奈良市郊外、 八島町の円照寺付近から正暦寺に抜ける旧道に佇む地蔵石仏。
今では殆ど人に出合う事もない山道、夏草に埋もれるように大きい地蔵石仏が佇んでいる。
マムシなど居ないかと枯れ枝で夏草を掻き分け近寄ると、もう永らく花も手向けられた様子もなく、立派な二重蓮台の上に古い様式の地蔵菩薩が立っている。
高さ約130cmの舟形光背を負い、右手錫杖、左手宝珠の定形地蔵立像。
すらっと伸びた体躯に穏やかな顔容・・・室町後期、爆発的に多く造られた地蔵石仏とは確実に一線を隔す像容。
光背に線彫りされた円頭光、や丁寧に彫られた首筋の三道や裳裾の動きある表現は素晴らしい。
惜しむ無くば足元で折れ、セメント補修の拙さが口惜しい。
それにも増して、夏草に埋もれる様にして立つ姿にも時代を感じる。
足首の断裂から腰折れ地蔵と呼ばれて居る様です。
撮影2012.5.23