伊賀や名張地域では定番のように一石六体地蔵は良く目にするが、二石六体地蔵は珍しい。
名張市の生誕沿い、「桔梗が丘」の新興住宅地から名張川を跨いで左岸に渡れば、昔ながらの夏秋集落。
剣道を挟み名張川が大きく迂回する川岸耕作地の一角に集落の「捨て墓」があり、六字名号石を中央に一石三体地蔵が左右に置かれて居る。
この地域では「捨て墓」に木製の墓前燈籠を建てる墓地をあちこちで見かけるが、そんな風習のない僕の目からすると見慣れない景観。
各三体地蔵は駒形整形石に枠を残し、中に三体づつの地蔵立像を刻みだし、二石で六体地蔵としている。
まだ真新しい辻蝋が立ち、まだ最近「新仏」を送ったことを窺わせる。
六字名号石に享保の銘が在り、共に江戸中期の造立だと思われる。
撮影2012.6.2