Mizuno on Marketing

あるマーケティング研究者の思考と行動

Are you Bayesian?

2007-12-22 20:00:10 | Weblog
昨日,授業が終わってから車で東京に向かうが,高速が信じられない混みようだった。予定時間の倍以上かかったため,某・忘年会に大遅刻。渋滞学の西成先生に,渋滞のため講演を聞けなかったとシャレにならない謝罪。めったにお目にかかれない大先生だけに,もっとお話すべきだったが,緊張してことばが出ない。そのあと練馬へ移動し,ギターデュオ+女性ボーカル(+ピアノ)を聞く。

今日は品川の多摩大学ルネッサンスセンターで日本分類学会シンポジウム「ベイズモデルの分類への適用について」を聞く。まず芳賀さんが,ベイジアンネットのマーケティングデータへの応用例の報告。基本はクロス表,という意味で実務家にわかりやすい方法だとは思う。だが,伝統的な統計手法に親しんだ人々に,モデルの妥当性をどう納得させるか・・・もちろん,統計モデルの妥当性だってある種の「慣例」に従って判断しているだけだから,普及していけば自ずと慣例が確立するだろう・・・。

次いで星野さんから,潜在クラス分析の最新の話題について。特に興味を引いたのが,潜在クラス数の決定に関する研究だ。BIC等で決めるとクラス数は過大になる。彼のMCMCを使った方法では,それより真のモデルを再現できる。ただし,それなりに計算時間はかかりそう。いすれにしろ,(また)Psychometrika に採択されたというから,すごい人だ。広告効果の共同研究を今後どうするかについて,少し話す。

最後に植野さんのベイズ・クラシファーに関する報告。前半はこの領域のレビューで,勉強になった。特に潜在クラスモデルで仮定される局所独立性が成り立たない場合に決定木的なアプローチをする研究に興味をひかれた。決定木のいいところは,正確さを犠牲にしてスピードを高めている点だ。理論的に優れた点が多い方法は,時間がかかりすぎることが多い。なお,この講演の後半はだんだん難しくなって,ついていけなくなった。

統計学あるいはデータ解析手法はどんどん進歩し,複雑化していく。同年齢の(日本の)マーケティング研究者としては,まだキャッチアップしているほうだ思うが,そろそろ「降りる」時期かなと思うこともある。方法の美しさもさることながら,分析「結果」の力強さにもっと目を向けたいと思う今日この頃。