Mizuno on Marketing

あるマーケティング研究者の思考と行動

「ニセ学位」で終わる一年

2007-12-28 17:48:37 | Weblog
新年会のメールが飛び交っている(ちょっと大げさか・・・)。最近,忘年会が減った分,新年会でカバーするケースが多い。新年会は,場合によっては4月でも可能。時間の融通が利きやすく,かつ前向きである(?)。午後から,卒論打ち合わせの続き。少しずつ雲が晴れてきた。種々の連絡業務をしていると,もう夕方だ。受け取った郵便物から,査読依頼を発見・・・。

今年のキーワードと聞かれて,食や住の「偽装」問題を挙げる人が多い。これにとどめを刺すのが,「ニセ学位」のニュースだろう。それによって教員の採用・昇進の決定がなされたのが全国に4校(内国立1校)・・・また教員紹介欄にニセ学位を表示していたのが46校(内国立10校)あったという。学位に偽りがなくても,「賞味期限切れ」だと非難されないようにしなくては・・・。

大学教員の採用や昇進は,本来は,学位だけでなく,研究業績を実際の論文などを見ながら決められているはず。今回問題になったケースでは,業績評価はきちんとなされていたが,学位にのみ虚偽があったのだろうか。そうでなく,学位にだまされて,能力を誤認してしまったのか。賞味期限切れの食品と同様,ニセ学位の教員がもたらす実質的被害は報告されていない。だから「怒るべき」事件というより「悲しむべき」事件といえる。

疑問に思うのは,ニセ学位を発行した海外の「大学」の名前にどれだけの権威なり信用があったかである。よー知らん大学だが,海外だからすごいんだろう,と思ったのだとしたら・・・。門外漢ならともかく,大学がそれでは困ったことになる。真の「偽装」はそのへんにありそうだ・・・。

今日届いた本と買った本

Bruno S. Frey and Alois Stutzer eds., Economics and Psychology: A Promising New Cross-Disciplinary Field, MIT Press ... Camerer らによる neuroeconomics に関する章がある。

経済セミナー,1月号 ・・・「ダイエットの経済学」特集。日本で行動経済学を推進するとおぼしき人々の小論が掲載されている。ちらちら読むと,経済学的には,ダイエットとは食に対する現在の効用と健康に対する未来の効用のトレードオフであり,そこで合理的な選択として肥満が選択されても文句のつけようがないが,それによって医療費を過大に使う人への意図せざる所得移転が起きるとしたら,政策的に介入すべき問題となる・・・と話が続く。

岩村暢子,普通の家族がいちばん怖い 徹底調査! 破滅する日本の食卓,新潮社 ・・・帯がスゴイ。養老孟司氏,驚愕! 上野千鶴子氏,震撼! 水口健次氏,瞠目! とある。各方面をしっかり押さえている。正月とクリスマスの食を「徹底調査」しているというから,正月に読むにはいい本かもしれない。