比奈知ダムを目前にした上比奈知墓地の簡素なお堂内に安置された阿弥陀石仏。
ダム湖上からはまるで谷底に有る様に見える、里山耕作地の1画に古い石塔が林立する上比奈知墓地がある。
古い墓地にしては似つかわしくない場所にも思えるが・・・それはダム建設によって周りの景観が大変わりしたせいなのかも知れない。
夏草のしげる墓地中央に三方ブロック壁に瓦屋根を載せた簡素な御堂に、窮屈そうな阿弥陀石仏。
阿弥陀石仏は、高さ160cmばかりの花崗岩自然石の表面に鏨痕の残る舟形光背を彫り沈め・・・
中に一見スマート、ちょっと扁平な感じを否めない来迎印の阿弥陀立像を薄い半肉彫りで刻み出している。
興国二年 (1341年)の銘が有り、南北朝時代前期の造立。
一般的に比奈知型と呼ばれる石仏だが、見るもには独特な印象を与え、記憶に強く残る石仏です。
撮影2012.5.20