遊煩悩林

住職のつぶやき

めでたきことであるために

2009年06月16日 | ブログ

一昨日、妻の妹の結婚式に出席しました。
結婚が決まった頃から、総合結婚式場でやるかホテルでやるか相談を受けました。私たち夫婦の出した結論は後者。自分たちもホテルを利用して披露宴+2次会とやってみてそれなりに手作り感が出てよかったなと自己満足しているからです。どちらも一長一短なのでしょうが、個人的には総合式場の流れるようなスタイルがどうも葬儀会館のベルトコンベヤー式のそれとダブってしまうということが最大の要因です。祭壇が高砂に代わり、親族のネクタイが黒から白に変わるだけのイメージしか湧いてこない。確かに招待客側からすれば3時間ならその時間内にぴったりすべてのすべてのスケジュールが盛り込まれ、楽だし、飽きさせられない・・・ということもあるのかもしれません。20090614_114523
彼女らが出した結論は

PRIME RISORT 賢島

http://www.primeresort.jp

というリゾートホテルでした。(後から知ったのですが新郎側の招待客には総合式場のスタッフをしている友人がいたそうな・・・)事実、今回は屋外のチャペルでの挙式、披露宴後半はプールサイドでデザートビュッフェという段取りでしたが、プールサイドに移動した頃から雨がパラパラ・・・。総合式場ならそんな心配はないわけです。そのかわりにそういった演出やもてなしの想定もできないわけです。

それともうひとついえば、式場のあの空間は不思議な箱で、いろんな魅力が詰まっているといえますが、どうしてもそれが閉ざされてしまっているような気がするのです。どことなくひっそり感があり、極端にいえば隠されているような感覚すら抱いてしまいます。
幸い田舎とはいえ、有数のリゾートを抱えるところに彼女は嫁ぐのですから、やはり少々のアクシデントは覚悟の上で広々と解放された場所で、招待客だけでない第三者にも目の触れるようなカタチでやったほうが面白い。20090614_153246
海と山の景色と自然光の溢れる披露宴会場で、友人らが自作したDVDや、本人たちが感謝のメッセージを綴った映像などはプロジェクターが求める暗さに対応できるはずもなく、当日早朝に自宅の液晶テレビを持ち込み・・・てなトラブルも含めて、11時30分の挙式から夕方まで贅沢な時間でありました。
翌日は、今年2月に事故で急死した新郎の親父さんの墓参りに寄せてもらいました。めでたきことがめでたくあるのはそういう「死別」という絶対的な別れに支えられてある、二人の新しい出発を迎える感動にはそんな裏付けがあってのことだと思いました。当然その前に「出遇う」ということがあってのことです。
また、今朝から祖母が転んで腰の骨を折る重傷を・・・叔母は胸部に癌が見つかったとの知らせをそれぞれ受け取りました。「めでたき」ことの内面には、生まれ、老い、病み、死するということをすべて含んでいる、生きているというこのめでたき存在を感動をもって引き受けていくということの難しさをつくづくと感じます。
今時の披露宴ではこんなことは決して口にできないような現代人の常識というかマナーというかタブーというか・・・。常識的には相応しくないのかもしれませんが二人へのはなむけに、二人がつくりあげた式の感想とともに・・・。
「お幸せに」も兄からのおせっかいの余分な祝辞です。

それにしても「誓いますか!」「誓います!」っていうやりとりはいいですね。何を誰に誓うのかはっきりしていて。人前式というのも流行りで「そこにいる人びとに誓う」というのもありなのでしょうが、「永遠の愛」を誓うのであれば、やがて生老病死する人に誓うよりも、死ぬことのない「絶対」に誓うというのがやはり筋だな、と。やはり、愛だけではありませんが、人間を超えたはたらきに対しての誓いがあった方がいいと思います、というよりもなければなりません。日本の現状からすれば茶番に映る儀式かもしれませんが、それがないとそれこそ茶番になっちゃいます。招待客はやはりその見届け人に徹するべきだと思います。そもそも人間に対する誓いなんてどこまでも条件つきですからね。

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