夫婦が此処を歩かれた時はきっと桜並木のトンネルだったの
ではないかしらと、若葉を茂らせている木々を仰ぎ見ながら思いました。

住宅街に入ってしばらくすると、お庭に車椅子で座っている男性が居られまし
た。私は目礼をして通り過ぎようとしました。「お遍路さん…」不自由な言葉で
手招きされました。「これくづして、お参りして…」動かない片手で押さえ財布か
ら200円を取り出し差し出されました。垣根越しなので私も思いっきり手を伸
ばしてありがたく頂きました。身体はご不自由でも、どうか心豊な生活でありま
すようにと祈りつつその場を離れました。

住宅街を抜けて大通りに出ました。其処には嬉や弁当やさんがありました。作
って売っている「いしづち」と言うお店でした。ぬくぬくであるのがとても嬉しか
ったのです。店先のベンチで食べている間にも、車で買いに来る人が後をたち
ませんでした。

お腹に米粒がはいり、元気に歩き始めました。今夜の宿が「ローソン」の傍と
言うので、「ローソン」が見えると「やった~!」と近づくと、違ってがっかりを
何度繰り返した事でしょう。そういえば「ローソン」ばかりで「セブンイレブン」
は見当たりませんでした。四国をテリトリーにしているのは「ローソン」だけな
のだろうか? 

駐在所があったので入っていきました。大男の若い人でした。親切に教えてく
ださるのはいいのですが、私は一刻も早くその場を去りたかったのです。だっ
て半端じゃないニンニクのにおいなんです。一寸考えて欲しいな~、と思った
けど、考えてみれば人が訪ねてくる事等めった無いんでしょう…。

教えられた川の土手の「ローソン」にたどり着きました。昼食はしっかり食べて
いるのに、やはり歩き始め第1日目だから、えらく疲れを感じました。何はとも
あれ荷物を宿に置こう、後から買いに来ようと言う事で宿に急ぎました。

早い時間であるにも関わらず(大体早く着きすぎると嫌な顔をされます)気持ち
よく鍵を渡してくださいました。お風呂は4時で無いとお湯が出ませんと言う事
なので、夕食の買出しに出ました。「ローソン」で件のゆっくり女性2人組みが、
お弁当を買っているのに出会いました。「彼女達もきっと『美空』だね」と話しま
した。此処ではアルコールを売っていないので、主人は酒屋の場所を聞いて買
いに行きました。私は買い物をレジでチンしてもらって一足先に帰りました。予
想通りお二人さんがフロントで手続きをしていました。静かな一夜でした。


            ビジネスホテル 美空  (2泊目)

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