世界の中心で吉熊が叫ぶ

体長15センチの「吉熊くん」と同居する独身OLの日常生活

「恋空」に共感できる部分

2010年12月04日 22時58分09秒 | Weblog
「恋空」という映画がある。ケータイ小説が原作の映画で、濃縮還元100%の強烈なスイーツ(笑)臭が鼻につく作品だ。
高校生カップルが図書館で性行為に耽るくだりを観ながら吐き気がした。図書館とはそういうことに利用する部屋ではない。他にも、流産した子を弔うために公共の花壇に供え物をするといった「倫理的にどうよ?」的なエピソードが満載であり、不快感だけがねっとりと残った。見終えたあと、これに共感できない自分は異常なのではないかと不安になった。あまりにも話題になっていたから。

1秒も共感できない映画作品に遭遇したのは初めての経験だった。死や強姦などの悲劇的な要素を含まないと純愛を浮き立たせることができない作者の力量も稚拙だと思う。実話らしいのだが。

でも、最近、あの映画にも共感できるシーンがあることが判明した。
空に恋をするという最後の台詞。
わかるわ。

小惑星探査機はやぶさが感動の帰還を果たしてから、空を眺めることが多くなった。
毎日の帰宅時に、下町の屋根の隙間から見える木星の位置が季節の移り変わりと共に少しずつ変化していることを感じたり、仕事中に他の建物に向かう際に空を眺め、「空ってなんで青いのだろう」と思ったりしている。んでもって、ため息なんて吐いちゃったりして。嗚呼、これが恋でなくて何だろう。

空に恋する。

厳密に言うと、はやぶさが散って風になった大気圏への恋。

かつて日本には糸川英夫という科学者がいた。
はやぶさが目指した小惑星イトカワの名前の由来となった人物だ。
彼こそ、空に恋した人だと思う。
ゼロ戦「隼」の開発に携わり、戦後10年間の航空機開発禁止にも負けずに空を愛し続けた。

糸川、隼、イトカワ、はやぶさ…この関係性を知ったとき、鳥肌が立った。

【はやぶさ】時空を超えて×翼をください【糸川博士】+α




空に恋する。
なかなか上手いことを言うじゃないか、「恋空」。

あの作品は、少女が死んだ彼氏を空に重ねて想いこがれているんだが、私の場合、想う対象が小惑星探査機だ。共感できないのも無理ないか。

今更、納得。


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