ちいさな幸せ

幸せの基準ってある?
それは自分の心の中にあると思う。
私は何時も陽だまりのような幸せの中に居た。

遍路 26 回

2009年06月21日 | 思い出話
            9月27日 (金)   唯歩くのみ


              距離:28K  旅館うすき ~ 民宿 安宿


9月27日13:23  おちさん  (送)
午前中雨でした。昨日大方の海岸辺りで高知県企画振興部調査か「こころのふれあう遍路道つくりアンケート調査」と言う人が自動車から降りてアンケートをお願いしますってこられたの。吃驚しましたが、後に続くお遍路さんの為にと言われると断れなかったわ。43ページもあるんです。高知県は本気なのね。協力するつもりです。

14:02  おちさん  (受)
高知の人は凄いですね。お遍路さんを大切に思って色々頑張ってくれて…後のお遍路さんの為になればありがたい事です。高知だけでなく四国で盛り上げたい気持ちです。私も旅を終えてからなるべくお遍路さんを見かけたら無事に歩けますようにとお大師さんにお願いしています。以前は何も思わなかった私が今は歩いた事で変われました。あの時歩いて本当によかったです。又歩きたいです。今日はどの辺りですか?昨日から仕事場にあの地図(遍路道の地図)を持ってきて休憩の間見ています。

16:26 かわしまさん  (受)
そろそろ今日の行程終わられる頃でしょうか?尼崎は曇り空・強風でとても寒いです。予報外れて雨は降っていませんが。温泉で温まって明日に備えてください。

19:17  かずよ  (送)
今日は朝6時過ぎから歩き始め。この宿に着くまで雨が降り続きました。明日も雨らしいです。清流四万十川は雨にけぶっておりました。明日は28キロ今日より2キロ少ないよ。嬉しいよ。

17:53  かずよ  (受)
今晩は。今日も変な天気でした。思ったより今の時点では雨降らず…でも肌寒いです。週末なので気分的に嬉しいです。

19:33  かわしまさん  (送)
虫のコーラスが見事です。名前が解らないのが残念です。知らない事がなんと多いことよ。遍路中は遍路宿に泊まりますが、質素なものです。でも明日はお寺の宿坊が土曜日で休みなので、ホテルにとまれるかも、楽しみです。

20:07  おちさん  (送)
昨夜はうすき旅館でした。電話した時から、何度も同じ事を聞かれるし、嫌な予感、行ってみれば、素泊まりでと言われました。お店を紹介してくれました。貴女の四万十川はどんなでしたか?今日の川は清流ではなく、濁っていましたがゆったりと流れていました。私にとっては一番激しい降りの時でした。この度の楽しみの一つに、田園の周りを彩るまんじゅしゃげの赤を楽しみにしていました。でも見当たりません。愛媛でも咲いていません?因島の方と石鎚山に上られましたか?明日はいよいよ足摺岬です。雨らしいです。

21:16 おちさん  (受)
まんじゅしゃげ愛媛では今咲いていますが、高知は暖かい所なのでもしかしたらもう咲いてしまったかも知れません。どこかで咲いていると良いですね。石鎚にはまだ上っていませんがかならづのぼります。そのときは又お知らせします。私が四万十川を渡った時はとても穏やかで澄んだ川で心地よい風に吹かれた想い出があります。明日は足摺岬、お天気が悪くなければ良いですね。足摺で少し散歩もいいですよ。今歩いている方多いですか?

21:34  かずよ  (受)
お疲れ様です。こっちも本降りになってきました。風が凄くあります。明日も頑張って!!おやすみなさい。


宿を出るときご主人が「此処から3時間ほど行ったところにファミリーレストランがあるから、そこで朝は食べなさい。丁度トイレ・タイムにもいいし…」と言われました。素泊まりで朝食も無かった。

2時間でそのレストランに着きました。雨で急いだ所為でしょう。酷い雨でした。菅笠とポンチョ型合羽で身体はぬれる事はありませんが、杖を握っている手が濡れて冷たかったです。雨は杖が乾いたと感じたら又降ると言うように断続的に強く降りました。

私達が店に居る間にも次々と自家用車でモーニングを食べに来る人が居ました。都会の人は歩いていける範囲でモーニングに行く店を探しますが、田舎の人は店も少なく遠いしマイカーで来るんだな~と思いました。

どういうわけか、トンボが人にくっ付いて店に入ってきますし、ドアの外にも何頭も居ます。昨夜からあまりに雨が強いので、雨宿りに来ているそうですよ。生きているトンボは羽をすぼめて留まっていますが、飛んでいる時のように羽を広げているのは死んでいるんだそうです。地元の方に教えていただきました。「皆死んでしまってるね~」って…。こうして自然の中を歩いていると、自分が自然について如何に無知かを知らされます。


               橋の上から写した 『四万十川』



四万十川の土手まで、田舎道を歩きました。天気が良ければどんなに気持ちの良い道だったかと思いました。叩き付けるような雨に、道は水溜りばかりです。天気であれば土手を下りて川沿いの道を歩きたいのですが、雨が強くて諦めました。

昨夜来の雨のため、水嵩が増し、激しく流れていると想像していましたが、清流四万十川と言う『藍』の顔を見せてはくれませんでしたが、『ミルク掛かった緑色』で、ゆったりと流れておりました。此処に来るまでに見た細い川は雨に押されるように、急いで流れていたのに、四万十川は泰然とその流れを変えていないように見えました。

買い換えたばかりで新品のデジカメ、雨にぬらすのが怖くて、写すのを躊躇っていました。橋を渡り始めますと、何となく薄日が差して来多様な気がしました。私の欲目だろうか? 長い橋を渡り終える少し前、ほんの一瞬ですが雨も止み、薄日が差しました。私は急いで写真を撮りました。3枚写したところで雨が降り始めました。この一瞬がなければ私は四万十川を写せませんでした。もう少し中央に居る時に雨がやんでくれていれば、もっと良い写真が取れたのではないかと、欲が出ます。(今の私なら、少々の雨でもカメラが濡れる事など気にせずに写すだろうと思います。カメラは紙で出来ているのではないのに、如何してそんなに濡れる事を恐れたのでしょう…、無知の成せる技としか言い様がありません)

雨の四万十川に別れを告げ、今夜の宿に急ぎました。だんだんと雨も小降りになり、雨の止んだ草むらからは秋の虫の声が続いていました。

宿は地図と反対側にありました。ご亭主曰く「道筋が変わった」目印にしてきた郵便局が移転していました。これでは歩き遍路は困ります。

部屋に通され窓を開けるとわ~っと言う感じで虫の声が飛び込んできました。その中に鈴虫の声も混じっていて、我家の鈴虫を思い出しました。もう死んでいるだろうと…。

あんなに奇麗な声と言われるのも実は羽を擦り合わせる音なんですよね。「鈴虫が沢山孵ったけど入らない?」と頂いた鈴虫を、孫が欲しいと言うので半分っこしました。メス、オスの区別がわかってから数えますとメス3匹、オス6匹でした。

9月も半ば過ぎて、私は異変に気が付きました。オスの数が減っています。私は下さった方に訊ねました「オスが居なくなったのどうしてかしら?」「そうなるのよ。メスがオスを食べるのよ。その辺に羽が散らばっているから見てご覧、身体は食べられてないはずよ」本当にそうでした。羽の裏に身体はありませんでした。オスは1匹になっていて、メス3匹がオスを狙っています。オスは身の危険を察知しているのか、木の上で動かない。メスは丸々と太っています。友の話は続く「メスも卵を産むと死んでしまうのよ」メスだって子孫を残すのに必死なのだ。「ケースの縁に卵を産み付けるから、見えるはずよ。雨のあたらない所に置いておくと、来年生まれるよ」誰に教えられるわけでもないのに、来年又同じ事が繰り返されるのね。帰宅するとメスはすっかりやせてミイラになっていました。

安宿での同宿の方はご夫婦1組(諏訪市の宮坂さん 今もたまにコメント頂いていましたが、この頃頂かないのですがお元気でしょうね? 年賀の友)、男1人遍路(1人は足摺、金剛福寺よりの帰り)が2組、そして私達の6人でした。

ご亭主は雨に濡れた靴に新聞紙を入れて乾かす方法を皆に伝授(新聞が濡れれば何度でも取り替える)。その上に洗濯機の前で洗い終わるのを待っていて、私達に知らせ次々乾燥させる。実にこまめに動く人です。

お食事は普通でした、思い出そうとしても思い出さないのです。宮坂ご夫妻はアルコール好きでビールとお酒を飲んで、ご飯を食べないのです。体がよく持つものだと思ったのですが、考えてみればお酒だって、お米なんだわと納得しました。

ご亭主が私の靴のはき方を注意してくださった「靴の紐を強く結んではいけない。特に雨の日はね。奥さん(私)の足元を見たとき、これでは足が痛くて、距離が出ないだろうと思った」実際、一日雨の中を歩いて、靴が足を締め付けていたのだと思います。靴擦れがひどくなって泣きたいくらいでした。

「騙されたと思って、明日から3番目の孔から紐を通して、ゆるく結んでご覧。靴の中で足の指が遊んで無いといけない。今度靴を買うときは自分のサイズの一回り大きな男物を買うといいです」私は22.5cmで23.5cmを買っていました。でも同じ23.5cmでも男物は全体的に大きいからだそうです。

翌日から私は教えられた通りにしました。藁おも掴む思いです。出来ていた靴擦れも直りましたし、それ以後、何時も泣かされていた水ぶくれも出来ずに快適に歩けました。今までは紐が緩んできたといってはぎゅっと結びなおしていました。朝は水ぶくれの手当てをして、テーピングをするのに30分ぐらい掛かっていました。この日からその必要が無くなったばかりか、幾ら歩いても足が痛む事はありません。安宿のご主人に感謝感謝です。ご亭主の教え通り、主人も又私と同じく紐を緩めて結ぶ事を始めてから、足にトラブルは起きませんでした。二人でよく「安宿のご亭主に感謝だね」と喜んで話したものです。本当に、この教えが無かったら、88ヵ所歩き通せたかどうか解りません。感謝の遍路旅でした。

            9月27日  民宿・安宿  (3泊目)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする