Mizuno on Marketing

あるマーケティング研究者の思考と行動

2007年の回顧 研究編

2007-12-31 20:14:03 | Weblog
年末にいつも感じるのは,積み残した荷物の多さだが,今年は多少進展もあった。住田先生たちとの Optimal Threshold Analysis ... がEJORに採択された。ただし,いつ刊行されるかはいまもって不明。また井上君,野口さんたちとの研究が WCSS06 のポストプロシーディングスに採択され,夏に無事出版された。ただし,抜刷に3万円近くかかる・・・。

3月の artisoc コンペには飯塚君,石川さんと出陣。和泉さんのすごいプレゼンを始め,プロによる本格的研究に圧倒され,昨年に続く入賞には至らなかったが・・・。それはともかく,複雑ネットワーク上での情報伝播シミュレーションは,その後改良と発表を重ね,12月の JIMS でも発表となった。さらに進展させて,どこか国際学会で発表するなり,投稿するなりしたい。

5月には商業学会デビューした。階層帰属意識とクリエイティブワーク志向について話す。後者については,ほったらかしで1年以上経った。もはや賞味期限切れか・・・いや,そうは思わないぞ。やりようはある。そして6月,DM 学会デビューも果たした。そこで話したロングテールの話が,来年研究につながる可能性がある。問題は時間の確保。

6~7月は,池田君と行った,購買履歴データから消費者間影響関係を測定する研究を JIMS,MSC,IMPS で報告した。最終的に面白い話になったと自画自賛。ただ,テクニカルな面に多少課題が残っている。昨年末のワイン研究やそれ以前のヒット予測などと同様,MCMC の適用が考えられるが,影響パタンの探索まで含めると,もっと効率的なアプローチが望まれる。

6月には,クルマの仕事でパリにも行った。何と脈絡のない研究生活か・・・そして,最近に至っても調査票を再改訂するという無限ループが続く。来年はさすがに調査(ヒヤリング)に進まざるを得ないだろう。とともに,装備-知覚データの宿題も残っている。関連して「イノベーション」に関する文献を猟歩する必要がある。それは,来年始まる新たな授業にも役立つ。

博士論文以来の非補償型選好の研究には,ほとんど手がついていなかったが,年末の JACS を契機に研究を再開した。これはクルマの研究にも関連するし,実務家からの期待もある領域でもあるので,先延ばしにはできない。論文にするには,関連する既存研究をもっとサーベイする必要があるが,それ以前に,分析にケリをつける必要がある。

9月に非常勤のため長崎,10月に学会で沖縄,12月に学会で福岡・・・今年は九州方面によく行った(あとは来年3月に鹿児島?)。九州には美味しい食べ物,美しい風景がある。来年はどうか・・・長崎行きはほぼ間違いないが,他にはどうか・・・。海外では,バンクーバーやワルシャワなどで学会がある。それぞれ美しい街だが,問題はそこで何を発表するか,だ。

2007年の回顧 広告編

2007-12-31 10:52:43 | Weblog
というのは誇大広告・・・回顧というほど多くの広告を思い出せないし,事情に通じているわけではない。そこで,12/26の日経MJに掲載された,今年の「CMグランプリ」を参考にしよう。これは,企業の広告・宣伝担当者に対して行った調査に基づいている。それによると,1位が SoftBank(ソフトバンクモバイル),2位が TSUBAKI だという。有名人を何人も起用,大量の広告出稿というキャンペーンが成功したことで,露出と知名に基づく「マス」の力が再認識されたという見方もある。

上位30に入ったCMのほとんどが,電通の制作だ。博報堂と ADK はそれぞれ3つで,メディアの扱いの差をはるかに上回る差がある(その意味で ADK は健闘しているといえるかも・・・)。どうしてこんなに差が開くのか・・・いや,真のクリエイティブ力は別だという主張もあり得る。この調査は,企業の広告担当者が対象であり,当該広告のクライアントが対象ではない。世間的なインパクトが強くなくても,クライアントの評価が高ければよい。では,それはどんな基準に基づくのか?

広告効果の問題と関わり始めて四半世紀経つ(といっても,それに取り組んでいた実質的時間は限られるが・・・)。答えがあるようでない問題に,いつかそれなりの答えを出さなくてはならない・・・と最後は極私的な呟き。