ザ・クアトロ

クアトロの父のたわごと

おばあちゃんの味

2008年02月28日 | チーズの話

Photo 柏駅の近くで名物おばあちゃんがやっていた和食のお店。昨年の夏、おばあちゃんは亡くなった。先日、久しぶりのそのお店へ出かけてみた。おばあちゃんが切り盛りしていたころのお弟子さんが数名でお店を継いでいる。昔ながらのメニューを中心に新しいメニューも豊富になった。お客さんの入りも上々である。
おばあちゃんのときも無愛想な店だったが、お弟子さんたちもその点は引き継いでいるようだ。肝心の味はというと、やはりおばあちゃんの味には至っていないように思えた。決して他人に任せなかったおばあちゃんだから、お弟子さんもそうは簡単に追いつけるものではないのだろう。

時は19世紀の半ば、パリからノルマンディーへと鉄道が敷かれる。その後、マリー・アレルというおばあさんは娘に命じて自慢のチーズをナポレオン三世に献上する。ナポレオン三世はこのカマンベール村のこぶりな白カビチーズがえらくお気に入りとなる。後に木箱に入れられ鉄道でパリの町へと運ばれるこのチーズはパリッ子をも夢中にさせる。食べ頃の短いこのチーズは鉄道の発展による申し子だったのかもしれない。さらに流通の発達した現在は世界中でカマンベール・チーズを作っている。マリー・アレルが作ったカマンベールは「カマンベール・ドュ・ノルマンディー」という名前をつけて世界中のカマンベールとは区別している。クアトロに入荷しているレオ社のカマンベール・ドュ・ノルマンディーは昔ながらの製法を守っている。無殺菌乳を使いひとつづつ手作りで作られ、アレルおばあちゃんの味を受け継いでいるのだ。アレルおばあちゃんの娘もマリー・アレルというらしいが、木箱には娘のマリーが描かれているようだ。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする