滋賀県高島市旧朽木村は京都と若狭を結ぶ鯖街道沿いにあるが、更に谷間を山間部に入り込んだ滋賀、京都、福井、県府境近くに集落が点在、その一つである朽木古屋。
京都大原から途中峠を超え若さに向かう国道367号線、大津市葛川梅ノ木町で県道783号線に右折、深い谷沿い道を道成に約30分、五月の始めとはいえ遅い桜が花を付けた桃源郷のような景色に出遭った。
このあたりは琵琶湖に注ぐ安曇川源流域の一つ、小川の流れはあくまでも清く穏やかに流れ川を挟むように建つ民家はトタン懸けにせよ懐かしい佇まいをよく残している。
五月の初め、里ではすでに田植えの真っ最中、この山村はまだ冬の眠りから覚めたばかりか田圃はまだまだ冬姿のまま・・・・。
集落外れで見た一軒屋。
打ち捨てられて間もないようだが既に温もりの形跡さえ感じることは出来ない。
ここにはどんな喜びや苦しみ、喧騒の日々が有ったのだろう・・・・・滅び行く者だけが持つ美しさを秘め、ただその時を待っているかのようです。
実の処、本来の目的は、この旧鯖街道とも言える滋賀県側、小入谷(おにゅうだに)から2008年に開通なった「小入谷林道」を通り「おにゅう峠」越えで若狭側、もうひとつの遠敷(おにゅう)根来(ねごり)の里を訪ねるつもりでした。
滋賀県側、最終集落「小入谷」からダート混じりの林道を奥へ奥へと高度を上げていくと、山の様子が変わって来て山襞には残雪が・・・、それでも峠近くで振り返ると、今来た尾根道が新緑の中、素晴らしい景観を見せる。
更に登り詰め、峠近くの吹き曝しの木々は若狭湾からの潮風をもろに受けるのか?この有様。
やっと着いたおにゅう峠、小さな地蔵堂と石碑が一つ、秋の楓の頃には撮影のベストポイントととしてカメラマンのマイカーが列を成すという・・・。
往古、新羅や百済から難を逃れて来たであろう人達も越えた道、このきつい峠を越えたのかと感慨一入、まさかもう雪は無いだろうと、たかを括って出かけ来たのに・・・・・
しかし、豈図(あにはか)らんや、この先若狭方面への下り道は何とこんな塩梅・・・・・。
これじゃ無理して谷底にでも落ちたら目も当てられないと早々に引き返した。
五月にこれならやっぱり梅雨明け以降の真夏か秋の初めかな??
人の多い紅葉シーズンを避けて今年は再挑戦しようかな・・・・・・・。
撮影2011.5.3