愛しきものたち

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正暦寺道の腰折れ地蔵

2014年07月09日 | 石仏:奈良

奈良市郊外、 八島町の円照寺付近から正暦寺に抜ける旧道に佇む地蔵石仏。

今では殆ど人に出合う事もない山道、夏草に埋もれるように大きい地蔵石仏が佇んでいる。

 

マムシなど居ないかと枯れ枝で夏草を掻き分け近寄ると、もう永らく花も手向けられた様子もなく、立派な二重蓮台の上に古い様式の地蔵菩薩が立っている。

高さ約130cmの舟形光背を負い、右手錫杖、左手宝珠の定形地蔵立像。

すらっと伸びた体躯に穏やかな顔容・・・室町後期、爆発的に多く造られた地蔵石仏とは確実に一線を隔す像容。

光背に線彫りされた円頭光、や丁寧に彫られた首筋の三道や裳裾の動きある表現は素晴らしい。

惜しむ無くば足元で折れ、セメント補修の拙さが口惜しい。

それにも増して、夏草に埋もれる様にして立つ姿にも時代を感じる。

足首の断裂から腰折れ地蔵と呼ばれて居る様です。

撮影2012.5.23