世界の中心で吉熊が叫ぶ

体長15センチの「吉熊くん」と同居する独身OLの日常生活

日常の断片2

2010年12月01日 22時32分48秒 | Weblog
後輩女子Cちゃんと吉熊上司は、最近とても忙しい。
吉熊上司に来客があった際、いつもはCちゃんがお客様にお茶を出すのだが、今日は私が出すように言われた。

後輩が入るまでの5年間、吉熊上司の来客にお茶を出していた私には、一つのポリシーがある。
それは、濃いお茶を煎れるということだ。
以前、お茶の煎れ方を知らなかった私は、出したお茶を「おしっこみたいだな」と言われてとても恥ずかしい思いをした。兼業主婦のパートさんにお茶の煎れ方を教わり、ようやく濃いお茶を煎れられるようになった。

茶碗の中の濃い緑は、まりもが浮いているみたいに濃い。
冬、水を取り換えない水槽というか、なんだかいかにもプランクトンが生息していそうである。
これぞまさしく、通称「まりも茶」。
しかも経費削減を掲げている部署に身を置いているので「少ない茶葉で」というのがミソ。

お客様がやって来た。
「じゃあ、お茶、…お願いします」
と私に依頼する吉熊上司はなんだか不安げ。
無理もない。
私がお茶に、唾や鼻くそやフケを混入するのでは、と思っているんである。

何かを始めるときに粋な人が両手に唾を「ぺっ、ぺっ」と吐く様を、さっき、私が再現したのも一因。
潔癖性の吉熊上司は、
「(お茶を飲んで)明日、体調悪くなったらどうしよう」
と言いなから、応接室に入って行った。

お客様が帰られた後、茶碗を下げに行ってみたら、完飲してくださっているではないか。
よかった。

まりも茶、成功。


日常の断片1

2010年12月01日 22時28分54秒 | Weblog
いつもは昼過ぎに、他の建物に行く。
他部署を回り、書類を渡したり渡されたりするのである。

今日は朝一番に、吉熊上司から他の建物にいる社長と副社長に書類を持っていってと依頼された。

9時ちょっと過ぎの道路は清々しかった。
晩秋だというのに民家の軒先に咲いているコスモスの健気な様子を見たり。
生まれたての空が高く澄んでいるのを仰いだり。
ご婦人が連れている珍しい種類の犬に目を見張ったり。

出勤時とはまた違う。
「早く会社に行かなければ」という心理がないからだろうか。

昼過ぎとも違う。
冬になりかけの朝日は優しい色をしているからだ。
その光の中にあるものは、全てが優しく見える。

吉熊上司は朝、ウォーキングをしている。
なんだかその気持ちが分かった。
「朝、歩くと気持ちいいですね」
と吉熊上司に言ったら
「そうだろ?どこまでも歩いて行けそうな気分になるよ」
とのこと。

ちょっとした日常の断片だけど、とても印象に残る会話だった。