非国民通信

ノーモア・コイズミ

欠地王ジュン一世

2013-10-20 11:42:11 | 政治・国際

小泉元首相「首相決めれば脱原発進む」 渡辺代表に吐露(朝日新聞)

 【今村尚徳】小泉純一郎元首相とみんなの党の渡辺喜美代表らが27日夜、都内で会食した。同席者によると、小泉氏は「安倍首相には勢いがある。首相が脱原発を決めれば前に進むのに、残念だ」と語るなど、脱原発の話題で盛り上がったという。

 小泉氏は「脱原発は政治がリーダーシップを発揮しないと進まない。自分は数十年後には死んでいて、原発のない日本は見られないかも知れないが、それをするのが本物の政治家だ」と語った。また、今年8月にフィンランドを訪れ、高レベル放射性廃棄物を地下に埋めて10万年かけて無毒化する核廃棄物最終処分場「オンカロ」を視察したことに触れて「フィンランドには原発が4基しかないが、日本には50基もある。いますぐ止めないと最終処理が難しくなる」と即時原発ゼロを訴えた。

 

 朝日新聞は全国紙で最も小泉政権に翼賛的なメディアだったと記憶していますが、往事の小泉賛美とは裏腹に小泉改革の「結果」に対してはどうでしょうかね。小泉純一郎を支持する一方で、小泉政権が残した「結果」には不満を露わにしている人(及びメディア)が少なくないように思います。その残した成果を見れば欠地王ジュン一世とでも呼ばれるべき日本史上屈指の愚かな為政者は、後任者に膨大な爆弾を残しつつも自身は名声を保持し続けた迷惑な前任者に似通っているのかも知れません。

 なお、「フィンランドには原発が4基しかないが、日本には50基もある。いますぐ止めないと最終処理が難しくなる」とのこと。ちなみにフィンランドの人口は僅か500万人超、日本の約25分の1です。日本の25分の1位程度の人口しかいないのに原発の数はどうでしょう? 人口当たりの原発の数で考えると、フィンランドは日本の2倍です。そもそも日本の「稼働している」原発の数はフィンランドと大差ないのですけれど――そういう現実を一蹴して省みないのが小泉なりの一貫した政治姿勢ですから仕方がありませんね。

 

小泉元首相発言 「原発ゼロ」掲げる見識を疑う(10月8日付・読売社説)

 小泉氏は原発の代替策について「知恵ある人が必ず出してくれる」と語るが、あまりに楽観的であり、無責任に過ぎよう。

 現在、火力発電で原発を代替している結果、燃料の輸入費が増え、電気料金は上昇を続けている。このままでは、家計や経済活動に与える影響が大きい。

 火力発電は、二酸化炭素(CO2)を多く排出し、地球温暖化が進む大きな要因である。

 太陽光や風力を利用した再生可能エネルギーは、天候に左右されるなど弱点があり、主要電源になる展望は見えていない。原子力、火力を主力にバランスの取れた電源構成を目指す必要がある。

 

 似顔絵まで披露して小泉をヨイショし続ける朝日とは裏腹にまともなことを書いているのは読売で、まぁ私が何かを付け加えるまでもないでしょう。小泉(菅も同路線ですが)体制であれば日本経済は失速を続け、産業向けの電力需要が減っていく、脱原発も可能に……みたいな道筋も考えられなくもないですけれど、普通に日本社会を回していく上では原発の代替が求められるものです。そして原発の代替が可能なのは火力しかない、そして火力発電比率を引き上げる代償として燃料輸入の増大(そこから必然的に導かれる電気料金の値上がり)と化石燃料のゴミたる二酸化炭素排出量の増大があります。

 廃棄物を小さく固めて、どこかの地下にでも保管しておけるようであれば、まだしも打つ手はあるでしょう。一方、二酸化炭素のように大気中に排出されて回収もままならないものもあるわけです。原発のゴミは拡散しない、どこかに保管して封をしておける、これはむしろ原子力発電のメリットでもあります。逆に火力発電のゴミは、保管しておくことができません。大気中へと垂れ流し、気候変動の要因を増大させていくのを眺めるほかない代物です。私には火力発電の増大の方が、より緊急性の高い不安要因に見えます。廃棄物を保管できない発電手段と保管可能な発電手段、どちらがベターなのやら。

 

小泉元首相、読売社説にブチ切れ!「原発ゼロ」批判に異例の反論(zakzak)

 「政治で大切なことは、目標として大きな方向を打ち出すことだ」

 小泉氏が19日付読売に掲載したのは、「『原発ゼロ』を目指して」と題する論文。怒りの矛先は、「小泉元首相発言 『原発ゼロ』掲げる見識を疑う」と題した8日付読売の社説に向けられた。

 論文は、社説での小泉批判を引用し、これに反論するスタイル。原発の代替電源・火力発電で電気料金が上昇し、経済に悪影響を及ぼしているという読売社説の指摘には「蓄電技術の開発が進んでいるではないか」などと強調した。

 「必要は発明の母」

 「過ちては改むるにはばかることなかれ」

 「『やればできる』は、魔法の合言葉」

 

 ……で、残念ながら本家本元たる読売掲載分はweb上で公開されていないようですが、また小泉が妄言を連ねていることが伝えられています。曰く「蓄電技術の開発が進んでいるではないか」とのことですけれど、この辺の技術に関心がある人なら、まだまだ先は遙かに遠いことを理解していると思います。進んでいるからと言っても、火力や原子力及び水力の安定発電に肩を並べ、太陽光や風力を趣味の世界ではなく実用レベルに持って行くには、それこそ放射性廃棄物を短期間で無害化するのと同じくらいの画期的なブレイクスルーを必要とするわけです。筋金入りのお花畑系政治家の脳内ではどうか知りませんが!

 挙げ句の果てに「『やればできる』は、魔法の合言葉」と根性論を持ち出しています。真っ当な批判をマジックワードでことごとく退け、暴走を続けては日本社会に大いなる爪痕を残した小泉らしい発言と言えるでしょう。まぁ、世間で「脱原発」と認識される人は、そういうものなのかも知れません。原発の利用や拡大にネガティヴな人でも、まともなことを言う人は軒並み御用学者だの工作員だの原発推進勢力だのと、脱原発を称する人から悪罵されてきたわけで、この「脱原発サークル」のお仲間に入れて貰うためには、ある種の「愚かさ」が必要なのでしょう。

 

脱原発、小泉氏との連携期待=志位氏(時事通信)

 共産党の志位和夫委員長は17日の記者会見で、小泉純一郎元首相が原発ゼロを主張していることについて、「理が通っている。私たちとも接点はある。原発ゼロの一点でどんな立場の人とも大いに協力を図っていく」と述べ、脱原発に絞っての連携に期待を示した。 

 

 脱原発を掲げていれば中核派とも手を組もうとしたりエセ科学系の論者を機関誌に登場させたり、あるいは福島に対する事実無根の誹謗中傷を拡散・擁護したりと、まぁ脱原発無罪を党是としている政党は数あります。 ……とりあえず、共産党は脱原発無罪で誰とでも手を組む、脱原発のためならば国民の生活を破壊して何も反省しないような人でも歓迎する、脱原発のためなら国民を犠牲にすることを厭わない、そんな党だと認識しておきましょう。安倍政権下での景気回復の動きに専らネガティヴな評価を投げかけ続け、経済面では協力しないとの姿勢を表明してきた共産党ですが、脱原発ならば手を携えるとのこと、党の姿勢が伝わってきますね。

 

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