給料が入って必ずすること…顔剃り。この習慣を実施するようになり、あまり肌荒れしなくなった。「喫煙者の肌じゃないみたい」と言われる。
昨日一緒に飲んだN係長も月一で顔剃りをしてもらっているらしい。色白でもち肌の彼女。
彼女の行きつけは百貨店内にあるエステサロン。7千円近くする店に通っているとのこと。
私の行きつけは近所の理容店。マリコさんというおばちゃんが一人で切り盛りしている店である。顔剃り、マッサージ、パックの1時間半コース、そして缶コーヒーのサービスとマリコさんのトーク付きで2,500円。
他の女性客が口々に言うには、「マリコさんの店じゃないとさっぱりしない」ということらしい。
たしかに。
マリコさんが病気で店を閉めている間、他の店に浮気したが、あまりさっぱりしなかった。
どうやらマリコさんは産毛とその下の薄い角質もがっつりと剃っているもよう。
また私にはよく分からないが2度剃りをしているらしい。どうりで一皮剥けた感じになるわけだ。
今日もマリコさんはすこぶる元気だった。
しかし、次女が先日大学を卒業し、すぐに国際結婚して、少し寂しそうだった。
次女の結婚相手は典型的な男尊女卑男なので、苦労するであろう次女の未来を案じていた。
マリコさんの夫は20年前に他界した。
とても繊細な夫で、がさつなマリコさんはよく怒られたそうだ。
それも、近所の野原で捕まえた虫や雀を幼い娘たちに見せて喜ばせようとしていたら、「キミはなんて野蛮なんだ!」とか。
冷蔵庫の中をチェックして「これ、賞味期限切れているよ」だとか。
店に埃があると酷く怒って掃除したり、床をワックス掛けしたり。
お花が大好きで店内は花屋並に花を飾っていた夫。
色白で細くてイケメン。神経質な冬彦さんタイプの理容師だったらしい…こえー。
「観賞している分にはいい夫だったけど、一緒に住むのは大変だった」
とマリコさん。
そんな夫だが、唯一マリコさんを褒めてくれたのが、二人の娘を産んだとき。
「ありがとう。よくやったね」
と褒めてくれたらしい。
その後、娘たちの洋服を作ったり、本当に子煩悩だったマリコさんの夫。
子供可愛さに小学校の登校班に着いて行き、学校まで行ってしまうという体たらく。
次女の結婚相手が、亡き夫タイプではないことをマリコさんは嘆いていた。
「二人のお嬢さんを育て上げて、今、旦那さんマリコさんに『ありがとう』って言っていますよ」
と言ったら、マリコさんは
「そうかもね」
とニコっと笑った。
会計の時、
「毎月来ていますね。優秀です」
と褒めてくれた。
今日もマリコさんの話に爆笑し、そして綺麗になった。
ありがとうマリコさん。
昨日化粧したまま寝てしまったとは思えない美肌っぷり。
来週明けの新卒研修。
講師の私は久々にポニーテールにする。
ぼさぼさだった襟足も整えてもらいさっぱりした。
これでポニーテールも怖くない。