ワインのさまざまな所作を習得しても、一番困るのが「お味見をお願いします」と言われ感想を述べる時だ。
味見をして、気に入らなかったら交換してくれるのだろうか。よく聞かれる質問だが、好みと違っていても交換はしない。抜栓をする前に「こちらのワインでよろしかったですか」という一言で、もう契約が終了している。それでは、ワインが傷んでいるかをチェックすれば良いのだろうか。もちろんワインが傷んでいれば交換してもらえるが、滅多にあることでもなく、ここにも伏線が張られていることがある。
ワインが傷む確率の高いのは古いワインなので、その古いワインを注文すると、すかさず「このワインはビンテージものなので、まれに傷んでいることがありますが、それでも注文しますか」と言うような内容を説明してくる。ここで、納得しないと抜栓しない。
さて、いよいよ感想を述べるのだが「うむ、これは森の中をさまよっていると、どこからかトリュフのよい香りがしてきて・・・」などと、述べられるものではない。それでは何を述べればいいのだろうか。
つづく