遊煩悩林

住職のつぶやき

28日さま

2006年10月28日 | ブログ

28日さま。真宗、とくに大谷派の門徒にとっての親鸞聖人のご命日のいただき方を表す言葉です。大谷派では11月28日、本願寺派では1月16日にそれぞれ宗祖のご報恩に感謝する報恩講が毎年お勤まりになります。東西本願寺で暦が違うのは、お東(大谷派)は、旧暦11月28日の宗祖のご祥月命日に合わせて11月21日から28日まで報恩講がお勤まりになり、お西(本願寺派)では、旧暦の11月28日を新暦に直して、1月16日に合わせてお勤まりになっているからです。お西で「16日さま」という表現があるかどうかはわからないのですが、お東では「28日さま」は毎月、各寺院で「28日講」という寄合や「同朋会」などの集いが開かれています。
常照寺でも毎月28日は「ご命日の集い」を持っています。特に集合時間を定めているわけではないので朝からご門徒の有志の方々が、それぞれご家庭のお仕事をきりあげて、ボチボチお寺に出てきて下さる。そしてそれぞれがホウキを持ったり、雑巾を持ったり、掃除機を持ったり・・・。というかたちで境内のお掃除をして下さるのであります。
この集いは、28日のご開山のご命日と13日の前住職の命日に持たれています。もともとこの集いは毎月8・18・28日に持たれていたのですが、平成10年に前住職が亡くなってから13・28日に改まりました。平成2年に前坊守が亡くなってまもなく、お寺が呼びかけたわけでもなくご門徒のご意思でこの清掃奉仕とご命日のお勤めが続けられてきています。
お寺に居住させていただいている身としては、ただただ有り難いことでありますので、特にあれをしなさい、これをしてくださいなどの指示は極力しないようにしています。それぞれがホウキで塵を掃くと同時に、こころの塵を掃きとり、雑巾で各所を磨きながらそれぞれのご信心をお磨きになっておられるように感じます。
私たちの本山である真宗本廟(東本願寺)では、2011年にお迎えする宗祖の御遠忌に向けて「お待ち受け総上山」が行われています。御遠忌をお向けする期間だからこう呼んでいるのですが、それまでは「本廟奉仕」という呼び方でありました。このルーツは、先の宗祖の700回御遠忌にまでさかのぼります。当時、真宗本廟は参詣が少なく境内も荒れていたといいます。これではいけないということで集われた全国からのお同行は、昼は掃除と草抜きなどの清掃奉仕、そして夜はお念仏の教えを学ぶ聞法奉仕というカタチで信心を磨かれたといいます。
現在、本山で行われている御影堂のご修復工事は、そういった意味でいえば私たち真宗門徒が失いかけている「ご信心」を回復していく作業ともいわれます。ただ建物を修繕しているのではなく、私たちのこころを修復しているということです。
奉仕の作業はそのままこころを磨く作業でありましょう。「奉仕」ですから強制されるものでもなければ、強制するものでもないというのが私のおもいです。ですが、お寺の奉仕に出てこられて人の作業に文句を言ったり、陰口を叩いたり、悪口を言ったり・・・では、どうでしょう?しかし、そんな我が身が自覚されてくることがまた大事なことなのでしょう。
ですから、お掃除だけで済まさず、お勤めをしてお念仏のみ教えを聞かせていただくのです。仏の教えに出遇ってはじめて、私の愚かな姿が照らし出されてくるのでしょう。

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